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「買うならMT!」熱い想いを持った若者どれだけいる? 販売比率1%の「MT車」の現状は?

くるまのニュース 2023年3月9日 18時10分

絶滅が危惧されるMT車ですが、あえて購入する若者がいるといいます。新車市場全体におけるMT車の購入比率が1%に満たないといわれているなか、MT車の現状はどうなっているのでしょうか。

■「GR86」は20代の購入者がもっとも多い!?

 新車市場でMT車(マニュアルトランスミッション)の販売比率は全体の1%に届くかどうかといわれている昨今、MT車は一種の趣向品ともえる状況です。
 
 しかし、いわゆるスポーティな車種の購入者の年齢比率を見てみると、若年層の比率が比較的高いといいます。

 単に移動することや利便性を考えればAT車(オートマチックトランスミッション)のほうが優れており、今時の若者はMT車を選ばないようにも思えるのですが、なぜMT車を選ぶ人がいるのでしょうか。

 現在、国内市場で購入できる、MT車を用意するスポーツカーのなかで、多くの人が思い浮かべるのがトヨタ「GR86」でしょう。

 2021年にフルモデルチェンジして2代目モデルが登場。現行GR86の直近一年間での20代の購入比率は全体の約35%となっていて、もっとも年齢比率が多い世代となっています。

 また、GR86全体でのMTとATの年齢比率は直近6か月でAT車が約30%なのに対してMT車が約70%となっています。MT車を購入した年齢比率に関してはデータを得られなかったので断言はできませんが、GR86を購入する若者はMT車を選ぶことが多いという予測を立てることができます。

 これは兄弟車のスバル「BRZ」でも近いデータが出ていて、年齢比率は26.7%で20代がもっとも多く、MT車の比率は63%となっています。

 またスポーツ系モデルのなかでもコストパフォーマンスが高く、「日本のクルマ好きの最後の砦」ともされるスズキ「スイフトスポーツ」はどうでしょうか。

 こちらは20代と40代から60代の購入比率が多いとのこと。また、若干ですがAT車の比率が多く、MTが約40%に対してATが約50%となっています。一概に言い切ることはできませんが、スポーツ系の車種では購入層の年齢が高くなるとATの比率が増えるような傾向が見られます。

 ここまでスポーツ色の強い車種にスポットを当てて考察をしてきましたが、スポーツ色がそこまで高くない車種ではどうでしょうか。

 ホンダ「シビック」は、通常の1.5リッターガソリンターボ車に6速MTを用意しています。2021年に登場した現行モデルでは、当初は20代の購入比率が高いと発表されていたのですが、その人気は今でも健在。20代が約3割、50代が約3割となっており、比較的若者の購入比率が高い車種といえます。

 MT車の比率は約5割となっているので、シビックを購入する若者は比較的MT車を選んでいるユーザーが多いという考察もできます。

 また、本格クロスカントリーモデルとして長年販売されているスズキ「ジムニー」は、そのデザイン性の高さから現行モデルはヒット作となっています。こちらにもAT車とMT車の両方が用意されていますが、MT車の販売比率は約3割となっています。

 ちなみに、ジムニーの購入者は40代から60代の年齢比率が多いとのこと。車種のキャラクターの違いがあるかもしれないですが、年齢層が高くなるのと、スポーツ色が薄くなると「若者×MT」という図式から乖離していくような印象です。

 全体的な比率で見れば、MT車を選択する若者は少数派といえるでしょう。しかし、趣味性(スポーツ性)の高い車種を買うならばMT車を選択するという、熱い想いを持った若者は「若者のクルマ離れ」と叫ばれている昨今の状況のなかでも、思ったよりも多いことがうかがえます。

 また、車種ごとの購入年齢比率を見ると、時代が変わりトレンドが変わった現代でも、趣味性の高いスポーツカーを頑張って買う若者が意外にも多いということが見えてきました。

 日本のクルマ趣味文化、カーエンスー文化の未来は思ったほど悲観することはないのかもしれません。

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