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シートベルトが「ダラ~ン」巻き戻らない不具合発生! 意外な理由が!? 簡単にできる解消法とは

くるまのニュース 2023年3月13日 18時10分

クルマの走行中は「シートベルト」の着用が義務付けられています。あまり故障するような装備ではありませんが、シートベルトを外しても自動で巻き取られずに、ダランとしたままの状態になってしまうことがあります。この不具合の原因は何なのでしょうか。

■シートベルトが巻き戻らなくてピンチ!

 クルマの走行中は、前席だけでなく後席も、やむを得ない理由がない限りは「シートベルト」の着用が義務となっています。
 
 本来シートベルトはあまり故障するような装備ではありませんが、経年によってシートベルトを外しても自動で巻き戻らずに、ダランとしたままの状態になってしまうことがあります。そのような不具合は何が原因なのでしょうか。

 かつては腰だけを支える2点式のシートベルトが主流でしたが、1959年にボルボが現在の主流である3点式を開発。「安全は独占されるべきでない」との観点から特許を無償で公開したといわれています。

 日本では1969年にシートベルトの搭載が義務化され、その後1971年に高速道路や自動車専用道を走行する場合は装着が義務となりました。

 さらに現在の違反点数制度の対象となったのが1985年、この法律が一般道にまで広げられたのが1987年、現在のように後部座席まで装着が義務化されたのは2008年からとなっています。

 シートベルトはいくつかのパーツで構成されています。いわゆるシートベルトのベルト部分は「ストラップ」または「ウェビング」とも呼ばれます。

 着座した状態で骨盤を支える横方向の部分を「ラップストラップ(腰部ストラップ)」、肩から腰にかけて斜めに支える部分を「ショルダーストラップ(ダイアゴナルベルト)」と呼びます。

 着用者をしっかり支えるためにストラップを固定・開放させるための部品は「バックル」といい、通常はストラップの折り返し地点にある「タングプレート」という先端が金具になっている部品を差し込むとロックがかかり、ボタンを押すとリリースされる仕組みになっています。

「リトラクター」とは、ピラー内部を通じてピラーやフロア下などに設置されるストラップの巻き取り装置のことを指します。リトラクターには衝撃を感知すると同時にストラップを引き込み、着用者の飛び出しを防ぐ「プリテンショナー」などが内蔵されています。

 プリテンショナーはバックル側でも引き込んだり、腰部を引き込むタイプも用意されており複合的に機能することで、万が一の衝突でも体が投げ出されないよう瞬時に固定してくれる仕組みです。

 また、プリテンショナーで引き込んだストラップを少しずつ緩めて、締め上げられた胸部などの圧迫を緩和してくれる「フォースリミッター(ロードリミッター)」と呼ばれる機構も内蔵しています。

 リトラクターから伸びるストラップを肩口で経由させるための折り返し用パーツが「ショルダーアンカー」のことです。単なるフックのように見えますが、意外にも、この部分が壊れることが多いようです。

 このどれかが経年や衝撃が加わったり、故障したりして不具合が発生しているケースがほとんどとされています。

■不具合の原因は意外なことだった!

 シートベルトにまつわるトラブルについて、神奈川県のH整備士に聞いてみました。

「このシートベルトがダランと伸びきってしまう不具合は、リトラクター(巻取り装置)の故障ではなく、ショルダーアンカーやストラップ自体に原因があることが多いです」

 しかももっとも多いのはショルダーアンカー部分で、折り返す構造によって起きる摩擦が関係しているといいます。一体どういうことなのでしょうか。

着用が義務となっているシートベルト

「まず多いのが、ショルダーアンカーの擦れる部分に汚れが溜まって滑らなくなることです。

 ストラップは約300本ものポリエステル繊維が編み込まれ、約3tもの荷重に耐えられるとされています。

 連日使用するたびにショルダーアンカー部分に荷重がかかり、擦れてしまうため、ストラップが傷んでしまうことがあり、そうなると繊維の一部が溶けたりホコリなどが溜まったりで真っ黒に汚れてしまいます。

 またストラップ自体も度重なる使用や経年で繊維がほどけてしまったり、毛羽立ってしまうことがあります。この毛羽立ちがアンカー部分に引っかかってしまい、うまく巻き戻らなくなることでダランと伸びてしまうことがあります」

 シートベルトが伸びきってしまうのは大きな故障ではなく、ショルダーアンカー部の汚れかストラップの毛羽立ちが多いという訳でした。

「あとは一度事故などを起こしてしまうと、プリテンショナーがうまく作動しないこともあります。その場合はシートベルト全体を交換する必要があるのですが、一般的な使い方では故障ではなく、汚れなど単純な不具合だと思います」(H整備士)

 では、この不具合を解消するにはどうすれば良いのでしょうか。

「汚れを落とすと良いでしょう。ショルダーアンカー部のストラップが擦れている箇所を持ち上げると、ポリエステル繊維が擦れて黒く汚れているはずです。

 この汚れはポリエステル繊維だけでなく、乗員の汗や皮脂などが付着してできた汚れも含まれます」

 シートベルト自体もかなり汚れているといえますが、シートベルトは洗えるのでしょうか。

「シートベルトは家庭用の中性洗剤で洗えます。手順は、シートベルトを目一杯引き出し、リトラクターで巻き戻らないようにクリップなどで固定します。

 洗剤を水で薄めてウエスなどでゴシゴシと拭くだけでかなり汚れが落ちると思います。もちろんショルダーアンカー部の黒い汚れも一緒に洗浄してください。

 あとは水で固く絞ったウエスなどで再度拭き、乾燥させればかなりスムーズに動くようになるはずです」(H整備士)

 ただし、ストラップ自体の毛羽立ちが原因でスムーズに動かない場合は、やはり新品に交換する方法が安全だといいます。

「純正のシートベルトに交換するのも良いのですが、せっかくなのでカラーを変えてみるのもアリです。

 ただし車種によってはリアシートを外さないと交換できなかったり、プリテンショナーには火薬が内蔵されていて通電している箇所でもあるので、信頼できるショップや整備工場にお願いすると良いでしょう」(H整備士)

 確かに、新品に交換するなら、純正色だけでなく好きなカラーのシートベルトを取り付けるのも良いアイデアです。インテリアの印象もかなり変わりそうですし、試す価値はありそうです。

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