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ついに全面刷新!? ダイハツ新型「ムーヴ」本格ハイブリッド搭載で燃費30km/L超も? 次期型どうなる?

くるまのニュース 2023年3月25日 17時10分

2023年に9年目を迎えるダイハツ「ムーヴ」ですが、新型モデルへのフルモデルチェンジにあたり、「eスマートハイブリッド」と呼ばれるストロングハイブリッドを搭載するようです。どのようなモデルに進化するのでしょうか。

■長らく放置状態だった「ムーヴ」が全面刷新へ

 最近の新車市場でもっとも多く売れているのは軽自動車です。2022年には国内販売全体の39%を占めており、前年(2021年)の37%に比べて比率を増やしています。
 
 2022年に軽自動車比率が増えた理由は2つあります。まずは小型/普通車に比べて納期が短いことです。小型/普通車は、大半の納期が6か月以上で、なかには1年に達する車種もありますが、軽自動車は一部の例外を除くと6か月以内で納車されます。

 納期が短ければ、売れ行きを高く保ちやすいです。軽自動車はコスト低減のために特殊なパーツやメカニズムをあまり使わず、汎用性を重視するため、供給も滞りにくいのです。

 軽自動車が好調なもう1つの理由は、設計の新しい車種が多いことです。小型/普通車と違って、2016年以前に発売された軽自動車は少ないのですが、この背景にあるのは軽自動車の薄利多売です。

 車種の数を抑えながら大量に売る必要があり、新しいエンジンやプラットフォームが開発されると、ほかの車種も時間を置かずにフルモデルチェンジするので、設計が古い車種があまりないのです。

 そんな軽自動車ならではの事情があるなか、ダイハツ「ムーヴ」は設計が古いモデルのひとつ。現行型(6代目)の発売は2014年なので、2023年で9年目を迎えます。

 一方で、かわいらしい外観にスライドドアを装着した派生モデル「ムーヴキャンバス」は、初代が2016年に発売されて2022年には現行型へ切り替わりました。ムーヴはダイハツの主力車種なのに設計が古いままで放置されているといえます。

 ムーヴはなぜフルモデルチェンジを実施しないのでしょうか。

 販売店に尋ねると、以下のように返答されました。

「ムーヴは発売から長期間が経過していますが、今のところフルモデルチェンジする話はメーカーから聞いていません。新規の注文もできます。従って少なくとも2023年の中盤まで新型には変更されません」。

 その一方でダイハツの開発者は「ダイハツ『ロッキー』やトヨタ『ライズ』が搭載するeスマートハイブリッドは、街乗りの使用頻度が高い小さなクルマに適したシステムです。今後、ダイハツのさまざまな車種に搭載します」といっており、新型ムーヴにはeスマートハイブリッドが搭載されることになるでしょう。

 その開発のためにフルモデルチェンジの時期が遅れ、ムーヴキャンバスのほうが先に全面刷新したということです。

 薄利多売の軽自動車にはコストの高いメカニズムは採用しにくく、そのため、従来の軽自動車は電動機能を搭載するとしてもマイルドハイブリッドでした。

 それが、ダイハツのeスマートハイブリッドは、エンジンは発電、駆動はモーターが担当する日産の「e-POWER」に近い仕組みですから、フルハイブリッドに含まれます。

 マイルドハイブリッドの正味価格は、アイドリングストップに近い3万円程度で、燃費向上率も低いです。例えば「ワゴンR」の標準ボディでは、マイルドハイブリッドのWLTCモード燃費が25.2km/Lで、アイドリングストップを装着しないノーマルエンジンは24.4km/Lです。マイルドハイブリッドの燃費向上率はわずか3%。

 マイルドハイブリッドの燃費性能では2030年度燃費基準を達成できません。例えばワゴンRのマイルドハイブリッド仕様(ZX・2WD)のWLTCモード燃費は前述の25.2km/Lで、車両重量は790kgです。

 790kgに相当するWLTCモード燃費は、2020年度燃費基準なら24.5km/Lですから、25.2km/Lの現行ワゴンRでもクリアできます。それが2030年度燃費基準になると、WLTCモード燃費が28.5km/L前後でないとクリアできず、マイルドハイブリッドで達成するのは困難です。

 この事情も踏まえて、軽自動車も、マイルドタイプではない本格的なハイブリッドの開発に入りました。そしてダイハツでは、新型ムーヴを皮切りにeスマートハイブリッドの搭載を開始するのです。

■新型ムーヴの燃費と価格を大予想!

 では、新型ムーヴeスマートハイブリッドのWLTCモード燃費はどの程度になるのでしょうか。

 ロッキー2WDの場合、eスマートハイブリッドのWLTCモード燃費は28.0km/Lで、ノーマルエンジンは20.7km/Lと、eスマートハイブリッドの燃費数値はノーマルエンジンの1.35倍になります。

 そして設計の新しいムーヴキャンバスのノーマルエンジン車は、WLTCモード燃費が22.9km/Lですから、eスマートハイブリッドの燃費数値が1.35倍であれば30.9km/Lとなり、この数値なら2030年度燃費基準の28.5km/L前後を余裕でクリアできます。

エンジンを発電機として使うダイハツの「eスマートハイブリッド」

 価格はどうなるのでしょうか。ロッキーの「プレミアムG」同士で比べると、eスマートハイブリッドの価格は、ノーマルエンジンに比べて28万9000円高いです。ただし軽自動車は価格に敏感なカテゴリーですから、この金額をそのまま上乗せしたら、ムーヴeスマートハイブリッドは売れないでしょう。

 そこで想定される価格が「小型車の70%」です。例えばターボエンジンとノーマルエンジンの価格差、パノラマモニターなどのメーカーオプション価格を見ると、軽自動車は小型車の70%前後で設定されていることが多いです。

 そうなるとロッキーの場合、eスマートハイブリッドの価格アップは28万9000円ですから、軽自動車のムーヴなら70%の約20万円です。この金額は、エアロパーツを装着するカスタムと標準ボディの価格差に近く、許容範囲に収まります。

 新型ムーヴのノーマルエンジン搭載車が130万円とすれば、eスマートハイブリッドは150万円です。

 新型ムーヴに搭載されるeスマートハイブリッドのWLTCモード燃費が前述の30.9km/L、ノーマルエンジンが22.9km/L、価格アップが20万円とすれば、この金額を燃料代の節約で取り戻せるのは、レギュラーガソリン価格が160円/Lとして11万kmを走った頃です。

 軽自動車はノーマルエンジンとハイブリッドで、購入時に納める税額の差が少なく、またノーマルエンジンも燃費が優れているため、実質価格差を取り戻せる距離が長くなります。ただし渋滞の多い街中を走る時間が長い使い方なら、取り戻せる距離が11万kmよりも短くなります。

※ ※ ※

 新型ムーヴの登場は2023年内だと思われますが、これを皮切りに、軽自動車にもフルハイブリッドが増えることになるでしょう。

 日本では総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅であるため、日産「サクラ」のような電気自動車の軽自動車を所有できないユーザーも多く、軽自動車のフルハイブリッドが果たす役割も大きいのです。

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