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警察官がチャリで歩道走行するの違反じゃない? 「緊急車両」に該当するの? 街中で見かける光景、疑問の答えは?

くるまのニュース 2023年3月26日 9時10分

一般的に歩道を自転車で走行することはダメだと認識されていますが、稀に警察官が歩道を自転車で走行している光景を見かけます。これは違反にならないのでしょうか。また警察車両は赤灯が点灯すると緊急車両の扱いになりますが、自転車の場合はどうなのでしょうか。

■自転車で歩道を走るのはNG?警察官ならいいの?

 街中では警察官が自転車でパトロールをしている光景を見かけることがあります。

 ときには自転車で歩道を走っていることもありますが、これは交通違反にならないのでしょうか。

 警視庁や神奈川県警など都市部の警察では、パトカーやバイクだけでなく自転車を使ったパトロールもおこなっています。

 自転車に乗った警察官もパトカーと同様に、不審者への職務質問やクルマ・自転車に対する交通違反取り締まりなどを実施しており、クルマが入れない狭い道路でも活動できる、自転車や徒歩移動の犯人を追跡しやすいといった自転車ならではのメリットもあります。

 パトカーでも自転車でも警察官は交通ルールを守って運転するのが基本であるものの、ときどき自転車に乗った警察官が歩道を走っている光景を見かけることがあります。

 では、この行為は交通違反にならないのでしょうか。

 結論としては「その時々の状況によって交通違反になる場合とならない場合がある」といえます。

 自転車は道路交通法上で「軽車両」というクルマの仲間に分類されており、クルマと同じように原則車道の左側を走ることが決められています。そのため、基本的に自転車で歩道を走ることは交通違反にあたります。

 しかし特定の条件下においては自転車で歩道を走ることが可能であり、道路交通法第63条の4で大きく3つの条件が示されています。

 1つめの条件は、「道路標識や道路標示によって普通自転車の歩道通行を許可しているとき」です。

 歩行者と自転車の両方が描かれている道路標識や自転車マークの標示がある歩道では自転車の通行が許可されており、比較的幅の広い歩道などに道路標識が設置されています。

 2つめは「13歳未満、70歳以上の人または車道通行に支障がある身体の不自由な人が自転車を運転するとき」であり、この条件に該当する場合も歩道を走行できます。

 さらに、3つめの条件として「自転車の通行の安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき」があげられます。

 この「やむを得ないと認められるとき」については、車道で道路工事をしている、駐車車両があるなどの理由で車道の左側を走ることが難しい場合や、交通量が多い道路で、なおかつ車道の幅が狭いために、クルマと接触する危険がある場合などが該当します。

 つまり、交通事故の危険性があるような場所では、状況に応じて歩道を通行することも可能といえるでしょう。

 ただし道路交通法第63条の4第2項では、自転車が歩道を走る際には歩道の車道寄りを徐行すること、また自転車が歩行者の通行を妨げるおそれがあるときは一時停止することなどを定めており、あくまで歩道は歩行者優先であることが分かります。

 ここで疑問になるのは「警察官が運転する自転車には緊急自動車のような優先権があるのか」という点です。

 緊急自動車とはパトカーや救急車などのうち、緊急の用務に対応するため赤色ランプを点灯させ、サイレンを鳴らしながら走っているクルマのことをいいます。

 警察官の乗っている自転車に関しては優先権に関する規定はないため、緊急車両として扱われることはありません。警察官も自転車の交通ルールを守って走ることが基本なのです。

 しかし、警察官の目の前で殺人や傷害、ひき逃げなど一定の重大事件が発生した場合には警察官が犯人を制止したり、被害者を救助するためすぐさま駆けつけなければいけない場面が想定されます。

 そのような緊急時には犯人の制圧や人命救助が交通ルールより優先されることも当然あるといえるでしょう。

※ ※ ※

 都市部の警察では自転車を使ったパトロールや交通取り締まりなどがおこなわれています。

 特に自転車に対する交通取り締まりは強化されているほか、2023年4月1日からはヘルメットの着用が努力義務となります。運転の際には交通ルールをよく確認して、安全運転を心がけましょう。

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