近年定番化しつつある「パワースライドドア」は便利で人気の高い機能ですが、使用方法を誤ると困った事態に陥ることもあるといいます。一体どのようなトラブルに発展する可能性があるのでしょうか。
■便利な機能の影に、トラブルの可能性も!
近年高い人気を維持している「ミニバン」や「軽ハイトワゴン」などは、一般的にスライドタイプのリアドアを採用していますが、そこで定番化しつつある機能が「パワースライドドア(オートスライドドア)」です。
スイッチを押したりドアノブを引くなどの簡単な操作でドアの開閉ができるため、非常に便利で人気も高い機能ですが、じつは使用方法によっては困った事態に陥ることもあるといいます。
パワースライドドアとは、ドアや車体に搭載されたモーターを駆動させることで、手を使わずとも自動でドアを開閉できる仕組みになっています。
腕や指を挟んだりしたときのために、異常を検知したら自動で停止するなどのセーフティ機能も備え、安全に配慮もされていることは言うまでもありません。
最新モデルにおいては更に進化しており、足元のセンサーなどを感知することで手を一切使わずともドアを開けられる機能「ハンズフリーセンサー」を採用する車種も珍しくなくなりつつあります。これは荷物や子どもを抱えて両手が塞がった状態でも利用できるため、子育て世代から高い支持を受けているといいます。
このように、パワースライドドアの利便性はますます高まっていると言えるでしょう。
しかし、そんな便利なパワースライドドアが時には思わぬトラブルに発展することは広く知られておりません。
■電動で開くスライドドアの注意点とは
そのトラブルとは、「洗車」をしている際に意図せずドアが開いてしまうという事態です。
とくに洗車機の利用中、開閉スイッチにブラシなどが当たってドアが開いてしまった場合には、大量の水と洗剤が車内に流れ込み、内装からシートに至るまですべてが水浸しの大惨事になりかねません。
しかも乾かせば良いというわけではなく、水浸しになったことで電装系が故障する可能性も十分にあります。
危険なのは洗車機に限った話ではなく、手洗い洗車や整備をしているときでも突然ドアが開いてしまうと、作業している人に思わぬ被害が発生することもあり危険だといいます。
では、どうすればこのような危険を回避できるのでしょうか。都内の洗車専門店のスタッフに話をうかがったところ、以下のように説明がありました。
「スライドドアやバックドアに電動開閉システムを搭載したクルマを洗車するときは、洗車機か手洗いかに関わらず準備段階で必ずカギをロックするか、あるいは機能の制御スイッチを『OFF』にして作動しないようにします。
また、もしすでにトラブルが発生し車内が水浸しになってしまった場合には、専門の自動車クリーニング業者に依頼することをおすすめします。
ドアや窓を開け放って乾燥させようとしても、シートの奥にまで染み込んだ水分は簡単には乾燥せず、むしろカビを発生させる原因になります。
さらに、無理に乾燥させようとしてドライヤーなどを使用すると、火災を起こしたり、逆にシートを痛める可能性も高いので注意が必要です」
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最新のクルマはどんどん便利になり様々な部分が電動化、さらには自動で動くようになっています。だからこそ、それぞれの機能が何を切っ掛けにどのように作動するのかを、事前にしっかりと把握しておくことが大切でしょう。