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「県境過ぎれば捕まらない」の噂、なぜ広まった? 違反車に対する「パトカー追跡」はどう行う? 真相はいかに

くるまのニュース 2023年4月3日 14時10分

SNS上では時折、スピード違反でパトカーの追跡を振り切ったという投稿がみられます。では、交通違反や事件などを起こした後に高速道路から一般道へ逃げたり、県外へ出れば警察から追跡されないというウワサは本当なのでしょうか。

■追跡される警察から「逃げ切り」は可能?

 交通違反などを起こすと、パトカーから停止を求められますが、時折SNS上などで「スピード違反したけどパトカーから逃げ切った」など、逃走したとする投稿や「高速で違反したら一般道に出ればいい」「県外に出れば捕まらない」などのウワサが聞かれることもあります。
 
 では、仮に交通違反などでパトカーに追跡された際にこのような方法で逃げ切ることは可能なのでしょうか。

 基本的に、高速道路や自動車専用道路については各都道府県警察の「高速道路交通警察隊」が管轄しており、高速道路での事故対応や交通取り締まりなどをおこなっています。

 その一方、一般道路においては白バイで有名な交通機動隊や警察署のパトカーなどが交通取り締まりをしており、高速道路と一般道路では管轄する部署がそれぞれ異なります。

 このような事情により「高速道路から一般道路に降りれば追跡されない」というウワサが広まったものと考えられますが、管轄が違うからといって検挙されないわけではありません。

 なぜならば必要に応じて高速道路交通警察隊から交通機動隊や警察署に応援要請ができるため、一般道路に降りても白バイやパトカーによる追跡が続く可能性があるほか、追跡されなくてもクルマのナンバープレートや運転手の特徴などから後日、違反者を検挙できるためです。

 また「県外に逃げれば捕まらない」というウワサに関しても、県境を越えれば異なる都道府県警察の管轄区域になることが原因で広まったものとみられますが、事実ではありません。

 確かに都道府県警察が活動できる範囲は、その警察が管轄する区域内が原則です。

 しかし、警察法第61条では「都道府県警察は、居住者、滞在者その他のその管轄区域の関係者の生命、身体及び財産の保護並びにその管轄区域における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも、権限を及ぼすことができる。」と、必要に応じて管轄区域外での活動を認めています。

 つまり、仮に県境で警察官が交通違反のクルマを発見し、そのクルマが隣県に逃走した場合でも、隣県に入って追跡ができるということです。

 場合によっては逃げた先の都道府県警察と連携して検挙するケースや、無理な追跡による事故を予防するために一旦追跡をやめた後も、ドライブレコーダーや防犯カメラなどの捜査をおこなって後日検挙するケースもあります。

 さらに、警察の追跡から逃げ切れない理由として「警察のヘリコプターで上空からクルマを追跡できる」ことも挙げられます。

 過去には盗難車で逃走する犯人をヘリコプターで追跡し、地上と連携した上で現場の警察官が確保したという事例もあり、重大犯罪の場合、ヘリコプターを駆使した追跡も可能なのです。

 また、警察の追跡から無理に逃れようとすると別の交通違反や事故を起こすこともあります。

 2023年3月には島根県出雲市において、無灯火の軽自動車がパトカーの停止命令を振り切って逃走、民家のガラス戸を壊す事故を起こし、最終的に道路交通法違反(一時不停止)で現行犯逮捕される事案が発生しています。

※ ※ ※

 交通違反などを起こした際に「高速道路から一般道路に降りれば警察の追跡から逃げられる」、「県外に逃げれば捕まらない」といったウワサは事実ではなく、隣接した都道府県警察同士の連携や事後の捜査によって検挙される可能性があります。

 何より無理な逃走は大変危険であるため、急いでいたり違反の認識がなくても停止を求められた場合、大人しく警察官の指示にしたがうべきといえるでしょう。

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