2023年4月から自転車のヘルメット着用が努力義務化されることが明らかとなりました。これについてユーザーからはどういった声があるのでしょうか。
■努力義務、違反しても罰則はないって本当?
2023年4月1日から自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務となりました。では、この「努力義務」とは一体どのようなものなのでしょうか。
道路交通法の改正により、2023年4月1日から自転車を運転する際にヘルメットを着用することが努力義務となっています。
もともとは道路交通法第63条の11の規定により、13歳未満の子どもが自転車に乗るときは保護者がヘルメットをかぶらせるように努めなければならないと定められていました。
しかし、警察庁の統計によると自転車乗車中に発生した死亡事故のうち約56%もの人が頭部の損傷で亡くなっていることが判明しています。
これはヘルメットを着用していないケースでは着用しているケースと比べて約2.1倍致死率が高まるなどの状況があり、そのような情勢をふまえて道路交通法が改正されることになったのです。
現在は、子どもだけではなくすべての自転車ユーザーにヘルメット着用の努力義務がありますが、この努力義務とは一体どのようなものなのでしょうか。
努力義務とは一定の行動をとるように努力することを義務づけるもので、法律の条文で「~するよう努めなければならない」、「~するように努めるものとする」などと表現されます。
あくまで当事者が自発的に行動することを促すものであり、強制力はないため法律で罰則は設けられておらず、ヘルメット着用の努力義務に違反しても刑罰を科される、交通反則切符を切られるといったことはありません。
SNS上でも、努力義務であるがゆえに「強制ではないし、今さらかぶりたくない」、「ヘルメットは盗まれそうだし荷物が増えるから買わない」といった声のほか、「努力義務なので今までとあまり変化はないと思う」という法律の実効性に疑問を呈する声も聞かれます。
ただしヘルメットを着用しない状態で交通事故に遭うと、頭部に大きなケガをする危険性が高まります。
頭部にケガをした場合、ヘルメットの着用を怠ったとして本来支払われるはずの賠償額が減額されたり、自転車側の過失割合が大きくなるなど不利益をこうむるケースが想定されます。
また自転車保険に「ヘルメット着用中補償」などの特約が付いている場合、ヘルメットをきちんと着用していなければ保険金が支払われない可能性も考えられます。
たとえ努力義務であっても、ヘルメットを着用しなければ万が一の事故の際にデメリットとなることがあるため注意が必要です。
■ではヘルメットはどのようにして選べばいいのか?
さらに、ヘルメットを選ぶ際にはきちんと効果が発揮できるものを選ばなければいけません。
まず大前提として「自転車用」のヘルメットを選ぶことが大切です。
ヘルメットには防災用や工事用などの種類がありますが、それらは落下物など上からの衝撃に特化したもので用途が異なるため、転倒や衝突に対応できる自転車用のヘルメットを選定しましょう。
デザイン性が高いものや通気性の良いものなどさまざまな種類のヘルメットがある中で、一定の安全基準を満たしたことを示す「SGマーク」が付いているかどうかも選定方法のひとつといえます。
また、大人には大人用のもの、子どもには子ども用ヘルメットというようにサイズが合ったものを選ぶのが望ましいです。
さらに着用する際にはヘルメットのズレや緩みをおさえるため、アジャスターを調節して頭にフィットさせる、あごひもをしっかりと締めることなどにも気を配りましょう。
自治体によってはヘルメットに関する補助金が支援される場所もあり、東京都足立区では安全基準を満たした自転車用ヘルメットが2000円引きで購入できるサービスを実施。
愛知県では50市町村で子どもや高齢者を対象としたヘルメットの購入費用の補助をおこなっています。
自転車用ヘルメットの購入を検討している人は、住んでいる自治体の制度について調べてみても良いかもしれません。
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2023年4月1日から、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務となりましたが、着用をしていなくても罰則はないものの、事故の際に大きなケガをしたり、賠償金の関係で不利益となる可能性があります。
ヘルメットの着用については個人の判断に委ねられますが、マイナス面について考慮することも重要といえるでしょう。