世界的な物価高の影響で、原油だけでなくガソリンも高値が続いています。ガソリンの消費を抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。
■燃料価格はガソリンスタンドの形態で異なる!?
世界的な物価高の影響で、日用品も含めさまざまな商品の値上げが続いています。その遠因のひとつともいわれる原油高の影響で、当然ながらガソリン価格も上昇。現在でも高い価格が続いており、我々ドライバーの負担が増えています。
本来であれば、ガソリン価格の上昇にともなって2010年に導入された「トリガー条項」で、ガソリンにかけられた「揮発油税」の減税が実施されるはずですが、現状は東日本大震災の復興目的で一時凍結されたまま。
一応「170円/Lを超えた場合、1リッターあたり3.4円」を石油元売り会社に補助金が支給されていますが、一般ユーザーにはあまり影響がない状態です。
さらに2020年から続いたコロナ禍による経済の停滞や、ウクライナ戦争への経済制裁として世界第3位のロシアからの原油輸入禁止、相変わらずの円安傾向などが複雑に絡み合い、ガソリン価格が高いままになっています。
ちなみに、燃費に関する情報サイト「e燃費」によると、近年でもっとも安かったのは2020年5月でレギュラーの価格は117.9円/L(実売価格)。それが2023年3月時点では153.5円となっており、その差額は35.6円/L。40リッター給油すると6140円となり、わずか3年で1回の給油で1500円近く違うわけです。
燃費性能に優れたクルマに乗り換えるのもひとつの方法ですが、新車の納期が長期化するなどの現状もあり、まずは地道に燃費向上や少しでも安く済ませるワザを駆使して出費を抑えたいところです。
燃料費を少しでも抑える方法には何があるのでしょうか。都内の大手ガソリンスタンドチェーンのH店長いわく、少しでも安い価格のガソリンスタンドで給油するのはもちろん、ポイントサービスの大きいクレジットカードに決済にまとめるメリットを教えてくれました。
「キャッシュレス化が進む現在では、各クレジットカード会社のポイントサービスやキャッシュバックサービスも充実しています。
なかでも大手のガソリン元売り会社が提供するクレジットカードであれば、給油はもちろん別の支払いでも毎月の利用金額に応じて、10円/L前後のキャッシュバックサービスを受けられます。月に2回程度の給油でも1000円近く燃料費を抑えることができます」
また、スタッフが常駐するフルサービスのガソリンスタンドより、自分で給油するセルフ式のガソリンスタンドのほうが安く給油できることが多く、これを活用しない手はないでしょう。
■タイヤの空気圧で燃費は変わる!
次に考えられるのは、運転作法。俗にいう「エコドライブ(燃費走法)」を心がけるのはもちろん、タイヤの状態にも気を使ってほしいと埼玉県のF整備士はいいます。
「タイヤの空気圧は外気温の変化にかなり影響を受けます。しかもタイヤの構造上、少しずつ確実に減ってくるものです。
これからの季節、行楽などで長距離ドライブする人は、タイヤの空気圧を適正より少し(20%程度)高めに入れておくことで、燃費の悪化を抑えることができます」
では「エコドライブ」とは、どんな運転操作をすればいいのでしょうか。
「まず挙げられるのが『急』がつく操作をしないことです。急加速や急減速を繰り返すことは燃費の悪化だけでなく、安全にも影響してきます。
とくに発進時がもっともガソリンを消費するとされていますので、最初の数秒間(5秒程度)はアクセルペダルをじんわり、ふんわり踏み、時速20km程度まで緩やかに加速させることを心がけるだけでも燃費の向上が見込めます」(F整備士)
これは高速巡航中にも当てはまり、一定の速度をキープするように心がけることが重要だそうです。
「ここでのポイントは、アクセルの踏み具合ではなく、一定の速度をキープする意識です。漫然と同じアクセル開度で運転している上り坂では速度が低下し、下り坂ではスピードが出過ぎてしまいます。
ブレーキを踏んでまたアクセルを踏むより、速度を一定に保つ意識が逆にスムーズな走行になり、結果的に燃費が良くなるというわけです」(F整備士)
無駄なアイドリングを減らすのも一定の効果があるとされていますが、実際はエンジンを再始動させるときに多くの電力と燃料を使用してしまうので、エンジンのオン・オフを頻繁におこなうとバッテリーに負荷をかけてしまいます。
「一時もてはやされた『アイドリングストップ』も、最近は非搭載車が増えています。信号待ちでエンジンをオフにするより、スムーズな発進のほうが燃費には効果的です。
また、エアコンを少し弱くする、とくに冷房は設定温度を少し上げるほうがよっぽど燃費には効くでしょう」
なお、冬に使用するエアコン(ヒーター)はエンジン熱を再利用していることもあり、燃費にはあまり影響がないといいます。
「あと、すぐに実践できるのが不必要な荷物を下ろすことです。ちょっとした荷物でも、1人分くらいの重さになってしまいます。車内や荷室は不必要な荷物を減らしておくほうが燃費は向上します」
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安いガソリンスタンドで給油することはもちろん、タイヤの空気圧を適正に保ったり、急発進せずにゆっくりアクセルを踏んだり、無駄な荷物を下ろすなど、小さな努力が燃費向上につながるようです。
また、目的地までのルートも燃費に影響する要素のひとつ。多少遠回りでも渋滞を避けたルートのほうが燃費は向上する場合が多いとされています。渋滞にハマることは時間も燃料も無駄にしてしまうというわけです。