雪のシーズンが終わり、冬の間クルマに装着していたスタッドレスタイヤをノーマルタイヤに交換する時期になりました。タイヤは保管方法によって劣化具合や寿命に差が出ると言われますが、少しでも長く使うにはどのように保管すれば良いのでしょうか。
■タイヤの間違った保管方法に注意!
朝晩は肌寒いものの、晴れた昼間には春の陽気が感じられる過ごしやすい季節になりました。
北海道や東北など降雪地域のドライバーも、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤに履き替える時期ではないでしょうか。
そこで気になるのが、クルマから外したスタッドレスタイヤの保管方法です。
タイヤを正しく保管するため、スタッドレスタイヤの特徴についてタイヤ専門店で働くスタッフに話を聞きました。
「スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと違い、低温下でも硬化しないようにオイルを多めに配合した素材を使用しています。
これが雪道や凍結路でのグリップ力に繋るのですが、その反面、熱による劣化に弱いという特徴があります」
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと特性が異なることもあり、保管方法によって寿命に差が出るといいます。
では一体どのように保管すれば良く、逆にやってはいけない行為はあるのでしょうか。
■保管前にはタイヤを洗浄すること
まず、タイヤは保管前に洗浄することをオススメします。
タイヤには砂や泥のみならず融雪剤などの化学的な汚れも付着しており、これらを放置することでゴムの劣化が加速してしまいます。
そのため保管前には水洗いで洗浄し、汚れを落としておくと良いでしょう。
もちろん洗ったあとはしっかり水気を切り、乾燥させてから保管してください。
また、タイヤのツヤを出すために洗浄後にタイヤワックスを塗る人もいますが、実はタイヤワックスは劣化を促進させる働きがあるため、使用しないほうが良いということです。
■日当たりの良い場所も、高温多湿の場所もNG
次に大切な点は、直射日光の当たらない場所に保管することです。
前述したように、スタッドレスタイヤは熱によって劣化することに加えて、紫外線を浴びることでも弾力性を失い硬化してしまいます。
また、湿度の高さもタイヤに悪影響を与えるため、じめじめした屋外も避けてガレージや物置といった室内に保管したいところ。
もしもマンション住まいなどでベランダしか保管場所がない場合には、遮光性を持つ「タイヤカバー」をかけておくと良いでしょう。
その際、タイヤを1輪ずつビニール袋に詰める人もいますが、湿気を溜め込んでしまい劣化を加速させる可能性もありますので、袋詰めしても閉め切らないようにした方がタイヤの寿命を伸ばせます。
■空気圧はパンパンにしない
タイヤの空気は自然に少しずつ抜けていくため、「次の冬にタイヤを装着するときに備えて保管前に多めに空気を入れておく」と言う人もいます。
しかし、これは実はタイヤにとって良いことではありません。
規定よりも多く空気を入れると、高まった内圧がタイヤにストレスをかけてしまい、ヒビ割れなどの劣化を加速させることにつながります。
だからといって完全に空気を抜くのもタイヤが変形する可能性がありますので、保管するタイヤの空気圧は既定値か、少し落とすくらいにとどめておく方が、タイヤへの負荷を軽減させるのに効果的だといいます。
■正しいタイヤの「置き方」とは
■タイヤの置き方は「タイヤの状態」によって異なる
外したタイヤを保管する一般的な方法としては、「タイヤを横に寝かせて重ねる」や「立てたまま横に並べる」、あるいは「タイヤラック」を使用して保管する人が多いでしょう。
タイヤがホイールに組み込まれている状態であれば、横に寝かせて重ねる方法で問題ありません。
重ねることで下のタイヤが変形しないか心配になりますが、ホイールやタイヤの丈夫なサイドウィール全体で上のタイヤの重量を受け止めるため問題は無いということでした。
では、ホイールから外したタイヤのみの状態ではどうでしょうか。
この場合は積み重ねてしまうと下のタイヤが変形する可能性があり、推奨は出来ないといいます。タイヤのみで保管する際は可能であれば縦に立てて置き、変形を防ぐよう心がけましょう。
逆にホイール付きのタイヤを立てた状態で保管すると、地面と接地している部分が平面に変形しやすく、次に装着して走ったときに振動を発生させる可能性があります。
そのほか、タイヤラックは小スペースに保管できるので便利なアイテムではありますが、ラックに乗った部分にのみ重量がかかるため変形の可能性が高いといいます。
タイヤラックを使用するときは、負荷が一部にのみかからないよう定期的にタイヤを回転させると安心です。
※ ※ ※
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと比べて使用期限が短く、本来の性能を発揮できる期間は、製造から約4年が目安とされています。
さらに、同じ製造タイミングのタイヤだとしても、保管方法によってその後のタイヤの寿命は大きく変わってしまいます。
タイヤは決して安い買い物ではありませんので、まだ使えるタイヤをダメにしないためにも、正しい保管方法をいま一度見直してみてはいかがでしょうか。