お医者さんのクルマ事情とはどんなものなのでしょうか。高級車に乗っているイメージの強いですがその背景にはプレミアムブランド各社の取り組みがあるようです。
■お医者さんは高級車ばっかり?そのウラ事情とは
高級車に乗っているイメージの強いお医者さんですが、その背景にはプレミアムブランド各社の取り組みがあるようです。
お医者さんのクルマ事情とはどんなものなのでしょうか。
「高収入の職業」と聞いて多くの人がイメージするのがお医者さんです。
厚生労働省による2022年度の「賃金構造基本統計調査」を見ると、「医師」の平均年収は1428万8900円で「航空操縦士」に次ぐ全体2位となっています。
実際の収入は、開業医か勤務医かによって大きく異なるうえ、担当する診療科などによっても左右されますが、総じて高収入であることはたしかと言えそうです。
そんなお医者さんは、愛車もプレミアムブランドの高級車であることが多いようです。
もちろん、収入に余裕があるからということがその大きな理由のひとつですが、それ以外にもお医者さんが高級車を選ぶメリットがあるようです。
実は、プレミアムブランドの多くが、お医者さん(医師や歯科医師)のための特別割引を用意しています。
特別割引は、各地域のお医者さんで構成される協同組合を通して行なわれることが多く、ほとんどの場合、おおむね数%の割引が受けられるようです。
また、車両価格の割引のほか、ブランドによっては、特別金利の適用やコンシェルジュサービスなどもあるといいます。
たとえば、東京医師歯科医師協同組合に加盟しているお医者さんの場合、レクサス、メルセデス・ベンツ、アウディ、ボルボ、ジャガー、ランドローバー、プジョー、シトロエン、ジープ、フィアット、アルファロメオ、トヨタなどの優遇が受けられるようです。
お医者さんは、一般的に高収入かつ社会的信用の高い職業であることから、プレミアムブランドにとって最高のターゲットであることは言うまでもありません。
また、お医者さんの家に生まれた子どもがお医者さんになるケースも多く、親子2世代にわたってそのブランドのクルマを乗り継いでくれるというメリットもあります。
こうした事情に加えて、開業医の場合にはクルマを経費として購入することで節税になるということも、お医者さんがプレミアムブランドの高級車に乗っているイメージが強い背景にあるようです。
■プレミアムブランドではないけれど…スズキとお医者さんの深い関係
一方、プレミアムブランドとは対極の位置にあるスズキも、お医者さんとは切っても切れない関係にあると言われています。
スズキは、1955年に初の量産型四輪車として「スズライト」を発表していますが、これは日本初の軽自動車かつ量産車初のFF車でもあるなど、日本の自動車史にとって非常に重要な意味を持つ1台です。
スズキによれば、このスズライトの記念すべきはじめての顧客は、地元静岡のお医者さんだったそうです。
クルマが高価だった当時、いかにお医者さんといえどもクルマを手に入れることは簡単なことではなく、このお医者さんも自転車で往診をしていたといいます。
しかし、悪天候時でも患者さんのために往診を続けたいという強い思いがあったことから、このお医者さんはスズライトの購入を決断したようです。
ちなみに、スズライトの次の1台も同じく静岡のお医者さんへと納車されたという記録が残っています。
このエピソードから60年以上が経過した現在では、お医者さんがあえてスズキのクルマを選ぶということはありません。
しかし、「社会が求めるコンパクトカーをお客様に提供する」というスズライトのコンセプトは、スズキの軽自動車やコンパクトカーにしっかりと生きているようです。
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アメリカの医療メディアが2021年に1万2000人のお医者さんを対象に行なった調査によると、最も人気のあるブランドはトヨタであったといいます。
また、2位にはホンダがランクインしており、意外にも堅実な選択をしていることがわかります。
これはあくまでアメリカのお医者さんのデータですが、日本のお医者さんも、実際には国産車を愛車としている人が多いのかもしれません。