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ホンダが新「オデッセイ」を初公開! 2年ぶり日本復活で「中国生産車」に! 姉妹車「エリシオン」も存在する中国での立ち位置は?

くるまのニュース 2023年4月11日 7時10分

ホンダは2023年4月に2021年末で生産を終了した「オデッセイ」を2023年冬に日本市場へ再導入することを明らかにしました。日本のミニバン市場をけん引したオデッセイはどのようなクルマだったのか、そして生産される中国市場ではどのような立ち位置なのでしょうか。

■ホンダが「オデッセイ」日本再導入を発表! そもそもどんなクルマなのか?

 2023年4月、ホンダはミニバン「オデッセイ」を日本市場に向けて再び投入することを発表しました。
 
 日本に投入されるのは中国の工場で生産されているモデルとも明かされましたが、中国でのオデッセイはどのような存在なのでしょうか。

 初代オデッセイは1994年10月に発表されました。

 バブル経済が崩壊した当時の日本では「恋人との時間」を過ごすデートカーが廃れ、より「家族との時間」を重視する風潮が生まれていました。

 その中で誕生したのがミニバンやクロカン、ワゴンを中心とした「RVブーム」でしたが、当時のホンダはラインナップの中心がコンパクトカーやセダン、そしてスポーツモデルと、流行に乗っかれるような車種がありません。

 その危機感から開発されたのが、アコードのプラットフォームを流用した「オデッセイ」です。

 新たに誕生したオデッセイはホンダのゲームチェンジャーとなり、落ち込んでいた業績をまたたく間に回復させました。

 そこから、ホンダは続々とステップワゴン、S-MX、CR-V、HR-Vなどのいわゆる「RV車」を投入していくことになります。

 一方で、オデッセイは北米市場にも投入されましたが、ボディは小さく、エンジンも非力と評され、独自の進化を余儀なくされます。

 そこで誕生したのが、ボディとエンジンを拡大させた北米専用のオデッセイです。

 2代目オデッセイは1999年に登場しましたが、日本向けと北米向けでは設計が異なり、北米は全長5m超のボディにパワフルなJ35A型3.5リッター V型6気筒エンジンを搭載。これにより北米市場での人気は確実なものとなりました。

 北米向けオデッセイは日本でも「ラグレイト」として販売されましたが、「ホンダブランド」という認識が強いだけでなく、日本には不向きなサイズと排気量で売れ行きは不調でした。

 これ以降、日本には日本のオデッセイ、北米には北米のオデッセイがそれぞれ販売されることとなります。

 日本向けオデッセイは3代目で新プラットフォームを採用したことにより、全高が低めのスポーティーなミニバンへと生まれ変わりました。

 このコンセプトは4代目にも受け継がれましたが、2013年に登場した5代目では再び刷新され、初代や2代目のような存在感のあるフォルムとなりました。

 5代目オデッセイは2度のマイナーチェンジを経て改良され、非常に長いライフモデルを記録します。

 そして2021年6月には、同年末の狭山工場閉鎖にともなって日本向けオデッセイの生産・販売を終了することが発表されました。

 販売実績も歴史もそれなりにあるモデルが打ち切られることは大きな衝撃となりましたが、ホンダは予定通り生産を終え、2022年9月には在庫分をすべて完売させたことにより、オデッセイ28年の歴史に幕を下ろしました。

 なお生産・販売が終了した際に日本市場のホンダ販売店には「次期型は出ないのか」、「ホンダ内にステップアップするモデルがない」、「いつか復活して欲しい」という声が寄せられていたといいます。

■オデッセイは、中国でどのようなカタチで受け入れられているのか?

 ですが、2023年4月にホンダは5代目オデッセイを再び日本に投入すると発表しました。

 発売は2023年冬とのことですが、一番の驚きはこのモデルが中国で生産されるという点でしょう。

 生産を行うのはホンダと広州汽車の合弁会社「広汽ホンダ」の「増城工場」です。

 この工場は2006年9月に広汽ホンダ2番目の工場として誕生し、年間24万台の生産能力を有します。

 中国向けオデッセイのみならず、アコードやアヴァンシア、アキュラ CDX、アキュラ RDXも生産しています。

 ホンダは以前よりたびたび海外工場製モデルを日本に輸入して販売しており、その中には北米製のラグレイトやアコードクーペ、セイバー、NSX、そしてイギリス製のシビックなどが該当し、最近では先代アコードがタイ製となっていました。

 ですが、今まで中国製モデルを逆輸入する形で販売したことはなく、今回のオデッセイがはじめての事例となります。

中国ではオデッセイの姉妹車として東風ホンダから「エリシオン」が販売されている

 オデッセイは中国で安定した売れ行きを記録しています。

 中国では競合相手の少ない「中型MPV」のカテゴリに属し、東風汽車との合弁会社「東風ホンダ」が製造・販売する姉妹車の「エリシオン」とともにカテゴリトップのシェアを誇ります。

 2022年通年の販売台数はオデッセイが4万4586台、エリシオンが4万28台となっており、その数を合計すると、中国ブランドが手がける上位ブランドの売れ筋車種も超える勢いとなります。

 とはいえ、ミニバン全体で見ると「大型MPV」のトヨタ シエナやトランプチ M8、ビュイック GL8、そしてデンザ D9など、全長5m超の車種がランキング上位を独占。

 それらに対してオデッセイは若干小さいため、大型ミニバン需要には対応できていません。

 また、オデッセイは現時点でガソリンモデルとハイブリッドモデルのみとなります。

 中国はまだ完全な「EV一辺倒」とはなっていないものの、プラグインハイブリッド(PHEV)に対する消費者の購買意欲は徐々に高くなっており、それに応えるモデルをオデッセイに設定することがカギとなるでしょう。

 中国向けオデッセイは2021年に久々のマイナーチェンジを行い、外装の刷新、そして中国の購買層が特に重視する「インフォテインメントシステム」における大幅な改良を施しました。

 それによって販売は一時的に増進したものの、抜本的な売れ行きとまでは言えない状況です。

 2013年より販売しているモデルでマイナーチェンジを何度も繰り返し、小規模ながらも販売を回復させるのでは、市場からの反応も冷ややかになる一方となり、競争力をつけるためには早急なフルモデルチェンジ、もしくは北米向けオデッセイの投入などが必要と言えるかもしれません。

 オデッセイの特徴とも言える「フルフラットになる3列目シート」などは競合車種にない機能として中国でも高く評価されており、それを含めてどうプレゼンスを発揮していくが重要となります。

 日本市場に限った話で言えば、生産終了からのブランクを経て復活するほどですから、それなりに販売を望む声があったと予想できます。

 ボディサイズも日本の環境に適していますし、新たに設定される「BLACK EDITION」はオデッセイに新たな風を吹かせることでしょう。

 なお日本市場において、複数のホンダ販売店では「再導入に関する問合せが多く来ている」、「詳細を知りたいという問合せが発表後来ている」という声が寄せられているといいます。

 数多くの新装備とともに満を持して日本市場復活を遂げるオデッセイの今後に注目です。

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