マツダのSUV「CXシリーズ」として、「7」が付いたモデルがかつて存在していました。同シリーズ最初のモデル「CX-7」とはどのようなSUVだったのでしょうか。
■スポーティさが魅力だった「CX-7」
「集中と選択」をキーワードにミニバンや商用車の自社生産を止め、らしさを発揮できるモデルに注力することで魅力的なモデルを多くリリースしているマツダ。
なかでも、現在はクロスオーバーSUVのラインナップの充実は目を見張るものがあり、コンパクトな「CX-3」から3列シートの「CX-8」、そして最新モデルとなる「CX-60」まで数多くのモデルを販売しています。
1990年代のマツダは自社で開発、生産するSUVはラインナップしておらず、スズキから「エスクード」のOEM供給を受けて「プロシードレバンテ」として販売していたり、フォードとの共同開発で生まれた「トリビュート」を販売するに留まっていました。
そんなマツダが完全オリジナルのSUV第1弾として2006年にリリースしたのが、CXシリーズ最初のモデルとなる「CX-7」です。
CX-7は2005年1月に開催されたデトロイトモーターショーで出品された「MX-クロスポルト」が源流となっており、マツダが持つスポーティなイメージをクロスオーバーSUVにプラスしたスタイルとなっていました。
フロントマスクは同時期に存在していた「RX-8」や「マツダスピードアテンザ」を思わせるシャープなヘッドライトに、大きく張り出した前後フェンダーなどを装着。いかにも走りのポテンシャルを秘めていそうなスタイルが特徴で、2006年1月に発表された市販モデルもこのデザインを踏襲したものが採用されています。
もちろんスポーティなのは見た目だけではなく、心臓部にはマツダスピードアテンザや「アクセラ」などにも搭載された2.3リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載。出力こそややマイルドな238馬力/35.7kg・mでしたが、3.5リッターV型6気筒エンジン並みのパワーを発揮しつつ、鼻先の軽い4気筒ということで軽快なハンドリングも楽しめました。
組み合わされるトランスミッションは、日本仕様は6速ATのみ(海外仕様では6速MTも存在)でしたが、前輪駆動モデルのほか、アクティブ・トルクスプリットによって後輪に最大50%のトルクを配分する4WDモデルも存在し、200mmを超える最低地上高のおかげでクロスオーバーSUVとしての資質も十分備えていました。
とはいえ、やはり得意とするのはオンロードであり、乗用車的なインパネデザインも相まってスポーツカーから乗り換えても走りを楽しむことができるという、マツダらしいクロスオーバーSUVに仕上がっていたのでした。
ただ、当時はまだ今のようにクロスオーバーSUV人気が全盛ではなく、またどちらかというと北米を意識したCX-7は全幅が1.87メートルと比較的大柄だったことや、装備が充実していた反面マツダのラインナップのなかでは高価だったこと(といっても最上級グレードで360万円ほど)なども相まって、デビューから時間が経つにつれて販売台数は右肩下がり。不遇の1台となってしまいました。
その一方でCX-7が存在したからこそ、その後に「CX-5」などが誕生したことは間違いなく、マツダにとって重要なモデルだったことは紛れもない事実といえるでしょう。
そんなCX-7は中古車価格も比較的こなれてきており、総額100万円以下で狙えるものが大多数。クロスオーバーSUVが欲しいけれど、人とはちょっと違ったモデルを求める人や、クロスオーバーSUVでも走りを諦めたくない人にとっては狙い目といえるかもしれません。
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マツダの新たなラージ商品群として、北米などではワイドボディのSUV「CX-70」が投入される予定ですが、CX以降の数字が7から始まるのは同じでも、CX-70がCX-7の後継車というわけではなさそうです。