クルマの中古パーツはインターネットを利用すれば簡単に手に入れることができます。ですが、多くのパーツは「ノークレーム&ノーリターン」で購入するなら自己責任となっており、万が一のトラブルが心配です。実際にネットで中古パーツを購入した人たちの失敗談を聞いてみました。
■自分のクルマについて知ることが失敗しないための第一歩
クルマの修理やドレスアップを安く済ませたいなら、中古パーツを利用するのが一番です。パーツによっては新品の10分の1以下の値段で手に入れられることもあり、倹約家にはたまらない存在といえるでしょう。
問題は中古パーツをどこで購入するかということです。かつては解体屋や中古パーツショップくらいしか選択肢はありませんでしたが、現在はインターネットが普及しており、ネットオークションやフリマアプリを通して誰でも気軽に買うことができるようになりました。
とはいえ、それらのサービスを利用するにあたって重くのしかかってくるのが、「ノークレーム&ノーリターンで」という条件です。
つまり、購入した商品がどんな状態であっても返品できず、泣き寝入りするしかないということ。ひとつひとつ状態が異なる中古パーツを、写真と文字情報から見極めるのはプロでも難儀するものです。
それだけにトラブルがないとはいえず、利用者たちはどのように向き合っているのでしょうか。実際にネットサービスを利用して中古パーツを購入した経験談を聞いてみました。
ネットオークションでドアミラーを購入したYさんは、自身の過失だと失敗談を話してくれました。
「ドアミラーをぶつけて壊してしまったのでネットで探していたら、ちょうどシルバーの中古がオークションに出品されていたので落札しました。
届いて現物を見てビックリしたのですが、シルバーだけど私のクルマの色とは違ったのです。
シルバーでも複数の色が設定されていたようで、ウェブサイトの画像では同じに見えたんですが、少し濃いシルバーだったんです」
インターネットの画像は撮影条件やモニターの設定などで実物とは異なった色合いに見えることが多々あります。こうした間違いは避けられないのでしょうか。
「今回の件については完全に僕のミスです。よく見たらオークションの出品タイトルに数字が書いてあって、それがカラーコードだったんです。
中古パーツを買うのが初めてだったのでそこまで気がつきませんでした。でも、新品なら3万円オーバーのドアミラーが約5000円で手に入ったのでヨシとします」(ドアミラーを購入したYさん)
カラーコードはボディのどこかに書かれていることがほとんどなので、それを確認しておけばタイトルの数字の意味がすぐに理解できたでしょう。
同じように、自車の情報を調べなかったばかりに失敗したというTさんは次のように話します。
「お恥ずかしい話ですが、ひとつ前の型のパーツを落札してしまいまして。トノカバーなんですけど、もちろん全然使えなくて……」
自分のクルマと同車種でも、旧型や新型のパーツを買ってしまう失敗は意外と多いといいます。
なかにはアルミホイールのように使えることもありますが、型が違えば使えないことがほとんど。そうならないためにも、車検証の「型式」をチェックしておくことが大切です。
オークションにしてもフリマにしても、ほぼ必ず型式はどこかに記載されていますので、車検証の型式と照らし合わせればこうしたミスは防げるでしょう。
■わざと? たまたま? 壊れていたパーツも流通している!?
インターネットを利用しての中古パーツ購入は、自身のミスにより痛い目を見ることもありますが、こちらに非がないにも関わらずトラブルになることもあります。
そんな失敗例として、Bさんはトランスミッションを制御するコンピュータを購入したのですが、壊れているものを掴まされたといいます。
「私が乗っている車種には定番の弱点があり、例に漏れず壊れてしまったのでインターネットで探していたんです。そうしたらちょうどオークションに出品されていたのですぐに落札しました。
届いてから自分のクルマについていたコンピュータと交換してみたんですが、落札したコンピュータも壊れていたのです」
見た目では壊れているかどうかは分からないパーツだけに、避けることはできないのでしょうか。
「説明文には『古いから廃車にするのですが、普通に乗っていた(動いていた)クルマから外した部品です』と書いてありました。
ただ、それが本当かどうかも分かりませんし、そもそも一定の条件下でしか不具合が出ないから気づいてなかったのかもしれません。
配送中に衝撃で壊れたかもしれませんし、もしかしたら私が取り付けるときに壊してしまったのかもしれません。
どちらにせよ、どうにも証明できませんし、そもそもノークレーム&ノーリターンなので諦めるしかありません」(トランスミッションを制御するコンピュータを購入したBさん)
こうしたトラブルを避けるには、実店舗にせよインターネットにせよ、保証付きで販売している中古パーツを利用するほかありません。そのぶん価格は高いのですが、リスク回避と考えれば許容範囲といえる出費ではないでしょうか。
クラックの入っているアルミホイールを買ってしまったWさんは、回避法のひとつを教えてくれました。
「ありがちな『状態は画像で判断してください』という説明文だったんですが、画像に写っているホイールが汚れていたんです。そのせいもあって画像からクラックを発見することはできず、手元にきて初めて気づきました。
それ以来、中古パーツに手を出すときはある程度きれいに掃除されているものを選ぶようにしています。
最近は親切な出品者が多く、クラックの有無をちゃんと書いてくれていることが増えましたが」
キズを隠すためにわざとそうしたのか、単に面倒だから掃除しなかったのかは分かりませんが、汚れが酷いと状態を見極めにくいというのは間違いありません。
中古車選びでも同じことがいえますが、そうしたクルマやパーツは避けたほうが無難でしょう。
※ ※ ※
そのほかでは、クルマのパーツは大きく重いものが多く「送料がとても高かった」とか、「個人宅まで配送してもらえず営業所留めしか選べなかった」といった配送系の不満もありました。
しかし、これは落札・購入前に説明文や質問で確認すべきこと。納得できなければ諦めるのが正解です。
また、無事に入手できたものの、「難しくて取り付けできなかった」という話も少なくありません。その場合はプロにお願いするのですが、自身で購入したパーツ持ち込みの場合、取り付け工賃は割増料金になることが多いことを覚えておきましょう。
インターネットを利用した中古パーツの購入はトラブルもありますが、その何割かは事前の確認で回避できることです。
失敗しないためにも、まずは愛車の情報が記載されている車検証を携帯電話のカメラで撮影して、いつでもチェックできるようにしておくと良いでしょう。