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日産が「めちゃレトロ」なコンパクトカー売ってた? 丸目がカワイイ「Be-1」は世界的レトロブームの先駆けだった!

くるまのニュース 2023年4月26日 22時10分

コンパクトカーのなかでも、世界ではレトロなデザインを特徴とするモデルが複数存在します。そんなレトロカーの元祖ともいえる日産「Be-1」登場から35年以上が経過しました。どのようなクルマだったのでしょうか。

■デビュー35年! 改めて振り返りたい「元祖レトロカー」

 1980年代半ばから1990年代前半にかけ、日産は少量生産の限定モデルを相次いで発売し好評を博していました。その第1弾が、1987年発売の「Be-1(ビーワン)」でした。
 
 その後世界的に巻き起こったレトロカーブームを生み出した「元祖」ともいえるBe-1の功績について、改めて振り返ります。

 日産は1985年10月の第26回東京モーターショーに、35台ものコンセプトカーを出展しています。

 そのなかでもコンパクトカーのコンセプトモデルBe-1は、かなり特異な存在でした。

 初代「マーチ」のメカニズムをベースに、オリジナルのレトロなデザインの内外装を与えた個性派です。

 丸目2灯ライトが映える表情豊かなフロントマスクをはじめとする丸みを帯びた優しいフォルムや、シンプルかつナチュラルなテイストの内装などが特徴でした。

 いま改めて見てみると、単なる懐古趣味ではなく、現在でも通用する普遍的なデザインであることがわかります。

 モーターショー出展にあたって日産は、Be-1の位置づけについて次のように説明します。

「日産自動車が現在のクルマ社会に対して、心の余裕を持つことを提唱するクルマである」

 当時は好景気真っ只中。テクノロジーも大きく進歩を遂げており、東京モーターショーでも各社が競いながら最先端技術や、斬新なデザインを出展していました。

 先進的で性能に優れ、未来感のあることが良しとされるイケイケな時代にあって、高性能さをまったくウリにしないBe-1が大いに注目されたのは、興味深いところです。

 反響の大きさを受け、日産は市販化を決定。1987年1月に1万台限定で発売を開始したところ、発売直後の2週間で約6000台の受注を獲得し、わずか2か月後の3月には注文の受付を終了してしまいました。

 最終的には1万台を超える注文が殺到し、抽選での販売となっています。その後も中古車市場でプレミア価格をつけた取り引きがされるなど、多くの話題を呼んだモデルでした。

 少量限定生産の個性的なレトロカーに金脈を発見した日産は、1989年に「PAO(パオ)」、1991年には「Figaro(フィガロ)」と相次いで発売しています。これら一連のシリーズは「パイクカー」と呼ばれています。

 ちなみにパイクとは「槍の先」を指す言葉です。日産では、少量限定生産で強い個性と遊び心がある「とんがった性格のクルマ」を表していると説明しています。

 残念ながら1990年代半ば以降の経営不振が影響したのか、フィガロの後に続くモデルは登場していません。

 ただ1994年登場の「ラシーン」が、量販モデルながらパイクカーのコンセプトで登場したほか、2002年にフルモデルチェンジした3代目マーチも、レトロ感あるかわいらしいデザインで評判を呼ぶなど、そのテイストは少なからず受け継がれていました。

 しかしいつしか、日産のこうした流れも途絶えてしまったのは残念な限りです。

※ ※ ※

 海外に目を向ければ、「ミニ」やフィアット「500(チンクエチェント)」など、過去のレトロなデザインを現代によみがえらせたモデルが好評を博しています。

 世界に先駆け、こうした道筋をつけたともいえる、偉大なBe-1のデビューから35年以上が経過した今、改めて日産の「元祖」パイクカー復活に期待したいところです。

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