春は全国各地で道路工事が行われます。それに伴い工事規制などが実施されますが、工事規制中の作業現場に衝突し、規制車両が大破する事故が発生しています。では、どのようにして防ぐことが出来るのでしょうか。
■高速道路での工事車両との事故、ドライバーが注意すべきことは?
クルマで高速道路を走っていると、道路の舗装やガードレールなどの工事で車線が規制されていることがあります。
そのような中、一般のクルマが作業現場に突っ込む事故も発生していますが、運転するに当たってどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
2023年4月14日、NEXCO東日本東北支社の公式Twitterは高速道路上で発生した交通事故の写真とともに以下のコメントを投稿しています。
「【工事規制中事故多発!】高速道路を走行中の車両が、工事規制中の作業現場に衝突し規制車両が大破する事故が発生しています。
工事規制箇所では、標識や看板の案内に従い余裕を持った進路変更や十分な車間距離の確保など、安全な走行をお願いします」
写真には、黄色い工事規制車両の後部が衝突によって大きくひしゃげている様子が写っており、事故の衝撃の大きさを物語っています。
高速道路では道路舗装や事故によって壊れたガードレールの復旧作業など道路工事が日常的におこなわれていますが、高速道路を走っているクルマが道路工事で車線規制をしている区域に突っ込む事故はたびたび発生しており、NEXCO東日本東北支社の管内では2022年中に9件の事故がありました。
NEXCO東日本東北支社の担当者はTwitter上で事故の広報をおこなった理由について、以下のように話します。
「東北では雪や路面凍結の影響もあり、冬の間の工事規制は少なくなっています。
しかし、春に入り今後工事件数が増えるため、ドライバーにはより注意していただきたいと考え投稿しました」
また事故の状況に関しては次のように述べています。
「投稿した写真のように工事規制車両に思い切り衝突する事故のほか、サイドミラーのみが接触する事故、規制場所に設置していた矢印板とぶつかる事故なども起きています。
クルマの破損が小さな事故であっても、一歩間違えれば大事故につながっていたケースもあります」
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高速道路ではクルマのスピードが出やすい傾向にあるため工事規制には十分気をつけなければいけませんが、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
まず、どこで工事規制が行われているのかをドライバーが意識しておくことが大切です。
前出の担当者によると、規制区間の情報はNEXCOのホームページやハイウェイラジオで広報しているほか、インターチェンジ付近にある情報板に「この先○km工事規制」といった掲示をおこなっているとのことで、運転前に情報を確認したり、運転中にも周りの状況をよく見ておく必要があるといえます。
■工事規制の注意喚起はどの位置から始まる? 通常の事故と対応異なる?
さらに、高速道路で工事規制をおこなう際には規制区間の前から標識を設置して注意を呼びかけているため、その点にも留意しましょう。
規制方法に関して前出の担当者は以下のように説明しています。
「工事規制の際は道路工事をしている1500m前から注意喚起をおこないます。
具体的には1500m前と1000m前の地点に道路工事中の警戒標識を設置し、800m前の地点には車線数絞り込みの警戒標識を設置します。
また500m前地点に道路工事中の標識、300m前地点に車線絞り込みの標識をそれぞれ設置。
そして200~300m前の地点にクルマが走行すべき車線を示す矢印板を置いて車線を絞り込みます。
この規制方法はあくまで一般的なもので、道路の場所や形状などに合わせて適宜変更することもあります」
そのほか、このような事故が発生する原因について担当者は、次のように述べています。
「大きく2つの原因があると分析しており、1つめは車線が規制されるギリギリまでドライバーが車線変更をおこなわず、車線がせばまってくる場所で無理に追い越しをすることです。
また2つめの原因としては、漫然とクルマを運転しており規制表示に気づかずに突っ込んでしまうことが考えられます」
事故を起こさないためには、車線の規制が告知されている場所ではゆとりを持って車線変更をすること、規制情報を注視しておくことが重要といえるでしょう。
また一般のクルマと規制車両との事故が発生した際の対応について、担当者は「基本的には一般的な交通事故と同様であり、高速隊(高速道路交通警察隊)の警察官が実況見分などの事故処理をおこないます」と回答しています。
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これらのように工事規制車両に突っ込むといった交通事故を起こさないために高速道路の規制情報をよく確認する、まわりの表示板や警戒標識を注視する、ギリギリで車線変更をおこなわないなど安全運転を心がけましょう。