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なぜ「車中泊トラブル」は減らない? 利用者マナーが原因も…すぐに解決出来ない理由とは

くるまのニュース 2023年5月3日 9時10分

GWには全国各地で車中泊をする人が増えると言います。そうした中で問題視されているのが「車中泊マナー」です。特に「ゴミ」と「騒音」によるトラブルが絶えないといいますが、具体的にはどのような状況なのでしょうか。

■車中泊のトラブルは相変わらず止まらず…なぜなのか?

「車中泊」という言葉が定着してから久しいですが、コロナ禍が完全に沈静化していないことや、景気低迷が要因となって、車中泊をする人が相変わらず多いようです。
 
 それに伴い、車中泊トラブルが後を絶ちません。

 車中泊のトラブルで多いのが、「騒音」と「ゴミ」、そして「駐車スペースの占有」です。

 こうしたトラブルの多くは、道の駅や高速道路上の施設、公園などの公共駐車場で発生しています。

 トラブルの具体例としては、深夜までの騒音の発生、ゴミの投棄、電源の不法使用、排泄物の処理などが挙げられます。

 しかし調査をしてみると、こうしたトラブルを起こしているユーザーはある層に偏っていることが分かってきました。

 昨今、車中泊というと手軽な普通の乗用車で行う以外にキャンピングカーで行う人も当然います。

 キャンピングカーを展開するビルダーの多くは「日本RV協会(JRVA)」に加盟しており、この団体が積極的にユーザーの啓蒙や車中泊施設の整備(RVパーク)などの活動を行っています。

 こうした活動の甲斐もあって、日本のキャンピングカー黎明期に比べると、ユーザーのマナー意識が格段に向上しているのは確かです。

 東京都内のキャンピングカーオーナーはこのように語ります。

「キャンピングカーを持っている人の多くは、ニュースなどで報じられているような“無法者”扱いに心外に思っている人が多いと思います。

 実際にキャンピングカーに乗っている人は、オーナー同士の連帯感などもあって、マナーを大切に考えています。

 キャンピングカー=悪者というイメージが嫌だからです。

 ですから、車中泊時には道の駅や高速道路施設を休憩以外では極力利用しないようにしているオーナーが多いと思います。

 よくゴミとか騒音とか問題視されますが、我々が見ているかぎりでは、普通のミニバンやワンボックスで車中泊しているような人がほとんどです」

 埼玉県内にあるRVパークの責任者も、次のように語ります。

「そもそも自分で高額のキャンピングカーを買うような人たちですから、マナーが悪いというようなことはありません。

 皆さん、RVパークでお金を払って寝泊まりするという意識を持っているので、ここで問題を起こすような人はいません。

 むしろ問題があるのは無料で駐車できる道の駅などの公共施設だと聞きます」

 道の駅を管轄する国土交通省に取材をしたところ、実際にトラブルの発生を認めた上で、こうした車中泊トラブルへの対策の一環として、RVパークを併設する道の駅が徐々に増えているといいます。

 国土交通省によれば、2023年4月現在で全国1204カ所の道の駅のうち、RVパークを併設しているのは33カ所。まだ数としては少ないですが、今後もRVパークの申請を検討中の道の駅もあるようです。

 ただ、RVパークにすることが、必ずしも問題の解決には繋がらないという実情も。山梨県内にあるRVパーク併設の道の駅の担当者に話を聞きました。

「ウチは2年ほど前からRVパークも開設しています。

 開設前から、ゴミの不法投棄の問題がありましたが、RVパークを造ったからといって、その状況が劇的に改善されたわけではありません。

 というのも、ゴミを投棄の多くが、RVパークではない駐車スペースを利用している人からなんです。

 どの道の駅でも同じだと思いますが、駐車スペースすべてを有料にできないので、なかなかこういった問題を完全に解決することは難しいです」

■道の駅だけでない…キャンプ場でのトラブルとは

 車中泊のトラブルは、公共施設のみで起きていることではありません。

 キャンプ場でも頻繁に起こっているといいます。関東にある有名キャンプ場のスタッフは、次のように語ります。

「ウチもそうですが、車内で寝ることをお断りしているキャンプ場が最近増えています。

 原因はやはり音です。夜中にトイレに行くのに、スライドドアを乱暴に開け閉めする、カーオーディオを大きな音で鳴らす、エンジンをかけたまま寝るなど。

 受付時に事前説明をしても、深夜はスタッフがいなくなるキャンプ場が少なくないため、結局はイタチごっこになります。

 そうしたことから、車中泊禁止にしたほうがテントを利用するお客様に嫌な想いをさせずに済みます」

 しかし、コロナ禍が発生して以降、キャンプ場に来る車中泊客はますます増加しています。

 そういった人の多くは、テントの設営などキャンプの基本的なノウハウを知らないことが理由で、ミニバンやSUVで車中泊するようです。

深夜のキャンプ場ではドアの開閉音が意外と騒音トラブルに発展するという

 別のオートキャンプ場のオーナーに、その実態を聞くことができました。

「キャンプ場で車中泊する人のほとんどが、キャンプ初心者なんです。

 中には雨の日に設営撤収が面倒だから車内で寝るというエキスパートもいますが、キャンプをやったことがないし、道具がないから車中泊するという人が多いです。

 そういった人は、当然キャンプの基本的なマナーも知らないので、開放的な自然の中で何をやってもいいというようになりがちです。

 ゴミを指定場所に捨てないばかりか、使った道具をそのまま置いていってしまう人もいます。

 むしろ、お金を払ってるんだからそのくらいいいでしょうという考えが、キャンプ慣れしていない人にはあるみたいですね」

※ ※ ※

 日本RV協会では、車中泊マナーの啓蒙活動を行っていますが、キャンピングカーユーザーではない一般ドライバーには、なかなか認知されにくいという面もあります。

 マナーという根源的なものが関係するこれらの問題には、未だ決定的な解決法が見いだせていないようです。

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