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ドライブ中に「クマ・シカ出現!」どうする? 暖かくなると人里にも! 遭遇時のNG行為や対処法は?

くるまのニュース 2023年4月29日 9時10分

道路に野生動物が飛び出して避けきれずに起きる事故、いわゆる「ロードキル」が意外と多く発生します。ロードキルの対策や、轢いてしまったときの対処法について調査しました。

■野生動物との「ロードキル」は年間約5万件も高速道路で発生している!?

 暖かくなると野生動物が市街地に出没することが多くなります。では、もし遭遇した場合の対処や衝突した場合の対応はどうすれば良いのでしょうか。

 2023年4月5日、HTB北海道ニュースは北海道内の山中をクルマで走行中のドライバーが、道路上でクマと遭遇したニュースについて報じました。

 同ニュースでは、道路上に現れたクマがクルマに向かって走り出す様子のほか、2022年8月に北海道の知床横断道路においてクマがドアミラーをつかんで車体を揺さぶる動画などが紹介されています。

 北海道に生息するヒグマの場合、3月から5月は冬眠明けの時期であり、5月頃からは子連れのメスや独り立ちしたばかりの若いオスが市街地付近に出没しやすくなるといわれています。

 札幌市が公表している「札幌市ヒグマ出没情報」によると、2023年4月1日から4月26日現在までの間に札幌市だけでも13件の出没情報が報告されており、春に入ってヒグマが現れやすくなっているといえるでしょう。

 また過去の調査ではクマやシカとの衝突事故が年間で約2000件報告されており、なかにはドライバーが死亡する事故まで報告されています。

 北海道のみに生息するヒグマの体長・体重はオスで約2m・約150~400kg、メスで約1.5m・約100~200kgである一方、本州に生息するツキノワグマについては体長が約1.1~1.3m、体重はオスで約60~150kg、メスで約40~80kgです。

 いずれも高い運動能力を持っており、衝突されればクルマが大きく破損する可能性もあります。

 安易に近づくと大変危険ですが、クルマを運転中にクマに遭遇してしまった場合、どのような対応をとれば良いのでしょうか。

 以前に環境省と公益財団法人知床財団が作成した資料では、クルマでクマに出会った際の対応として「なるべく手前で距離をとり、むやみに近づかない」、「クルマから降りない」、「窓を閉める」、「スピードを落としてすみやかに通過する」といった方法を指導していました。

 ドライバーの中には興味本位でクルマから降りて写真撮影をしたり、エサなどを与えるケースもありますが、クマが急に近づいてくれば怪我をするおそれがあるほか、クマが人間の食料の味を覚えると人里に降りてくる可能性が高まるため、絶対にクルマから降りず、その場をすみやかに離れることが重要です。

 また、クマがドアを引っ張った際にドアが開かないようロックをかけておきましょう。

 たとえ道路上にいたクマが子グマであっても、近くに母グマがいることが考えられます。

 母グマは子グマを守るために神経質・攻撃的になることが多く、子グマを見かけた場合でも近づかず、すぐにその場を離れましょう。

※ ※ ※

 なお、高速道路においてNEXCO3社(東日本・中日本・西日本)および本四高速、首都高速、阪神高速でのロードキル発生件数は、2002年には約3万6000件だったのに対し、2018年には約4万7400件まで増加。

 これらの犠牲動物で圧倒的に多いのがタヌキやネコ、ウサギといった小動物やトビやカラスなどの鳥類も多く報告されています。

■動物と衝突事故を起こしたら…どうすればいいの?

 そのほか、市街地にはクマだけでなく野生のシカが現れるケースもたびたび報告されています。

 シカは元々おとなしい動物ですが、臆病な性格でもあるため急に近づいたり、大声を出して驚かしたりすると突然走り出して危険な行動をとる可能性があります。

 クルマを運転中にシカを見かけた場合もクマと同様、むやみに近づかず、別の道を通るようにするなど冷静な対応をとりましょう。

 また、シカに限った話ではありませんが、野生動物は病原菌を持っていることがあるため、おとなしい動物でも触らないこと、触ってしまった場合には手洗い・うがいをするといった措置が大切です。

シカは山道で遭遇率の高い動物で夜中にいきなり目の前に現れることもある

 もしクルマを運転中に野生動物と衝突した場合には、交通事故として警察に連絡する必要があります。

 基本的に事故処理の対応は一般的な事故と変わりませんが、相手に事故の責任を問えないため、クルマの修理費用などはドライバー自身で支払うか自動車保険を利用しなければいけません。

 衝突した動物については、生きているか死んでいるかにかかわらず素手で触らないようにします。

 野生動物が生きていれば動物病院や保護施設に運んだり、死んでいれば道路管理者や自治体が処分するなどの対応が考えられますが、まずは駆けつけた警察の指示を仰ぐと良いでしょう。

 野生動物が飛び出してくる可能性のある道路には「動物が飛び出すおそれあり」の警戒標識が設置されている場合もあるため、急な飛び出しに備え、スピードを落として走行することも肝要といえます。

※ ※ ※

 春になると気候が暖かくなり、野生動物が食料を求めて人里に下りてくることも珍しくありません。

 山間部の道路をクルマで走る際には事前に野生動物の出没情報を確認しておき、万が一遭遇した場合でも動物を刺激しないよう落ち着いた対応を心がけましょう。

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