トヨタは2023年秋以降に発売予定の新型「クラウンスポーツ」について、4月末にプロトタイプ車両をお披露目しました。複数のボディカラーが用意されるなかでも異彩を放っていたのが「マットブラック」塗装のモデルでした。
■新型クラウンスポーツの「凄味」を際立たせていた「マットカラー」とは
トヨタは2023年4月下旬、今秋以降に発売を予定している新型「クラウンスポーツ」を先行公開し、メディアや招待ユーザーに初披露しました。
会場には赤や白のボディカラーの車両が並ぶなか、凄味のある独自の存在感を放っていたのが「マットブラック(艶消し黒)」に塗られたクラウンスポーツでした。これはどのようなモデルなのでしょうか。
1955年の初代誕生以来、65年以上に渡りトヨタの高級車ブランドとして進化し続けてきた「クラウン」ですが、2022年7月に発表された16代目新型クラウンシリーズは、大きな変革を遂げたことで話題を呼びました。
日本をメイン市場と捉え、セダン中心のラインナップとしてきた歴代モデルとは異なり、16代目となる新型モデルでは「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」の4タイプを揃え、世界市場に向けたグローバルモデルとして販売することを明らかにしたのです。
まず2022年9月に新型クラウンクロスオーバーが先行発売を開始。続いて2023年4月12日には、残る3シリーズの情報が追加公開され、2023年秋から2024年にかけ順次発売していくことも発表しています。
なかでも新型クラウンスポーツは、秋頃にハイブリッド車(HEV)を発売し、次いで同年冬頃にプラグインハイブリッド車(PHEV)を追加発売する予定です。
ともに駆動方式は4WDだといいますが、各パワートレインの詳細についてはまだ公開されていません。
今回4月下旬にお披露目されたのは、これら新型クラウンスポーツのプロトタイプモデルです。
トヨタの新型クラウン先行情報を紹介する公式ウェブサイトのなかで、新型クラウンスポーツは「俊敏でスポーティな走りが楽しめる、新しいカタチのスポーツSUV」と紹介されています。
ボディサイズは、全長4710mm×1880mm×1560mm、ホイールベース2770mm(開発目標値)。先行発売された新型クラウンクロスオーバーに比べ、全長で220mm、ホイールベースで80mmそれぞれ短い一方、全幅は40mm広く全高は20mm高くなっています。
実際に会場でも新型クラウンクロスオーバーと並べられていて、新型クラウンスポーツがより凝縮されたスポーティなフォルムであることが伝わってきます。
当日の会場に展示されていた新型クラウンスポーツのボディカラーは、赤と白、そしてマットブラックの3色でした。
赤は、明るいソリッドの赤ではなく深みのある上質な色味で、ボディの情感を引き立てます。一方で白は、スポーティかつ軽快な印象を与えるものです。
そしてひときわ異質だったのが、マットブラックに塗られた新型クラウンスポーツです。
会場のトヨタ関係者によるとこれは「公道などでテストする車両に塗られる擬装(カモフラージュ)用カラーです」とのことでした。
ツルンとした通常塗装に比べ車体のフォルムが明確に判別しづらいことから、テストの用途に採用されているといいます。
しかしこのマットカラーには他のカラーにはない独自の凄味が感じられ、新型クラウンスポーツの躍動感あるスタイリングとも良好なマッチングをみせていました。
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また2023年5月1日にはトヨタ公式SNSにてマットカラーの新型クラウンスポーツの写真が公開されており、「カッコいい」「マットブラック、かっこいいですね」「次世代のクルマって感じがイイ!」「イケメンすぎだろ」といった声が寄せられました。
なおトヨタの公式サイト上にはボディカラーとして、単色で5色、バイトーン(2トーン)で5色の全10色が掲載されていますが、このマットカラーは用意されていないようです。
艶を抑えた特殊な塗装のため、量販化は難しいとされるマットカラーですが、こうした反響の大きさを考えると、台数限定での販売なども検討して欲しいところです。