日産のスーパーマシン「スカイラインGT-R」はその多くが2ドアクーペですが、実は2つの4ドアセダンモデルも存在しています。歴史的な2モデルについて紹介します。
■例外ではなく実は「4ドアセダン」こそがGT-R本来の姿だった!?
日産を代表するスーパースポーツカーである「スカイラインGT-R」といえば、2ドアクーペのスポーティなスタイルが一般的ですが、なかには“4ドアセダンのGT-R”も存在しています。
50年以上の歴史で2モデル存在した4ドアモデルを紹介します。
スカイラインGT-Rは、レーシングカー用に開発された2リッター 直列6気筒 DOHC「S20」型エンジンを搭載するという、当時としては非常にスパルタンな成り立ちで、1969年2月に誕生したPGC10型2000GT-Rが始まりでした。
これは、当時おこなわれていたツーリングカーレースに参戦するためのもので、レース車両は市販車がベースでないといけませんでした。
ベースとなったのは、3代目(C10型)スカイラインの上級モデル「スカイライン2000GT」4ドアセダンです。
翌1970年10月には、ホイールベースが短く運動性能が高い2ドアハードトップモデルにベース車を変更したKPGC10型に移行し、わずか2年弱で4ドアセダンのスカイライン2000GT-Rは消滅しています。
1973年にフルモデルチェンジし、わずか3か月のみ生産された2代目スカイライン2000GT-R(KPGC110型)は同様に2ドアハードトップモデルで登場しています。
その後、1989年に復活した3代目となるBNR32型(R32)スカイラインGT-Rも、運動性能を重視した2ドアスポーツクーペがベース。以降、1995年登場の4代目BCNR33型や、1999年登場の5代目BNR34型も同様に2ドアモデルでした。
そしてスカイラインの名が消え独立車種となった後継モデルのR35型「GT-R」もこうした系譜を受け継ぎ、現在も生産を続けています。
しかしそんなスカイラインGT-Rの歴史のなかでも、初代4ドアセダンの精神を受け継いだ唯一のモデルが存在しています。
それが、スカイライン誕生40周年を記念して1997年12月に登場した「GT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」(以下、GT-Rオーテック)です。
コンセプトは「大人のための国内最高性能4ドアスポーツセダン」。
単にスカイライン4ドアセダンの車体を流用したのではなく、リアドアとリアフェンダーにはオリジナルのブリスターフェンダーを加えワイドボディにするなど、手が込んだ造りとなっています。
一方でクーペのBCNR33型スカイラインGT-Rに対しフロントスポイラーの形状は控えめで、リアスポイラーも非装着と、シブい佇まいも魅力です。
2.6リッター「RB26DETT」型ツインセラミックターボエンジンや、電子制御トルクスプリット4WD「アテーサE-TS」、後輪操舵システム「ヨーレイトフィードバック スーパーハイキャス」、そしてブレンボ社製ブレーキなど、BCNR33型スカイラインGT-R同様の性能が盛り込まれました。
製作は、日産のカスタムカーを多く手掛けるオーテックジャパン(現日産モータースポーツ&カスタマイズ)が担当しています。
発表当時の価格は498万5000円(消費税含まず、以下同)。ちなみに当時のスカイラインGT-R(1997年2月マイナーチェンジモデル)が488万5000円でした。
非常に手間のかかったスペシャルなモデルながら、わずか10万円高に抑えられていたのも注目ポイントといえます。
日産によるとGT-Rオーテックはおよそ400台が生産されたといい、初代同様に希少なモデルとなりました。
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前出の通り、現行のR35GT-Rを含め歴代のGT-Rは確かに2ドアクーペ(もしくはハードトップ)が主流でした。
しかし初代の成り立ちを考えれば、むしろGT-Rは「4ドアこそ正統」といえるかもしれません。
[編集部注記:2023年5月12日、本文中の文字を一部修正しました]