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ドライバー自ら給油する「セルフ式ガソリンスタンド」やってはいけないNG行為がある!? 守るべきルールとは

くるまのニュース 2023年5月19日 14時10分

ガソリンや軽油をドライバー自らが給油するセルフ式ガソリンスタンドでは、安全に給油するために禁止事項が存在します。一体どのようなことなのでしょうか。

■セルフ式ガソリンスタンドのルールとは

 近年は増加しているセルフ式のガソリンスタンド(以下、セルフ式GS)では、ドライバー自らがガソリンや軽油の給油をおこないます。
 
 セルフ式GSではスタッフの姿が見えないことが多いですが、実は危険物取扱者の資格を持った「危険物取扱者」が保安を監督しているのです。

 総務省消防庁により、セルフ式GSの定義が下記のように定められています。

・顧客自らによる給油作業を監視し、及び制御し、並びに顧客に対し必要な指示を行う
・給油作業を直視等により適切に監視する
・放送機器等により、顧客の給油作業について必要な指示を行う
・火気のないことその他安全上支障のないことを確認した上で、制御装置を用いて給油作業を開始する

 フルサービスのGS場合、このような安全確認作業を店舗スタッフが行いますが、セルフ式GSもそれは同様。店舗スタッフまたは遠隔監視装置にて安全確認を行い、安全確認後「給油承認ボタン」を押すことで燃料がノズルから出る仕組みになっています。

 そんなセルフ式GSでは、給油するドライバーがやってはいけないNG行為があるといいます。それは一体どのようなことなのでしょうか。

 まず、「手を離して給油する」はやってはいけません。

 燃料の毎分あたりの給油量は、セルフ式GSでは毎分30リッターから35リッターとなります(フルサービスは毎分45リッター)。

 毎分30リッターから35リッターというのは1秒あたり約0.58リッターの流量となり、500mlのペットボトルが1秒で空になる流量です。これだけの流量がある給油ノズルから、手を離して給油することは非常に危険になります。

 次に「電子機器(携帯・スマートフォン)を使用しながら給油する」こともNGとされています。

 2000年に発表された「消防科学研究所報37号」では、GSの可燃性蒸気が爆発範囲内の濃度になっている怖れがある場所で携帯電話を使用した場合、この携帯電話が火源となって可燃性蒸気が着火するか否かについて研究が実施されました。

 結果として、「発信実験924回、着信実験800回、バッテリ一着脱実験を4000回行ったが、爆発は発生しなかった」と発表されたのですが、最終考察部分で「当庁危険物課からの要請に基づき実施したが、安全に絶対は無く、また一般に災害は様々な要素が重なり合って発生するものであり、本研究結果から即、全ての携帯電話を、いかなる条件の下で使用しても安全だという結論を導くことには無理がある。安易に油断することなく、各種事故防止を念碩においての使用自粛が望ましい」とまとめられています。

 スマートフォンやその他電子機器を使用しながらの給油は注意力散漫になり、燃料吹き出しを招く恐れがあり、2次災害に繋がります。消防科学研究所も「災害は様々な要素が重なり合って発生する」とコメントしており、事故災害防止の観点から使用するのは控えたほうが良いでしょう。

■エンジンかけたままの給油はNG!

 次に「エンジンを始動したまま給油する」ですが、これはエンジン熱や火花が引火源になる危険性があります。

 ガソリンは気温がマイナス40℃でも気化して爆発性の蒸気となる物質で、離れたところに火源によって引火する可能性があるのです。

静電気除去パッドに触れてから給油すべし

 そして、静電気放電は、引火性液体(ガソリン等)のような可燃性物質を着火させ火災を引き起こすことから、「静電気除去シート」に触れずに給油することもNGです。

 また、タバコやライター、電子タバコなどの火気類ももちろん厳禁です。

 一方で、「ガソリン携行缶」に給油することはNGではありませんが、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(令和元年総務省令第67号)により、ガソリンを販売するため容器に詰め替えるときは、顧客の本人確認、使用目的の確認および販売記録の作成を行うことと義務付けられました。(2020年2月1日施行)。

 この背景には、2019年7月に、京都市伏見区のアニメ制作会社においてガソリンを用いた爆発火災によって多くの命が失われた事件が発生したことがあり、ガソリンによる火災の発生を抑止するため消防関係法令が整備されたのです。

 ガソリンは、灯油などのポリタンクへの給油保管は禁止されており、保管する容器として「試験確認済証KHK危険物保安技術協会」の表示がある、危険物保安技術協会の性能試験をクリアした金属製容器が推薦されています。

 携行缶に入れたガソリンの体積は膨張するため、保管している容器内は高い圧力に上昇していることがあり、高温の下ではとくに危険です。そのため、性能試験をクリアした運搬容器を使用する必要があるのです。

 なお、携行缶へのガソリンの詰め替えはGSのスタッフが行うことになっています。自分で携行缶へ給油しないよう注意しましょう。

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