先進7か国首脳会議(G7広島サミット)が2023年5月19日から21日にかけて開催されました。内閣総理大臣専用車などの要人専用車両にも注目を集めました。トヨタ「センチュリー」をベースとした内閣総理大臣専用車には、どのような装備が備わっているのでしょうか。
■内閣総理大臣専用車のセンチュリーにはどんな装備が?
2023年5月19日から21日にかけて、日本が議長国となって行われる「先進7か国首脳会議(G7広島サミット)」が開催されました。
岸田文雄首相は、トヨタ「センチュリー」をベースとした内閣総理大臣専用車に乗っている様子などが報道で見受けられましたが、どのような装備が備わっているのでしょうか。
被爆地で開催された今回のサミットでは、G7としてはじめて核軍縮に焦点を当てた「広島ビジョン」を発出したほか、ウクライナのゼレンスキー大統領が討議に参加するなど、世界平和に向けた取り組みに対して一定の成果を見せたと評価されています。
厳戒態勢のなかで行われるサミットでは、各国の首脳を乗せて走る車両にも注目が集まります。
日本の岸田文雄首相を乗せるのは、トヨタ「センチュリー」をベースとした内閣総理大臣専用車です。
1960年代以降センチュリーが用いられることの多かった内閣総理大臣専用車ですが、2008年にはハイブリッド車であるレクサス「LS600h」が導入されました。
その後「LS500h」へと代替わりし、2020年4月よりセンチュリーが復帰するかたちとなりました。
一見すると通常のセンチュリーとそれほど大きな違いは見られない内閣総理大臣専用車ですが、よく見るとフロントグリル内とリアに青色灯が配置されていたり、助手席側ドアミラーに補助ミラーが備わっていたりと、微妙な違いがあることがわかります。
また、ボンネットには国旗などを掲げるための部品があったり、右後方部にアンテナが備わっていたりする点も特徴です。
車両のスペックなどについては、保安上の観点から一切公開されていませんが、窓枠のようすをみる限り、防弾仕様であることは間違いなさそうです。
もし、防弾仕様に加えて、地雷などの爆弾にも対応可能な防爆仕様となっていた場合、車両重量は相当なものになるため、それを動かすための心臓部にも特別なチューニングが施されていることが考えられます。
ちなみに、先代の内閣総理大臣専用車であるLS500hには後部座席用のフリップダウンモニターが備わっており、安倍晋三元首相は情報収集に活用していたといいます。
このことから、おそらく、センチュリーの内閣総理大臣専用車にも、後部座席用のモニターが備わっている可能性は高そうです。
■バイデン大統領の「ビースト」は映画「007」も顔負け!? そのスペックは?
各国の首脳を乗せる専用車両のなかでも、最も多くの注目を集めたのがアメリカの大統領専用車である「キャデラック」です。
属に「キャデラック・ワン」と呼ばれる他、愛称として「ビースト」とも呼ばれるこの大統領専用車は、今回のG7広島サミットでもジョー・バイデン大統領の来日に合わせてアメリカより輸送されており、万一の事態に備えて常に2台1組で移動しています。
現行のビーストは2018年9月にデビューしており、車両重量は7000?9000kgにおよぶといいます。
当然のことながら、最高レベルの防弾仕様となっており、ボディの厚さは約200mm、多重構造の窓ガラスは約130mmの厚さを持っているようです。
また、大統領の血液が貯蔵されているほか、暗視装置や煙幕、さらにはスパイ映画顔負けのオイル噴出装置やロケット弾さえも備わっていると言われています。
実際にビーストが運行される際には、先頭を走る「ルートカー」を筆頭に、国防省と通信するための特殊車両や救急車両、そのほかの護衛車両などを合わせたおよそ40台の編成となります。
今回のサミットでも、そうした「大名行列」が見られたようです。
日本とアメリカ以外の首脳は、先々代のBMW「7シリーズ」をベースとした防弾車両で移動していました。
7シリーズには「ハイセキュリティ」と呼ばれる防弾・防爆仕様車がラインナップされており、今回用いられたのもこの仕様であると見られます。
7シリーズの「ハイセキュリティ」では、カーボンファイバーによる強化防護板に加え、車体下部防護板、ランフラットタイヤなどが備わっています。
なお、今回用意されたBMWはすべて日本政府が用意したものであるようです。
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サミットは、内閣総理大臣専用車やビーストなどの特殊車両が一堂に会する貴重な機会でもあります。
その防弾・防爆性能が活きるような事態が起こってはなりませんが、まさしく「プロフェッショナル」のためのクルマたちは多くの人々の心をつかんだようです。