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電気自動車ってどこまで使える? スバル「ソルテラ」をEV初心者の主婦が9日間乗ってみた!

くるまのニュース 2023年5月27日 20時10分

電気自動車は充電が必要ということもあり、日常使いに不安を覚える人もいるでしょう。今回、EVに乗ったことがない主婦がスバル「ソルテラ」を体験。初めてのEVはどうだったのでしょうか。

■加速がスゴい! EVの良さを実感

 これからは電気自動車の時代といわれていますが、日常的に使えるのか不安に思う人も多いのではないでしょうか。
 
 自宅に200Vの充電設備があるものの、EVになじみがない主婦のMさんが9日間乗ってEV生活を体験。最新のEVに乗ってみてどう感じたのでしょうか。

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 初めてのEVとしてスバル「ソルテラ」に乗ってみました。

 ソルテラのボディサイズは、全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mmとなっており、実車を目の前にするとなかなか迫力があります。

 普段はボルボ「V60クロスカントリー」に乗っており、それよりもソルテラは全長・全幅は短く、運転に苦労することはなさそうだと感じました。

 ソルテラのバッテリー容量は71.4kWhで、メーカー公表値での最大航続距離は567kmとされています。

 さっそく自宅の200V電源にソルテラを繋いで充電したところ、充電完了時点での走行可能距離は397km。

 聞くところによると、メーターに表示される航続可能距離はそれまで使われていた走り方を元に算出されているため、メーカー公表値の数字が出ることはあまりないそうです。うーん… 理屈としては分かりますがちょっとモヤモヤしますね。

 いつものクルマの使い方は、近所の買い物と約25キロ離れた実家への週一回の帰省がメインです。さらに今回は、東京都練馬区から千葉県の鴨川シーワールドへ遊びに行く予定も入れています。

 試乗初日、初めてソルテラに乗り込むとフロントの窓がとても広く感じました。それに加えて、前席ドアガラスとフロントガラスの間にある小さな窓のおかげで、車庫から出すときなど周りの景色が見やすいのです。

 走り出しは非常にスムーズで静か。トランスミッションがないため、変速のショックもなく滑らかに加速していきます。大通りに出ると、どの速度からアクセルを踏んでも思い通りに加速してくれるので、ストレスがまったくありません。

 また、信号待ちで前のクルマが進んだり、信号が変わるとアラームで知らせてくれることに加えて、普通に走っている時でも前走車を検知して減速のサポートをしてくれたりするので、次世代のクルマに乗っているという感覚を覚えました。

 ソルテラは荷室や室内が広く荷物をたくさん積むことができます。さらに、後席のフロアにセンタートンネルがないので、買い物をして荷室に積み切れなかったものは後席のフロアに積むことができると思いました。

 室内空間も広くて、後席でも足元に余裕があるので、ゆったりと座ることもできそうです。

 月曜日から金曜日までの平日、そして土曜日までの6日間は“普通”に使ってみました。3月下旬とまだ寒さが残る時期だったこともあり、エアコンの温度は23度で常に固定。夜間はほとんど走っていないのでライトは点けていません。

 そんな使い方をすると、土曜日の夜には航続可能距離が178kmになっていました。翌日は鴨川シーワールドまで遊びに行く予定が入っていて、このままの航続距離では少し不安があり、23時にソルテラを自宅のEVコンセントに繋いで充電を開始しました。

 翌日の日曜日、朝8時にEVコンセントをソルテラから外すと、航続可能距離は292kmを指しています。「あれっ。意外と増えないものなんだな」と思いましたが、あまり気にせずに出発します。

 この日初めてソルテラで高速道路を走ったのですが、一般道で感じた以上に、高速走行ではモーター駆動の力強さを感じます。料金所からの加速や、走行車線から追越車線への車線移動でもまさに思い通りに加速することが可能で、スピードを出してカーブを曲がってもクルマがほとんどブレません。

 EVは重たいバッテリーを床下に積んでいるため、普通のクルマよりも重心が低く、そのおかげでクルマが大きく揺れず、ボディサイズの割に意外とスポーティに走ることができるようです。

 そんなことを考えながら高速道路を走っていると、一般道を走っている時よりもバッテリーの減りが早くなっていることに気づきました。

 出発するときの航続可能距離が292kmでしたが、高速道路を使って千葉県の館山自動車道にある市原サービスエリアまで来た時には、航続可能距離は172kmまで減っていました。60kmくらいしか走ってないはずなのに、走れる距離が100km以上減っています。

 高速道路では主に90km/h前後のスピードで走っていましたが、それでも一般道を走れる距離よりも少ないようです。EVは高速道路の走行では電気を余計に食うのかもしれません。

 このままでは不安なので、市原サービスエリアで急速充電器に繋ぎました。急速充電は30分しかできませんが、ドライブの小休憩と考えれば時間は問題ありません。

 フードコートで食事をした後にコーヒーを飲んでいると30分はあっという間。急速充電を終えると航続可能距離は292kmまで増えていました。ここから鴨川シーワールドまで一気に走ります。

 鴨川シーワールドに到着して駐車場の係員さんに「ここはEVの充電器はありますか?」と聞くと、「ありません」の答え。できれば遊んでいる間に充電しておければ良かったのですが、目的地に充電器があるかどうかは事前に調べておくべきでした。

■外出先の急速充電器に先客が!? どうする?

 鴨川シーワールドで半日遊んだあとは、自宅の練馬に向けて出発します。この時の航続可能距離は215km。帰りの渋滞も考慮すると、どこかで充電しておきたいなと思い、帰路にある市原サービスエリアの上り線で充電しようと考えました。

 高速道路を走って市原サービスエリアに着いたときの航続可能距離は131km。急速充電器を探すと、ほかのEVが充電中です。このサービスエリアには急速充電器が1基しかなく、充電中のクルマが終わるまで待つしかありません。これは思いがけないタイムロスでした。

急速充電中のスバル「ソルテラ」

 前のクルマの充電が20分くらいで終わったので、ソルテラを急速充電器に繋ぎます。ここから30分は、またコーヒーを飲んだり、サービスエリア内にある公園のような場所で過ごします。

 急速充電が終わると、ソルテラの航続可能距離は276kmまで増えていました。これだけあれば渋滞しても安心できる距離です。少し長めの休憩が取れたおかげもあって、晴れた気持ちで帰路につくことができました。

 帰路の館山自動車道と京葉道路はかなり渋滞していましたが、ソルテラには「SUBARU Safety Sense」の全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール(ACC)が標準で搭載されていて、それを使えば渋滞も苦になりません。

 そんな一日のドライブでしたが、自宅に着いたときの航続可能距離は173km。帰路は平均速度が低かったためか、意外と電気を使わなかったなという印象です。しかし、翌日にまた乗ることを考えると、この航続可能距離のままではちょっと不安なので、自宅の200V EV充電器に繋ぎました。これで一安心です。

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 ソルテラを9日間試して思ったのは、EVは値段が高いし、すぐに充電がなくなるから不便だと思っていましたが、想像よりもずっと長い距離を走ることができることがわかりました。

 買い物などで家の周辺を乗るという使い方なら、平日は充電をする必要もなく、ストレスはまったくないのと思いました。

 しかし、遠出をするときは工夫が必要です。急速充電器が十分にあるとはいえず、とくに日帰りで出かけるときは下調べして、充電器が空いていなかったときのことまで計画を練っておくことが大切でしょう。

 とはいえ、電気自動車ならではの気持ちの良い加速や、走行時の静かさはとっても魅力的ですし、自宅に充電器があり、さらにV2H(Vehicle To Home)が使えれば、災害時はクルマから家への給電もできるため、心強いことこのうえなしです。

 そして、今回試乗してみてひとついえるのは「自宅に充電器を設置してあること」がEVと上手く付き合う絶対条件なのではないかということです。

 街中のいろいろなところで充電できるような体制が整えば、自宅に充電器がなくても大丈夫かもしれませんが、インフラが今の状態のままだったら、メインの充電は自宅でおこない、たまに外出時に急速充電するという使い方ができる人でないと、EVを所有するのは難しいのではないかというのが正直な印象です。

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