クルマを購入するとき、特に中古車は晴れた日の昼間にチェックするのがベストです。しかし必ずしも条件の良いタイミングでチェックできるとは限りません。雨の日に中古車をチェックするときに、どのようなところを確認したら良いのでしょうか。
■雨の日じゃないとわからないことがある!
クルマを購入するとき、特に中古車を検討している場合は、購入前に現車をチェックしておきたいところ。
「晴天の昼間」にチェックできればベストですが、都合の良い日が必ずしも晴天とは限りません。
雨の多い梅雨のシーズンは、晴れの日に現車チェックする時間を確保するのが難しいこともあります。
雨の日にクルマの現車を確認するとき、どのようなところをチェックすれば良いのでしょうか。都内の中古車販売店のオーナーN氏に聞いてみました。
「雨の日に中古車をチェックする場合、ボディのキズやへこみなどが判別しにくいことがデメリットになります。
またボディは濡れているとしっとりしたツヤ感が出やすいので、実際のツヤや色褪せがどの程度なのか判別しにくくなるのが難点です」
もし試乗できたとしても、雨天時は走った感じも違ってくるでしょう。やはり、雨の日の中古車選びは支障がありそうですが、実は雨の日だからこそチェックできる項目も多いといいます。
「雨の日は、晴れている日では分かりにくい悪天候向けの装備をチェックしやすくなります。
たとえばワイパーの作動状況は雨が降らないと確認できず、ワイパーゴムの状態なども把握しやすいということもあります。
また梅雨時期などのウインドウが曇りやすい状況で、エアコンを作動させて除湿機能をチェックできるのも雨の日ならでのメリットだと思います」(中古車販売店オーナーN氏)
また、パワーウインドウの上げ下げもチェックしてほしい項目のひとつ。実は湿気の多いときに異音が発生することがあり、ウェザーストリップの劣化による雨漏りチェックとともに不具合の有無を確認することができます。
「同様に、湿度の高い日はエンジンのベルト音、いわゆるベルト鳴きもチェックしやすいといわれています。
キュキュキュといった異音がエンジンルームから聞こえた場合、ファンベルトが劣化しているか何かに干渉している可能性もあります。
修理してもらえるかは購入前に交渉できますので、ぜひ忘れずに確認してみて欲しいです」(中古車販売店オーナーN氏)
これらのポイントを押さえておけば、むしろ雨の日に中古車をチェックしたくなるかもしれません。
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雨の日の中古車選びのメリットはもうひとつあります。それは、雨の日は中古車店の来客が減る傾向があり、店舗のスタッフとじっくり話ができることです。
クルマの状態確認や疑問に思うことなどを、時間をかけて相談できる可能性が高いといえます。
■晴れの日の中古車選びのポイントは?
晴れの昼間の現車チェックでは、どんなところをチェックすべきでしょうか。
「中古車をチェックする場合、意外に重要視なのが『第一印象』だと思います。全体のバランスに違和感がある場合は、そのクルマ自体に何かしらの不具合があることも多いのです。
ボディの細かいキズやなどもチェックは必要ですが、キズは後からでも直せます。それより交換で費用のかかるタイヤの状態を確認してほしいです」(中古車販売店オーナーN氏)
タイヤはクルマを仕入れる段階の下取りやオークションで落札した状態のままでは、交換されていないことが多く、どのように乗られていたかを推測する判断材料のひとつになります。
ヒビ割れがないか、溝は十分残っているのかも確認しておきたいところ。ちなみにエンジンから異音がしないか、電装系はすべて正常に作動するかなども忘れずチェックしておきたいポイントです。
「内装も、晴れの日であればシート表皮の状態なども確認できるかと思います。目立つ部分はもちろんですが、角部分が擦れすぎていたりステッチがほつれていないかなども忘れずにチェックしましょう。
また、もっとも使用頻度の高い運転席に座るだけでなく、ほかの座席と座り比べしてシートのヘタリ具合も確認してください」(中古車販売店オーナーN氏)
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中古車選びで重要なのは「どのような車種が、どのくらいの予算で欲しいのか」ということです。
予算には限りがあるもの。しかも中古車の場合、新車のように安心して乗り続けるためには消耗パーツを交換する必要があるかもしれず、予算の一部をメンテナンスに回すという計算も必要です。
中古車を探す場合、最近はインターネットで検索するのが一般的でしょう。そして気になるクルマを見つけたら、「現車チェック」の希望を中古車店に連絡するのがベター。
直接訪れても良いのですが、事前にクルマを見たいという旨を伝えておけば、確認しやすいように洗車しておいてくれたり、奥から前のほうに出しておいてくれることもあります。
次に確認したいのが年式と走行距離です。クルマには使用や経年によって劣化する「消耗パーツ」が数多くあり、一般的には走行距離が短いほど程度が良い場合が多いのですが、年式の割に走行距離が極端に少ないのも実はあまりお勧めできません。
というのも、走行距離が短く、あまり乗られていないクルマは、可動部品が固着してしまっていることがあるほか、長期間駐車しているとサビなどが進行していることもあるのです。
そして消耗パーツの傷み具合やサビの進行などを判断する材料になるのが年式です。新しいほど新車に近い状態といえますが、ここで関係してくるのが、これまでにオーナーが何人いたかということ。
たとえば5年落ちでもワンオーナーで大切に乗られていたほうが、3年落ちで複数オーナーの中古車より程度が良い場合もあります。
また「現車チェック」の希望を伝えるときに、あわせて聞いておきたいのが記録簿の有無です。記録簿は健康診断を受けたクルマのカルテのようなものですので、そのクルマがどれくらいメンテナンスされてきたかを測る診断書になります。
現車の状態だけでなく、このように記録簿や歴代オーナーの乗り方も含めたクルマの歴史をたどっていくことも、間違いのない中古車選びをするためには重要です。