Infoseek 楽天

ガソリンの後は「合成燃料」に!? トヨタの佐藤社長も実走! CO2から作る未来の燃料とは

くるまのニュース 2023年6月2日 17時40分

水素とCO2から製造した合成燃料(e-fuel)をクルマに充填(じゅうてん)し、実際に走らせる試みが富士スピードウェイ内で行われました。ENEOSが開発・研究を進めるこの燃料は、どのようなものなのでしょうか。

■「プリウスPHV」「GR86」で走行

 2023年5月28日、ENEOSが、国内初製造となる合成燃料(e-fuel)を実際のクルマに充填(じゅうてん)して走らせる試みを実施しました。どのような取り組みだったのでしょうか。

 この走行デモンストレーションは、富士スピードウェイ(静岡県小山町)にあるトヨタ交通安全センターモビリタで行われました。

 ENEOSは脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギー由来の水素(CO2フリー水素)と、工場などから回収したCO2や、将来的には大気中から回収されたCO2より製造される液体燃料の開発に取り組んでいます。

 走行デモはトヨタ協力のもと、「プリウス」のPHEVモデルと「GR86」の2台が使われました。

 9リットルのガソリンが入っている車両に、合成燃料1リットルを充填。最初の走行でハンドルを握ったトヨタ社長・CEOの佐藤恒治氏は走行後、「合成燃料が10%ということもありますが、通常の自動車の運転感覚とまったく変わりませんでした」と感想を述べました。

 ENEOSの常務執行役員である藤山優一郎氏は、走行デモに使った合成燃料について次のように説明します。

「原料となるのはCO2です。このCO2を、CO2フリー水素と触媒反応させて製造します。走行時に出るCO2を製造段階で相殺できるため、製品ライフサイクル全体においてカーボンニュートラル化に貢献できます」

 藤山氏によると、従来のガソリンと合成燃料はCO2の出どころが違うだけで、化学物質としては同じ構造であり、同じように自動車を走らせることができるといいます。

 さらに合成燃料は、エネルギー密度にも優れていること、既存インフラ設備を活用できること、液体燃料であるため貯蔵・輸送も容易など、様々な利点があるそうです。

 同社は現在、1日あたり1バレル(ドラム缶1本分程度)の小規模プラントの建設を進めていますが、2027~2028年度の運転を目標に1日あたり300バレル規模のパイロットプラント建設も視野に入れているといいます。

 さらに2030年までに高効率かつ大規模な製造技術を確立し、その後、導入拡大・コスト低減を図り、その中で早期供給開始を目指す計画です。

 まずは、合成燃料、バイオ燃料とガソリンを合わせた低炭素ガソリンから着手するとしており、ENEOS代表取締役社長の齊藤猛氏は「低炭素ガソリンは2027年頃からの供給開始を目標としていますが、自動車メーカーの販売戦略なども考慮しつつ、前倒しできれば」と今後の展望を見据えています。

この記事の関連ニュース