スズキ「ジムニー」には1/1プラモのような楽しみ方があると言いますが、どのようなものなのでしょうか。
■ジムニーだからできる「1/1プラモ的」な楽しみ方
スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」(以下ジムニー)は、2018年に現行モデルがデビューした直後から人気に火が付き、納車まで平均1年待ちの状態が続いています。
そんなジムニーですが、1/1プラモのような楽しみ方があると言いますが、どのようなものなのでしょうか。
ジムニーはまだ8万台のバックオーダーを抱えている状態だといいますが、それでも発売から5年経過したことで、販売目標台数上の計算では8万台以上のジムニーが、いま日本で走っていることになります。
ジムニーの楽しみ方はいろいろですが、走っている車両を見るとほとんどがカスタムしていることが分かります。
1980年代の四駆ブームの時もそうですが、オフロード4WDはイジってなんぼというカテゴリー。
ノーマルでは少々迫力不足でも、タイヤを替えてやるだけでも雰囲気がガラリと変わるのがジムニーのおもしろさです。
2023年5月末に静岡県のスキー場・イエティで開催されたユーザーイベント「ジムニー・サンライト」の会場にも、1500台以上のカスタムジムニーが集合しました。
女性ユーザーが多かったこともあって、“チョイ替え”をした車両がほとんどでしたが、中にはこんな猛者も。
最初に紹介するのは、神戸からやってきた「Koin」さんのジムニーシエラ。
2019年9月に納車された直後から、カスタムを開始。最初はDAMD「Little.D」キットを装着したそうですが、やがて巷で多く見かけるようになり、さらなる個性を求めるように。
そこから、市販されている様々なモノを流用して、愛車をDIYカスタムするようになったそうです。
仕事がレストランのシェフというだけあって、とにかくKoinさんの美的センスの手先の器用さは抜群。
アフターパーツメーカーのものを使うのではなく、まったく違う用途のものを“それらしく”見せており、秀逸のひと言です。
例えば、エアガン用のパーツを使ったり、キャンプグッズを軍用品のように見せたり「コレがこうなっちゃうんだ!?」と驚かされ放しです。
全体のデザインも、Little.Dベースということで、軍用車っぽく見せているのがポイント。
それでいて車内は、航空機のコクピットを模したカスタムがされており、もうやりたい放題です。
このジムニーシエラは単なるカスタム志向ではなく、キャンプや狩猟に使うために実用的に仕上げているのがポイント。
カスタムには「まだまだ終わりが見えていない」ということで、今後の進化が楽しみです。
もう1台も、ジムニーシエラのカスタム車。
しかも、やはりミリタリーテイストです。こちらのオーナーは「ノリー(@ss21nori)」さんで、架空の英国軍特殊部隊車両をコンセプトに仕上げたと言います。
カスタムのベースは、Koinさんと同じDAMD「Little.D」で、英国特殊部隊SASが使っているランドローバー「旧ディフェンダー」を意識していることが分かります。
こだわりは「アピオの20mmアップサスペンションを使っている」ことだと言い、あまりリフトアップし過ぎると「軍用車としてのリアルさが失われる」そうです。
無線が趣味とのことで、各部に付けられたリグやアンテナも“らしい” 雰囲気作りに貢献していますが、驚かされたのが牽引しているトレーラー。
最初は市販品を考えていたようですが、見た目が“らしく”ないことから、結果的に自作してしまったようです。
トレーラーにはルーフテントを載せ、オーバーランドスタイルでキャンプを楽しんでいるようです。
■ジムニーだからできる1/1プラモ的な楽しみ方
Koinさんとノリーさんに共通しているのは「ないものは作る」というまるでプロのモデラーのような手法です。
こうしたユーザーをサービスエリアなどで度々見かけてますが、これはジムニーならではと言えます。
こうしたオーナーに話を聞いてみると、「ジムニーだからやる気になる」と言います。
その理由のひとつが車両価格の安さ。ジムニーシリーズのほとんどが200万円以内で買えることから、中高年にとっては他のクルマよりもカスタムの予算が多く取れると考えるようです。
また、そもそもベースがほぼ四角という単純なフォルムゆえに、パーツの自作も容易で、多少出来が悪くてもマッチングが悪く見えないというのも、DIYに走る理由なんだと言います。
あるユーザーはDIYに対して次のように話しています。
「日本の市場には、意外と自分が欲するデザインのパーツがなかったりするんです。
海外にあっても、輸入すると為替の関係の高くついてしまうので、だったら、大した複雑な作りでもないので、自作したら良いと思いました」
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たしかに大きさ、フォルムを考えれば、そもそもクルマでありながらプラモのような感じがするジムニー。
いかにも道具的な雰囲気に加えて、自分でもイジれるんじゃないかと思わせるところが、中高年のホビー派を虜にするのかもしれません。