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後を絶たない「タイヤ交換事故」なぜ? 正しい「ジャッキアップ」できない人多い! NGな行為とはなに?

くるまのニュース 2023年6月18日 9時10分

2023年3月、4月と北海道でタイヤ交換作業中に亡くなる事故が発生しました。原因は「タイヤ交換中にジャッキが外れたため」と言いますが、果たしてそれは正しい作業方法なのでしょうか。

■ジャッキアップしたままの作業は危険! 必ず「リジッドラック/ジャッキスタンド」を使うこと

 クルマのタイヤ交換やちょっとしたメンテナンスのためにジャッキアップをおこなうユーザーもいるでしょう。
 
 しかし、クルマを置いている場所やジャッキの使用方法によってはジャッキが外れて事故につながるケースもあります。
 
 では、一体どのような点に注意してジャッキアップをすれば良いのでしょうか。

 クルマを所有する人のなかには、季節が変わってタイヤ交換をしたり、不具合を確認したりするために、クルマをジャッキで持ち上げて自分で作業をするという人もいるかもしれません。

 しかしクルマのジャッキアップに関しては、作業をおこなう場所やジャッキの使い方などを誤ったことで、痛ましい事故につながるケースが複数報告されています。

 2023年3月には、北海道江差町において車体をジャッキアップしバンパーとタイヤの交換をおこなっていた男性が下敷きになる死亡事故が発生。

 同年4月にも北海道小樽市において男性が軽自動車のマフラーを修理中に何らかの理由でジャッキが外れ、クルマの下敷きになって亡くなる事故が起きています。

 ジャッキアップ中の事故は過去にも多数起きており、十分に注意して作業をおこなわなければいけません。

 では、クルマのジャッキアップをおこなう際にはどのような点に気をつけて作業をすれば良いのでしょうか。

 まず注意したいのは作業をする場所であり、地面が平坦で硬い場所を選びましょう。

 なぜならば、地面に傾斜がある場所では作業中にクルマが動き出す危険性があり、またぬかるんで柔らかい土の上などもジャッキが地面に沈み込み外れてしまうおそれがあるためです。

 坂ではない平らな場所やコンクリート・アスファルト舗装の場所などが作業に適しているといえます。

 さらにジャッキが外れないよう、クルマが確実に動かない状態にしておくことも重要です。

 作業中にはクルマのエンジンを切り、オートマチック車の場合はシフトレバーをパーキングに、マニュアル車の場合はリバースに入れておくほか、パーキング(サイド)ブレーキを確実に使用すると良いでしょう。

 加えて、ジャッキアップをしているタイヤと対角線上にあるタイヤに輪止めの措置をしておくと、クルマをよりしっかりと固定できます。

 次に注意するポイントとしては車体にジャッキをあてがう位置を間違えないということが挙げられます。

 ジャッキで車体を持ち上げる部分のことを、ジャッキポイントまたはジャッキアップポイントといい、車体底部のサイドのフレームに切れ込みがあるタイプが一般的です。

 ただしフロント側かリア側の中央あたりにジャッキポイントがあるクルマなど、車種によってジャッキポイントは異なるケースもあるため、分からない場合にはクルマの取扱説明書で確認するのが望ましいです。

 そしてここからが重要な部分ですが、前述のニュースなどでの警察の見解は「ジャッキからクルマが外れた」ということになっています。

 しかし、本来ジャッキの使い方はクルマを持ち上げることであり、持ち上げた状態を保持するものではありません。

 ジャッキには車載工具としてよく用いられる「パンタグラフ式」のほかに「油圧式」が存在しますが、どちらもジャッキアップ中に緩みが発生したり、圧が抜けてクルマが下がることが考えられます。

 そのため、保持するには通称「馬/ウマ」と言われる「リジッドラック/ジャッキスタンド」などをジャッキポイントとは別のフレーム部などの適切な場所に設置します。

 また保険としてジャッキアップ側のクルマの底部に外したタイヤを置いておくことで万が一の場合にも備えることが可能です。

クルマをジャッキアップした後は「リジッドラック/ジャッキスタンド」を使って固定すること

 クルマのジャッキアップ作業について自動車整備士のAさんは次のように語ります。

「クルマの整備作業は危険と隣り合わせなことが多いです。

 タイヤ交換やエンジンオイル交換は資格がなくても出来ますが、間違ったジャッキアップ方法などによる事故が起こることもあり、基本的にはディーラーや整備工場などに任せるほうが良いと言えます。

 それでも自分でタイヤ交換をする場合にはジャッキ・リジッドラックなど必要な道具を揃えて、正しい方法を理解して行うことが望ましいです」

※ ※ ※

 またジャッキアップ作業中には、小さな子どもが誤ってクルマの下に入り込むことがないよう、作業中にはクルマの周りの状況をよく確認しておきましょう。

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