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えっ…無断駐車の「罰金」払うべき? 所有者の対策はどこまで有効? 過去に920万円支払い判例も

くるまのニュース 2023年6月26日 9時10分

時々「無断駐車を発見した場合は罰金○万円」などと記載された看板が設置されています。無断駐車をしないことが大前提ですが、もし仮に無断駐車をしてしまった場合、土地の所有者が決めた罰金を支払う必要はあるのでしょうか。

■駐車場の看板「罰金●万円」は払う必要あり?

 コンビニやスーパーといった店舗の駐車場や月極駐車場には、「無断駐車禁止」や「無断駐車を発見した際には罰金○万円を申し受けます」などと書かれた看板が設置されていることがあります。
 
 もちろん無断駐車は良くないことですが、あまりにも高い金額が設定されていると、支払う義務があるのか疑問に思う人もいるかもしれません。
 
 では実際のところ、この罰金を支払わなければいけないのでしょうか。

 看板に書かれている「罰金」については多くの場合、土地の所有者や管理者などが自由に設定しています。

「罰金」と書かれていると無断駐車への対応が厳しいイメージを受けるため、無断駐車の防止対策としては効果的に見えます。

 しかし、そもそも罰金とは国や自治体が法令で定めた刑罰のことであり、私人が私人に対して罰金を科すことはできません。

 つまり、「罰金」を支払う法的義務はないのです。

 とはいえ無断駐車をしたのであれば、それによって発生した損害分の賠償金を支払わなければいけません。

 この場合における賠償金は、土地の所有者が設定する金額ではなく、実際に生じている損害額から算出します。

 具体的には、近隣の駐車場使用料と同程度の金額を支払う義務があるといえるでしょう。

 たとえ土地の所有者から法外な金額を請求されたとしても、土地の所有者がその金額分の損害が生じていることを証明できなければ、言い値を支払う必要はないということになります。

 ただし、他人の土地に長期間クルマを駐車していた場合であれば賠償金が高額になることは十分にあり得ます。

 実際の事例では、ほぼ毎日、コンビニの駐車場に1年以上にわたって2台のクルマを無断駐車していた男性に対し、大阪地裁が約920万円の支払いを命じたケースがあります。

 また、看板に「駐車料金は1回1000円」というような書き方がされており、それを確認の上で駐車をした場合にも料金の支払い義務が発生します。

 これは、土地の所有者が利用者に対し駐車場の使用に関する契約の申し込みをしているとみなされ、さらに利用者がその看板を見てクルマを駐車すれば申し込みを承諾したものとして契約が成立するためです。

 このような場合でも、「駐車場料金は1回10万円」というように、周りの駐車場料金の相場とあまりにもかけ離れている場合には契約が無効になるものと考えられます。

■罰金ではなく…「タイヤの空気抜く&勝手にタイヤロック」の行為は…逆効果に!

 そのほか駐車場の看板には「罰金」以外にも「無断駐車をした場合はタイヤをロックします」、「タイヤの空気を抜きます」といった注意書きが掲載されているケースが散見されます。

 しかし、実際に土地の所有者がこのような行為をすると、罪に問われてしまうことがあります。

 なぜなら、タイヤロックやタイヤの空気を抜くことはクルマを使えなくする行為として刑法261条の「器物損壊罪」に当たる可能性があるためです。

コンビニに長時間駐車をした結果、客単価分を請求する張り紙が貼られた事例もある(画像はユーザー提供)

 無断駐車に関しては、土地の所有者によるタイヤロックやレッカー移動といった「自力救済」が原則禁止されていいます。

 さらに無断駐車をした人から賠償金をもらえないケースも多く、現行の法律では土地の所有者に不利な現状があるといえます。

※ ※ ※

 無断駐車をした場合、高額な罰金を支払う義務はないものの、使用した分の損害は支払わなければいけません。

 何より、無断駐車をすると本来使用している人が駐車できなかったり、店舗であれば売上に悪影響となるなど非常に迷惑がかかります。

 トラブルに発展する事例も多いため、短時間であっても無断駐車をしないように注意しましょう。

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