三菱「eKアクティブ」は、その後巻き起こる軽クロスオーバーSUVの一大ブームに先駆け2004年に誕生しました。デビュー後20年近く経った今も根強い支持を集める理由を探ります。
■他社に先駆け2004年に誕生していた軽SUVワゴンがめちゃカッコいい!
世界的な大ブームとなったクロスオーバーSUV人気の波は、日本独自の規格である軽自動車においても同様に拡がりをみせています。
その元祖というべきクルマが、三菱から発売されていました。どのようなクルマだったのでしょうか。
軽自動車市場におけるクロスオーバーSUVの人気は、まず2013年に発表されたスズキ「ハスラー」を皮切りに、ダイハツ「タフト」、三菱「eKクロス」といった軽ハイトワゴンカテゴリーから広まりました。
そしていまや、スズキ「スペーシアギア」、ダイハツ「タントファンクロス」、三菱「デリカミニ」など、現在軽自動車市場の主流を占める軽スーパーハイトワゴンカテゴリーにもその波は押し寄せています。
そんな軽クロスオーバーSUVの元祖ともいえるモデルが、ハスラー登場よりはるか前の2004年5月に登場した、三菱「eKアクティブ」だったのです。
車名からも分かるように、三菱のハイトワゴン「eKワゴン」(初代)がベースとなっているeKアクティブ。
ですが、ただ単にeKワゴンにSUV風の架装を施しただけのお手軽モデルではなく、実はかなりこだわって造られたモデルとなっていました。
まず足回りですが、SUVらしい余裕の最低地上高とするために、ベース車よりも10mm車高をアップさせ165mmとし、タイヤも165/60R14という大径サイズのものを採用しています。
なおこの手法は、2023年5月に発売されたばかりの新型デリカミニ(4WD車)にも使われています。
高められた車高でも安定した走りを実現するため、スタビライザーはeKシリーズで最も太いものを採用し、ショックアブソーバーとスプリングの組み合わせも、eKアクティブ専用のものとする念の入れようです。
さらにアクティブな走りを支えるために、フロントストラット回りのパネル板厚アップや、リアのラテラルロッドブラケットの補強を施すなど、スポーティモデル「eKスポーツ」同等のボディ補強も実施しました。
そのうえ遮音材も備えるなど、至れり尽くせりとなっていたのです。
■エキゾチックな「ブーレイ」顔が妙にハマってる!?
エクステリアのデザインについては、基本のボディシェルはeKシリーズ共通のものですが、フロントマスクには当時の三菱車の多くに採用されていた、いわゆる「ブーレイ顔」(当時の三菱でデザイン部門のトップだったオリビエ・ブーレイ氏が推し進めたとされる、共通イメージのフロントデザイン)を設定。
この形態は他のeKシリーズには設定されていなかったこともあり、輸出仕様車のような独特の雰囲気をまとっています。
また前後バンパーにはスキッドプレート風の加飾がプラスされ、フロントには丸型のフォグランプベゼル、リアにも同形状の反射板を備えることで、力強さと共に可愛らしさも演出。
ルーフには実用性がありながら、スッキリとしたビルトインルーフレールを装着し、専用の2トーンカラーと共にアクティブな印象を与えてくれるのも特徴と言えるでしょう。
インテリアは、造形こそeKシリーズのものと同一となりますが、インストルメントパネルやドアパネル、シート表皮などをダークブルーとライトグレーのメリハリのあるコンビネーションとすることで、モダンで軽快なイメージをプラス。
ヒップポイントも、eKワゴンより45mm高めることで、クロスオーバーSUVらしい見晴らしのよさも実現しました。
搭載されるエンジンは、eKスポーツと同じ64馬力を発生する660cc直列3気筒ターボエンジンと、50馬力の自然吸気エンジンを設定。残念ながらMTは設定されませんでしたが、コラムシフトとフロントベンチシートによって左右方向へのウォークスルーも可能となっており、使い勝手は抜群。
もちろん前輪駆動のほか4WDも用意されており、アクティブに使いたい人にピッタリの1台となっていたのです。
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軽クロスオーバーSUVの先駆けとして登場したeKアクティブでしたが、登場がやや早すぎたのか、新車時はそこまで爆発的なヒット車種とはならず、2006年に実施されたeKワゴンシリーズのフルモデルチェンジ時に廃止されてしまいました。
しかしSUVブームの盛り上がりも後押しし、現在ではターボモデルを中心に中古車市場で人気に。通常のeKワゴンよりもかなり高めの金額で流通しています。
今後もクロスオーバーSUVブームが続く限り、注目を集める車種のひとつといえそうですから、気になっている人はこれ以上中古車の相場が上がる前に、行動に移した方がいいかもしれませんね。