クルマのフロントガラスは、走行していると飛び石などで傷がつくことがあります。しかし小さな傷だからと放置するのは危険かもしれません。とくに炎天下に放置していると「フロントガラスが割れた」ということにも繋がるようです。
■クルマのガラスは意外と熱に弱い
クルマには、熱に弱い素材の部品が使用されており、温度が上昇しやすい夏場は故障などのトラブルが多発しやすい時期でもあります。
比較的、熱に強いとされているガラスでさえも、車内外での温度差によって、最悪割れてしまうことがあるようです。
クルマの外装部品には、樹脂や金属などさまざまな素材が使用されていますが、そのなかでも衝撃や熱に弱いのがガラス製品です。
特にフロントガラスは、飛び石などで傷や亀裂が入って割れるという事例はよくあることですが、炎天下の駐車でガラスが割れてしまうこともあるようです。
サイドやリアガラスは強化ガラスを使用しており、比較的耐久性を持たせてあるのに対して、フロントガラスは飛散防止のために2枚のガラスの間に透明のフィルムを挟んだ合わせガラスを使用しているため、1枚のガラスの強度はサイドやリアガラスに劣ります。
そのためフロントガラスは、小石などでもガラスが傷ついたり、ひび割れしたりしてしまいます。
それだけでなく、クルマのガラスは、通常のガラスコップと比較すると硬度はありますが、温度変化に弱い造りとなっています。
温度変化でガラス自体がわずかながらも伸縮と膨張をして、状況によってはガラスの強度を超えてしまい、ガラスが割れる「熱割れ」という状態になります。
とくにフロントガラスについている小傷はそこから熱割れの症状を誘発しやすく、ごくわずかな傷でも炎天下に駐車していたら、急激な温度変化によって大きな亀裂が生じることもあります。
また、熱割れは炎天下の駐車以外でも起こり、とくに真夏の洗車は日光で熱くなったフロントガラスにいきなり冷たい水をかけると、ガラスに大きな亀裂が入ることもあるため、様子をみながら水をかけるのがいいかもしれません。
くわえて、傷のない場合でも炎天下の洗車は熱割れを引き起こしやすくなるため、最初にぬるま湯をフロントガラスにかけて急激な温度変化を防止するか、時間帯を早朝か夕方などに変更することが望ましいです。
それでは、フロントガラスの熱割れを予防するにはどのような対策をとればいいのでしょうか。
■とにかく小さい傷でも早急な対応を
フロントガラスの熱割れ対策は、ガラス面の状態をしっかり管理しておくことに限ります。
フロントガラスについた傷やヒビは、最初は数ミリ程度でもクルマを使用することによって大きくなることがほとんどです。
さらに、ガラス面の傷やヒビは温度差だけでなく、走行中の振動や風圧によって広がるケースもあり、ひどくなると視界が困難な状況になるだけなく、修理もできなくなります。
また、フロントガラスのキズについて、首都圏内の自動車整備工場の担当者は次のように話します。
「フロントガラスのキズが熱によっていきなり割れることはほとんどありませんが、キズの線が徐々に長くなっていき、熱割れするリスクを高めます。
そのため、フロントガラスに傷がある場合は、ガラスの修理や交換をしておくといいかもしれません。
また、1mmから2mmくらいの点のようなキズであれば修理ができますが、数cmのキズになるとガラスごと交換が必要になります」
ちなみにフロントガラスが割れてしまうと、修理の場合は安くても1万5000円からとなっており、交換の場合、10万円近い出費の場合もあるようです。
車両保険を契約していれば、飛び石によるフロントガラスの破損も補償される場合もあるため、適用されるか事前に確認しておくのがいいかもしれません。
とくに大きな亀裂になると修理ではなく交換になりますが、整備工場にガラスの在庫を置いていることは少なく整備までの時間もかかることもあります。
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ガラスは修復機能がないため、一度傷がついてしまうと修理するしか方法はありません。熱割れなどで高価なガラス交換になる前に、早めの対応が安心といえます。
また大きく割れたガラスは車検に通らないだけではなく、状況によっては道路交通法第62条である整備不良の違反対象にもなるため、日頃から点検をしておくといいかもしれません。