クルマの購入をするとフロントガラスやリアガラスには、さまざまな「シール」が貼られています。ほとんどのシールは意味があって貼られているものばかりで、安易に剥がしてしまうと罰則がある可能性もあるので注意が必要です。
■ガラスに貼られているシールには剥がしてはいけないものがある
クルマの購入をするとフロントガラスやリアガラスには、さまざまな「シール」が貼られた状態で納車されます。
ほとんどのシールは意味があって貼られているものばかりで、安易に剥がしてしまうと罰則がある可能性もあるので注意が必要です。
普段見慣れたクルマのガラスに注目すると、ほとんどのクルマは何かしらのシールが貼ってあります。
愛車のイメージにそぐわないから、剥がしてしまいたくなることもあるかもしれませんが、必ず事前に確認してから剥がすようにしましょう。
安易に剥がしてしまうと再発行に時間がかかるだけでなく、法律に違反する可能性も生じます。
まず、剥がしていけないシールとして挙げられるのが、フロントガラスの上部に貼ってある「検査標章」のシールで、これは俗にいう車検シールといわれるものです。
表面と裏面の記載事項が異なり、表面は車検の有効期限が大小2つの数字で表記されていて、大きな数字が月を小さな数字が和暦を表しています。
裏面には、自動車検査証の有効期間の満了する日が詳細に記載されており、車検切れのクルマを運転することがないように予防策がとられています。
また、検査標章の貼られている位置について、2023年6月以前までの貼付位置は、道路運送車両法施行規則第37条の3において「検査標章は、自動車の前面ガラスの内側に前方から見易いように貼り付けることによつて表示するものとする」と定められていました。
しかし国土交通省は、車検ステッカーの貼付位置を2023年7月から変更することを発表しています。
変更内容について国土交通省は、運転者からもクルマの外側からも車検証の有効期間を確認しやすいように、貼付位置を「前方かつ運転席から見やすい位置として、前面ガラスの運転席側上部で、車両中心から可能な限り遠い位置」と説明しています。
実際の貼り付け位置について、首都圏の自動車販売店担当者は次のように話します。
「検査標章は運転者にも車検の期間を把握してもらうという役割があるので、運転者からやすい位置に貼り付けてあります。
これまでは、前面ガラスの上部中央または助手席側上部に貼り付けていました。
しかし、7月から貼り付け位置が変更されるのに伴い、運転に支障がなければ運転席側上部に貼り付けることになります」
※ ※ ※
また、クルマのリアガラスにはフロントガラスよりも多くのステッカーが貼ってあるのではないでしょうか。
リアガラスで剥がしてはいけないものは「保管場所標章」シールで、一般的には車庫証明シールと呼ばれているものです。
クルマの保管場所が警察署に認められたシールとなっていて、保管場所標章には9桁の標章番号、保管場所の管轄地域が記載されています。
■剥がすとどうなる?剥がしていいシールもある?
クルマのガラスに貼ってあるシールで剥がしてはいけないのは、検査標章と保管場所標章の2種類になりますが、もし剥がしてしまった場合なにか罰則はあるのでしょうか。
検査標章に関しては、道路運送車両法第66条で「自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない」と法律で定められており、違反すると50万以下の罰金が科せられる場合があります。
保管場所標章については、自動車の保管場所の確保等に関する法律の第六条の2項に、「国家公安委員会規則で定めるところにより、当該自動車に保管場所標章を表示しなければならない」とされていますが、違反した際の罰則はとくにありません。
一方で剥がしてもいいシールは、どのようなものがあるのでしょうか。
フロントガラスだと丸形の点検整備済シールが該当し、点検整備済シールは定期整備を行っている証ですが、法令で貼付義務はないので剥がしてしまっても違反ではありません。
リアガラスでは、国土交通省が定める環境基準をクリアしたクルマに貼付される、低排出ガス車や燃費基準達成車のシールになります。
さらに貼付の義務がないことから、各自動車メーカーでも2021年以降の新車製造分から順次廃止することを発表し、環境性能や燃費基準についてはカタログ上にて開示するようになっています。
※ ※ ※
その他、ボディコーティングの施工シールや、販売店名のシールなども剥がして問題はないと言えます。
ただし、ガラスに貼り付けられるシールは粘着力が強いので、普通に剥がすと糊が残ってしまいまうため、市販の「ステッカーはがし」を使うといいでしょう。