高速道路のSAやPAの駐車場では、多くのクルマや人が行き交っているため、度々渋滞が発生している様子も見られます。道を譲るかはドライバーによって判断が分かれるところですが、SAやPA内では歩行者とクルマ、一体どちらが優先なのでしょうか。
■多くのクルマや人が行き交っているSA・PA
一般的にドライバーは公道において「歩行者保護」の徹底が求められます。
一方で高速道路は「自動車専用道路」となり、歩行者の立ち入りは禁止されていますが、クルマや人が行き交うSAやPAはどちらが優先なのでしょうか。
高速道路を利用する際にはSAやPAで休憩するという人もいるでしょう。
特に休日は多くのクルマや人で混雑しており、駐車場内の通路を渡りたくても渡れない歩行者や、その一方で歩行者に道を譲っているクルマを見かけることがあります。
SNS上では「SAの通路でクルマにクラクションを鳴らされてイラッときた」という声や「PAでクルマにひかれそうになった」という歩行者側の声が見受けられます。
一方で「PAでクルマから降りた途端に歩行者『様』に変わる人いるよね」、「急に飛び出してくる人がいて困る」などドライバー側からの不満の声も聞かれます。
この疑問に関してNEXCO東日本の広報担当者は次のように話しています。
「自動車・歩行者のどちらが優先かというルールはありません。
しかし、横断用カラーリングが施されている箇所については歩行者の横断を優先していただく等の安全配慮にご協力をお願いします」
また、SAやPA内でクルマの速度制限や逆走禁止といったルールがあるのかについて、担当者は以下のように説明しています。
「休憩施設の駐車場内では、休憩施設を利用する歩行者がおりますので徐行いただくとともに、本線への進行方向を示す標識や路面標示(矢印)に従い、一方通行でのご利用をお願いしております。
駐車マス以外の場所への駐車や所定の区分(大型車・小型車・二輪車など)以外の駐車マスに駐車しないようご協力をお願いいたします」
SAやPA内にはカラー舗装されている歩行者用通路や車種別の駐車場所を案内する標識などが設置されているため、それらをよく確認して利用する必要があります。
また物流の需要が高まる中、大型車の駐車スペースに普通車が駐車することで大型トラックが駐車できない事態もたびたび問題となっており、たとえ混雑していても自分の車種に合った駐車スペースに駐車するよう気をつけましょう。
■これ危ないよね… ドライバーが気をつけるコトは?
さらに、前出の担当者はドライバーがSAやPAを通行する上で注意してほしい点について以下のように話しています。
「駐車場内では駐車しているクルマが死角になるため、クルマの陰から歩行者が飛び出してくることも想定し、最徐行して走行するようお願いいたします。
また、SA・PAによっては誘導員がクルマの誘導をしている場合があります。誘導員がいる場合は必ず誘導員の指示に従って進行してください」
過去にはSAの駐車場において通路を斜め横断していた歩行者とクルマが衝突し、歩行者が死亡する交通事故が発生していますが、この事例ではクルマのドライバーに8割、歩行者に2割の過失割合が認められています。
クルマが鉄の塊である以上、歩行者が怪我を負う可能性が高くなるため、ドライバーはいつでも止まれるようにスピードを落として通行することを心がけましょう。
また歩行者側も「クルマが止まってくれるだろう」と安易に考えず、まわりの安全確認をしっかりとおこなうこと。
さらに、小さな子どもがいる場合には通路へ急に飛び出さないよう手をつないでおくなどの対策をとることが肝要です。
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高速道路のSAやPA内においては、クルマと歩行者のどちらが優先という決まりはありません。
しかし多数のクルマや歩行者が通行する場所であるため、道路標識や標示に従うほか、クルマも歩行者もお互いに配慮し合って通行することが重要といえます。