最近のクルマにはオートハイビーム機能が備わりますが、SNSでは意外にも不満の声もあるといいます。一体どんな声が見られるのでしょうか。
■実は不便? 「オートハイビーム機能」に賛否の声
最近のクルマにはヘッドライトの明るさを自動で切り替えてくれる「オートハイビーム」機能が存在します。
便利な機能であるものの、ユーザーの中には不満の声もあるといいます。一体なぜなのでしょうか。
夕暮れから明け方だけでなく、悪天候やトンネル内などで点灯させるヘッドライト(前照灯)のうち、ロービーム(すれ違い用前照灯)は街中など対向車や歩行者・自転車などが前方にいる場合に使用し、ハイビーム(走行用前照灯・上向き前照灯とも)はそれ以外の状況で使用します。
そのヘッドライトの機能として、周囲の道路環境によって自動でライトを切り替えてくれる「オートハイビーム」機能が存在します。
手動のものではロービームとハイビームの2種類のライトを自分で切り替える必要がありますが、オートハイビーム機能を一度オンにしておくことで、その後はセンサーが周囲の状況を感知し、自動的に切り替えてくれます。
例えばトヨタ「プリウス」に備わるオートマチックハイビーム(AHB)では、フロントウインドウガラス上部に設置されているカメラにより、前方車両のランプや街路灯などの明るさを判定し、自動でライトが切り替わる仕組みです。
具体的な条件として、「車速が約25km/h以下」「車両前方が明るい」「前方車両がランプを点灯している」「前方の道路沿いの街路灯などの光が多い」のいずれかの条件の際はロービームが点灯します。
一方で、「車速が約30km/h以上」「車両前方が暗い」「前方にランプを点灯した車両がいない」「前方の道路沿いの街路灯などの光が少ない」といった4つの条件をすべて満たした場合は、ハイビームが点灯します。
このように、手動で切り替える必要のないオートハイビーム機能は便利といえますが、SNSでは意外にも賛否の声が見られます。
「センサーの精度も高く、自動で切り替わるのは便利」と肯定的な意見が見られる一方で、
「後続車のオートハイビームがチカチカしてまぶしい」「オートハイビーム、対向車にとってはいい迷惑…」「ハイビームやめろよ」と、否定的な意見も。
また「対向車が近づいてきても直前までロービームに切り替わらない」「対向車来てからの反応が遅いよな。仕方ないけど」と性能に関する声や、「使い方がよく分からない人いそう」「レンタカー借りた時よく分からなくて慌てたなあ…」という声もありました。
上記にも記した通り、オートハイビームの最大のメリットは自動で切り替わる点でしょう。
とはいえ、SNSの声にもあるように前方カメラの検知によって切り替えに時間がかかったり、切り替わらないといったトラブルもあるようです。
プリウスの場合でも、「車両が割り込んできたとき」「他車が前方を横切ったとき」「連続するカーブや中央分離帯、街路樹などで前方車両が見え隠れするとき」などの場合は、ロービームに切り替わらない場合があると取扱説明書で説明しています。
■「オートハイビーム」オフにする方法は?
一方で警察庁では、夜間の灯火方法について2017年に法令が一部改正したことで、ハイビームの効果的な使用を呼びかけています。
例えば、高速道路や周囲にクルマや歩行者がいない道路では積極的にハイビームを活用し、市街地や交通量の多い幹線道路を走行する場合など、周囲にクルマや歩行者がいる場合にはロービームに切り替える必要があるなど、こまめな切り替えを行うことを呼びかけています。
また、ハイビーム状態で歩行者や自転車の早期発見ができても、オートハイビーム機能ではクルマやバイク、街灯以外に対してロービームへ減光されないものがほとんどであり、歩行者や自転車はすれ違うまでまぶしい状態が継続します。
このため、タイミングによってはオートハイビームと手動でのライトの切り替えを自身で行うほうが良いかもしれません。
オートハイビームが使いづらいと感じる場合は、手動で操作するように設定変更することが可能です。
例えばプリウスの場合は、オートマチックハイビームスイッチ(AHBスイッチ)が設置されており、これを押すことで機能のオンオフを切り替えることができます。
一方で、オートハイビーム搭載車でも機能のオンオフを切り替えるスイッチが設置されていないクルマも存在します。
ホンダ「N-BOX」は、エンジンをかけてヘッドライトをAUTOの状態にして、ウインカーレバーを約40秒ほど引き続けると、オートハイビーム表示灯が2回点滅します。これがオートハイビームOFFの設定です。
なおホンダでこの方式を採用するクルマはエンジンをかけ直しても設定が引き継がれるため、次にオートハイビームをオンにしたいときは同じ操作を繰り返します。
ダイハツ「ロッキー」や「タフト」などでADB(アダプティブドライビングビーム)を搭載しているクルマでは、エンジンスイッチを2回押してクルマの電源をオンにした状態で、ライトスイッチを「AUTO」からオンのポジションへ4回切り替えます。
次にレバーを手前に引きながら(パッシング操作)、同様にAUTO・オンの切り替えを4回行います。この操作を完了すると「ADB表示灯」が緑に5回点滅し、オートハイビームのオフ操作が行なえます。
このほか、メーター内のインフォメーションディスプレイから操作するものや、プリウスのように機能のスイッチを設けているものなど、車種により操作方法は異なります。
自身のクルマのライト設定については取扱説明書などに記載されているため、一度確認してみると良いでしょう。
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ハイビームは街灯の少ない道などで、進行方向を遠くまで認識できるほか歩行者や落下物を見つけやすく、原則ハイビームの使用が呼びかけられています。
しかし、切り替えが正しく動作しない場合や、ハイビームが照らされた先に歩行者や自転車がいる場合はロービームに減光されないケースがあります。
オートハイビームは便利な機能ですが、機能は過信せずに状況や場面に応じて適宜オフにすることが大切でしょう。