2023年6月16日の午前、石川県金沢市において通勤・通学時間帯に路上駐車が原因の渋滞が発生し、市民に大きな影響を与えたと報じられました。
■昔はたくさんレッカーされていたが・・・今は難しい?
先日、石川県金沢市において通勤・通学時間帯に路上駐車が原因の渋滞が発生し、市民に大きな影響を与えたと報じられました。
路上駐車をしたクルマには駐車違反のステッカーが貼られていましたが、渋滞が発生する前にレッカー移動をすることはできなかったのでしょうか。
2023年6月16日の午前、石川県金沢市片町2丁目を走る国道157号上に1台のクルマが路上駐車したことが原因で約2キロの渋滞が発生し、通勤や通学中の市民に大きな影響をおよぼしたとニュースで報じられました。
現場は片側2車線に加えて右折レーンがある道路で、午前7時30分から午前9時までは左端の車線がバス専用レーンとして運用されています。
クルマがこのバス専用レーンに路上駐車していたため路線バスがクルマを避けて通行しなければならず、他の通行の妨げになったことで渋滞につながったとみられます。
路上駐車をしていたクルマのフロントガラスには「駐車違反」の黄色いステッカーが貼られており、警察も路上駐車のクルマがあることを把握していたようですが、通勤や通学時間帯に渋滞することを想定して事前にクルマをレッカー移動することはできなかったのでしょうか。
今回、管轄の金沢中警察署は取り締まりの経緯を明らかにしていません。
しかし、クルマをレッカー移動しなかった理由についてはいくつか推測できます。
まず、「クルマの所有者と連絡がつかなかった、あるいは連絡に時間を要した」ということが考えられます。
石川県警は違法駐車に対しては所有者に連絡をとって移動をうながすのが通常の手順と説明していますが、取り締まりをおこなった時間が深夜や早朝の時間帯であればクルマの所有者と連絡が取れないケースも多々あります。
仮に所有者と連絡が取れても、所有者とは別の人がクルマを使用していることがあり、クルマを移動させるまでに時間がかかってしまう場合もあるようです。
また、「駐車違反を取り締まった時点ではレッカー移動の必要性がなかった」可能性も考えられます。
違法駐車のレッカー移動に関しては道路交通法第51条に規定があり、クルマの運転者が現場にいない場合には警察官などが「道路における交通の危険を防止し、または交通の円滑を図るため必要な限度において」クルマを移動させるといった措置がとれると定められています。
逆を言えば、駐車違反の取り締まりをおこなった時間が深夜・早朝で交通量が少なく、事故や渋滞などが発生しにくい状況であればレッカー移動は難しいともいえます。
現場は片側2車線に加えて右折レーンのある道路で他のクルマが全く通行できない状態とはいえないため、駐車違反のステッカーを取り付けるという措置にとどめたのかもしれません。
■もしレッカー移動した場合、レッカーにかかった費用は?
もし警察が違法駐車のクルマをレッカー移動した場合、レッカーにかかった費用は基本的にクルマの所有者や使用者などに請求されます。
兵庫県警や大阪府警のホームページでは、レッカー移動の費用が1万4000円(普通車の場合)かかることや、移動料とは別に保管料、延滞金がかかることが明記されています。
さらに、レッカーされ警察署などで保管されたクルマに対する措置については、兵庫県警のホームページで下記のように掲載されています。
「保管を始めた日から5日を経過しても車両の所有者が不明の場合は、警察署の掲示板で公示します。
公示の日から1か月を経過しても車両の引き取りがないときは、車両等を売却または廃棄することがあります。
公示の日から3か月を経過しても車両の引き取りがないときは、車両等の所有権は県に帰属します(文章を一部抜粋)」
所有者が名乗り出ないクルマについては警察施設などで保管するため、施設内のスペースを長期間占有するほか、官公庁のオークションに出品するなどして処分する必要があるなど手間がかかります。
そういった事情も考慮すると、レッカー移動には高いハードルがあるのかもしれません。
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路上駐車が非常に多かった2004年頃はレッカー移動がさかんに行われていましたが、現在は路上駐車も減少傾向にあり、それにともなってレッカー業者が撤退したこともレッカー移動が少なくなった要因と言われています。
いずれにせよ、昔ほど簡単にはレッカーできない現状があるといえるでしょう。