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後ろのワイパー「いる?」それとも「いらない?」 セダン車のリアワイパーがない「理由」とは

くるまのニュース 2023年6月27日 14時10分

雨天などの後方視界確保のため、SUVやミニバンでは装備されているリアワイパーですが、セダン車ではあまり装備されていません。なぜでしょうか。

■メーカーによっても異なる「リアワイパー」の扱い

 コンパクトカーやSUV、ミニバンなどにはほぼすべてに標準装備されているリアワイパーですが、セダンでは装備していないクルマも多く、一部のクルマを残してほぼ絶滅状況です。
 
 なぜセダンだけ、リアワイパーが装備されていないのでしょうか。

 リアワイパーには、フロントワイパーと同様に降雨による水滴を拭うという役割のほか、タイヤが跳ね上げてしまったりしてリアガラスに付着した泥などの汚れを拭うという役割もあります。

 セダンでリアワイパーを装備していないクルマが多いのは、そのボディ形状が理由に挙げられます。

 セダンはリアガラスの角度がなだらかであることから、雨の日も水滴が走行中の気流によって後方へ飛ばされるため、降雨時の視界確保という面で、リアワイパーがそれほど必要ないということが挙げられます。

 また後部にトランクエリアがあるため、汚れた水分の巻き上げが少なく汚れにくいことも、採用が少ない理由でしょう。

 これがハッチバックやミニバン、SUVとなると、リアウィンドウが車両後端にあり、なおかつ角度が急(ミニバンは直角に近い)であるため、雨粒やタイヤが跳ね上げた汚れがリアガラスに付着しやすく、リアワイパーは必須となります。

 国産車で唯一、セダンにリアワイパーを装備しているのがスバルです。

 スバルは「いかなる環境でも、常に後方視界を保てるように」という企業方針をとっており、セダンであってもリアワイパーは必要だと考えているようです。

 しかしそんなスバルとは反対に、ハッチバックスタイルなのにモデルチェンジを境にリアワイパーを外したクルマもあります。

 それはトヨタの新型「プリウス」です。なぜでしょうか。

■ハッチバックやSUVでもリアワイパーを廃止する例もでてきた

 プリウスは、先代まではリアワイパーを標準装備していたものの、2023年1月に発売となった新型では廃止しています。

 新型プリウスのリアガラスは、先代プリウスの傾斜とほぼ同等。角度が変わっていない=必要性は変わっていないと思われます。

 そんな新型プリウスでリアワイパーを廃止したのはなぜでしょう。

最新のトヨタ「プリウス」(2023年1月発売)では、ハッチバック型のボディながらリアワイパーを廃止しています

 筆者(河馬兎)がトヨタに取材したところ、リアデザインの改善や、そもそもあまり使われていなかったこと、また燃費改善効果が大きかったことが理由だといいます。

 燃費改善のためには、空気抵抗を減らすことが重要ですが、リアワイパーは、車両左右の向きに設置されていることで気流に乱れを生じてしまい、無視できないほどの空気抵抗となってしまっていたそうです。

 ルーフの高さやトランクの高さを数ミリ変えることですら、空気抵抗値(Cd値)に大きく影響を及ぼすことがあるそうで、後方視界が確保できるのであれば、できれば外したいアイテムだったとのことで、新型では廃止に踏み切ったそうです。

 ちなみに、先代プリウス(2015年~2023年)では装備されていたリアワイパーですが、先代プリウスPHV(2017年~2023年)では外されています。

 なおクロスオーバーSUVモデルにおいても、レクサス「RZ」やトヨタ「クラウンクロスオーバー」などもリアワイパーを装着していません。

※ ※ ※

 筆者はこれまで日産「プリメーラ」「スカイライン」と、リアワイパーのないセダンへ乗り継いできましたが、渋滞している最中に起きたゲリラ豪雨で、後方が見えなくなったことがあります。

 また黄砂や花粉などがガラスにのったまま走り出してしまい、汚れのせいで後方が見えず、走行中に困ることもありました。

 筆者としては、コンパクトカーやSUV、ミニバン、セダンといったボディ形式に関わらず、リアワイパーは備えてほしいと思うのですが、そもそもリアワイパーを使っておらず不要、と考えている人も多いようです。

 燃費改善に効果的であることや、デジタルインナーミラーも普及してきていることを考えれば、今後はセダンに関わらず、リアワイパー廃止が進んでいくかもしれません。

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