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ホンダの「前席3人乗りミニバン」が凄い! 真ん中に「椅子」がある…!? イマじゃ考えられない斬新な仕様とは

くるまのニュース 2023年6月29日 18時10分

ファミリーユーザーの多くが好むミニバンは、いざとなれば多人数乗車可能な点が魅力ですが、広い空間ゆえに少人数で乗る際に無駄が多いのも事実です。そんななか「前に3名乗れる」画期的なクルマがかつて販売されていました。

■3人家族が乗るべきミニバンの姿は「3+3」レイアウトだった!?

 ミニバンに限らず、現在販売されている多くの乗用車で前席の定員は、運転席と助手席の2名です。
 
 しかし過去には、前席に3人乗れるファミリー向けのミニバンがあったのをご存じですか。

 前席3人掛けシートを備えていた3+3レイアウトのファミリー向け6人乗りミニバンは、1990年代後半から2000年代前半にかけて立て続けに誕生しました。

 まず1998年に登場した日産「ティーノ」、2003年に日本登場したフィアット「ムルティプラ」、2004年に登場したホンダ「エディックス」などが挙げられます。

 前席3人掛けシートの最大のメリットは、子どもひとりの3人家族において、子どもを真ん中に乗せて、家族で一列に並んでドライブできることです。

 子どもにとっては、両サイドに両親がいるので会話がしやすく、小さな子どもの場合でも、運転席の真横に座らせることができるので簡単に手が届くため、ドライバーも安心です。

 実際、エディックスを購入したユーザーからは、すぐに手が届く範囲に子どもを座らせることができるので、後席に座らせておくよりも安心できた、といった声が多かったようです。

 ホンダも当時、中央席に固定するベビーシートをアクセサリーとして販売していました。

 他にも、運転席のすぐ横にシートがあるためベンチシートのようになり、荷物の置き場所として便利だったり、助手席側から運転席側へのスライド移動も簡単、というメリットもありました。

 ただその反面、前席と2列目シートのウォークスルーができなかったり、横方向、特に足元が狭いことは難点でした。

 また、フロントセンターシートは左右ドアからは遠くなるため、子どもを座らせるのが結構大変で、後席に乗せるほうが早いという根本的な課題や、運転者が端に寄っているので、やや運転に慣れが必要など、ネガティブな部分もあったりします。

 また、2列・5人乗りや、3列・6/7人乗りの商品力の高いコンパクトカーやコンパクトミニバンが多く登場したことなどもあって、販売台数は思うようには伸びませんでした。

 ティーノは2006年に、エディックスは2009年に、ムルティプラは2010年(日本)に、それぞれ販売終了となっています。

 3モデルが廃止したあと、前席3人掛けの乗用車は登場していません。

 コンパクトカーや軽自動車では、前席がベンチシートタイプとなっているクルマもありますが、これらはすべて2人掛けです。

 ちなみに、前席3人掛けシート車が絶滅した理由を、「側面衝突安全性の辛さ」(中央席は身体を支える部位がないため)とする声もありますが、それは必ずしも大きな理由ではないと筆者(河馬兎)は考えます。

 中央席へのシートベルト装着や、シート形状や着座レイアウトの改良、ドア内部への緩衝部材や補強部材追加などで、その気になれば、対策はできたはずです。

 前席3人掛けシート車が絶滅した理由は、コストや時間をかけて衝突性能を上げるほどの価値が見いだせない(売れない)ため、モデル廃止にせざるを得なかった、というのが実情なのではないでしょうか。

※ ※ ※

 ただ「家族で横一列に並んで座る」というコンセプト自体は、素晴らしいものです。

 例えばバッテリーEV(電気自動車)のように、エンジンスペースが小さくなり、真ん中席の足元がフラットで広くなれば、再び前席3人乗り車が復活する可能性は十分にありそうです。

 いまは絶滅した状態ですが、アイディアや技術革新によって再注目されることを期待しています。

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