トヨタ「ハイエース」と日産「キャラバン」は、似たようなモデルに見えますが、もちろん異なる点も存在します。共通点と相違点には、どのようなことがあるのでしょうか。
■「ハイエース」vs「キャラバン」
「はたらくクルマ」のイメージが強いキャブオーバータイプのワンボックス型「商用バン」は、建築業界や物流業界といったビジネス用途で使われているほか、近年は趣味の道具を載せて個人で使用する人も増えています。
そんな商用バンですが、国産車ではトヨタ「ハイエース」と日産「キャラバン」が2大勢力としてほぼ市場を独占しています(ほかに同車のOEMモデルもあり)。
似ているように思えるハイエースとキャラバンですが、どのような違いがあるのでしょうか。
両者ともにさまざまなグレードやボディタイプがあるのですが、今回は、ハイエースの「スーパーGL ロング・標準ボディ・標準ルーフ」と、キャラバンの「プレミアムGX ロング・標準ボディ・標準ルーフ」を比較してみます。
まずボディサイズですが、ハイエースは全長4695mm×全幅1695mm×全高1980mm、キャラバンは全長4695mm×全幅1695mm×全高1990mmと、全高が10mm異なるだけで、あとは同じです。
ワンボックスタイプで大きなボディにも見えますが、実は5ナンバーサイズの規格に収まる全幅1695mmに設定されており、日本の狭い道路事情での扱いやすさが重視されているようです。
荷室のサイズは、ハイエースが荷室長3000mm×荷室幅1520mm×荷室高1320mm、キャラバンは荷室長3050mm×荷室幅1520mm×荷室高1325mmとなっており、キャラバンのほうが荷室長で50mm、荷室高で5mmそれぞれ上回っています。
エンジンはどうでしょうか。
ハイエースは2.8リッターガソリンと2.7リッターディーゼルを設定し、いずれも6速AT(シーケンシャルシフトマチック付)と組み合わせました。一方のキャラバンは、2リッターガソリンと2.4リッターディーゼルに7速AT(MTモード付)を組み合わせています。
キャラバンのディーゼル車は、2022年のマイナーチェンジで三菱製のエンジンを搭載。
動力性能やクリーン性能、静粛性などが向上したほか、燃費も改善されるなどの変更が実施されています。
■ハイエースとキャラバンの意外な違いとは?
ボディサイズや荷室の広さ、ガソリン・ディーゼルをラインナップするパワートレインなど、ハイエースとキャラバンはかなり似たような設定になっていることがわかります。
では、機能面の違いをチェックしてみましょう。
まずは、乗員の安全を守る「助手席エアバッグ」です。
助手席エアバッグは、どんなクルマでも標準装備だと思われがちですが、ハイエース(スーパーGL)の場合はメーカーオプションです(特別仕様車DARK PRIME IIは標準装備)。
一方のキャラバンは全グレード標準装備となっており、追加の費用はかかりません。
なお、ハイエースに助手席エアバッグをオプション設定しなかった場合、ティッシュ箱が入るくらいの収納スペースになります。
次は、安全装備「踏み間違い防止アシスト」です。
踏み間違い防止アシストとは、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑制しブレーキを制御する安全装備です。
ハイエースは2022年4月の一部改良で、「パーキングサポートブレーキ」(前後方静止物)を標準装備化しました。
ガラスや壁といった静止物を検知し、表示やブザーで知らせるとともに、エンジン出力抑制やブレーキ制御を補助してくれます。
対するキャラバンも、2020年~2021年のマイナーチェンジで新たに「踏み間違い衝突防止アシスト」などの先進安全技術を装備しており、安全性能が大幅に向上しました。
さらに、進入禁止標識、最高速度標識、一時停止標識の3つを検知して、メーター内に表示したり、警告音でドライバーに知らせる「標識検知機能(進入禁止・一時停止・最高速度標識検知)」もキャラバンには装備されます。
続いては「バッテリーセーバー機能」です。
「バッテリーセーバー機能」は、ライトを点灯したままエンジンを止め、リモコンまたはリクエストスイッチ(インテリジェントキー付車のみ)で施錠するとバッテリー上がりを防止するためライトが消灯する機能です。
ハイエースの場合、ライトを点灯したままエンジンを止めてドアを開けた瞬間に消灯するのですが、キャラバンは施錠するとライトが消灯する仕組みとなっており、エンジンを切ってドアを開けただけではライトが消灯しません。
そのため、キャラバンでは、施錠を忘れてしまうとライトが点きっぱなしになる可能性があり、バッテリーが上がってしまうことがあるかもしれません。
ただしキャラバンでも、ライトを点灯したまま運転席ドアを開けた際には消し忘れ警報が鳴ることで、ドライバーに知らせてくれる機能は備わっています。
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ハイエースもキャラバンも、荷物の積載のみならず、キャンピングカーやドレスアップのベースとしても人気があります。
なお、キャラバンに関しては、車中泊可能な「マルチベッド」というグレードが用意されているほか、新たな車中泊仕様「キャラバン マイルーム」が2023年度中に市販化される予定となっています。