公共機関となるバスやタクシーで移動する場合「チャイルドシート」は必要なのでしょうか。
■タクシーにチャイルドシートは不要。その理由とは
自分のクルマなら、迷いなくチャイルドシートに子どもを乗せます。
それでは、タクシーではどうでしょうか。チャイルドシートは必ず必要なのでしょうか。
子どもの命を守るため、自家用車に装着するチャイルドシート。
2000年4月から道路交通法が改正され、6歳未満の乳幼児にはチャイルドシートの使用が義務付けられています。
それでは、乳幼児や小さな子どもと一緒にタクシーに乗る際は、どうすればいいのでしょうか。
実は、タクシーではチャイルドシートの使用義務が免除されます。
チャイルドシートの使用を義務付ける道路交通法では、「その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない」と記載されています。
また、道路交通法施行令第26条によると、座席の構造上チャイルドシートを固定できないときや、ケガや障害でチャイルドシートの使用が適当でない幼児を乗せるときや、チャイルドシートを使用したままで授乳やおむつ交換など日常の世話ができないときに、着用が免除されると記載されています。
そして、バスやタクシーなどで、お客様である幼児を乗車させるときも免除されると定められているのです。
そもそも、チャイルドシートは子どもにあわせてさまざまなタイプがあります。
そのため、タクシー会社などが常にクルマに配置しておくのは現実的ではないといえます。
一方、レンタカーやカーシェアリングでクルマに乗る場合は、チャイルドシートの使用は免除とはなりません。
■子どもとタクシーに乗る時の注意点
タクシーでチャイルドシートを使用しないのであれば、どのように子どもを乗せるとよいのでしょうか。
小さな子どもが自分で座れるようなら、ひとりで座らせるようにします。
大人が子どもを抱えて座ることは、万が一事故が起きた場合の衝撃が非常に大きいため、おすすめできません。
たとえば、時速40キロで衝突したとすると、子どもには体重の30倍の力が伝わります。
体重10キロの子どもなら300キロの衝撃を受けることになり、車外に飛び出してしまう可能性もあります。
人の力では子どもを支えられないと覚えておくことが大切です。
では、乳幼児の場合はどうでしょうか。
大人が抱っこをしてシートベルトを締めれば、事故が起きた場合にシートベルトが強く締め付けられるので、シートベルトと大人の間に挟まれた赤ちゃんに大きな負担がかかってしまいます。
そのため、乳幼児を固定するには抱っこ紐を使い、シートベルトを着用した大人が、自分と乳幼児を固定するという方法が推奨されます。
抱っこ紐により、事故の際に大人はシートベルトで守られ、赤ちゃんも抱っこ紐によって、大人の体から放り出されることがなくなります。
一方で、「簡易ベビーベッドのクーハンを利用するのが安全」と思う人がいるかもしれません。
しかし、乳児用のチャイルドシートと変わらないように見えても、事故の衝撃から赤ちゃんを守るようには設計されておらず、全くの別物です。
クーハンはあくまでも持ち運びツールとして使用してください。
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また、タクシーを手配する際にチャイルドシートを装備してくれるタクシー会社もあります。チャイルドシートの手配をおこなう首都圏内のタクシー会社担当者は次のように話します。
「チャイルドシートの手配依頼があれば無料で装備しています。新生児用、幼児用、学童用のシートを用意しています。
普段は乗用車でチャイルドシートを使用しており、タクシーに乗る際もその習慣で使用したいというお客様から手配依頼がある印象です。
ほかにも、子どもを病院などに送迎する際に病院側から『チャイルドシートを着用してクルマに乗ってください』という指示があり、依頼するということもあります」
また、自分のチャイルドシートをタクシーに持ち込むこともできますが、対応については、タクシー会社に確認する必要があります。
さらに、一般的にドライバーはシートの扱いに慣れていないため、着脱の方法を把握しておかなくてはなりません。また、シートがタクシーの車種に適合している必要があります。
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タクシーにチャイルドシート使用の義務はありません。しかし、シートなしで乗る場合は、子どもの安全を守る心がけが大切です。
特に、長く移動するのであれば、チャイルドシート装着車を予約する、自分のチャイルドシートをタクシーに持ち込むといった方法もあります。