近年、クルマにUSB端子が標準装備化されるようになりました。しかしその仕様はまちまちのようです。その違いについて解説します。
■USB端子は「電源専用」と「通信機能と電源機能」のものがある
スマートフォンの急激な普及などにともない、クルマの車内で充電可能なUSB端子が装備されるようになりました。
どれも同じようにみえますが、様々なスペックのものがあるといいます。どう違うのでしょうか。
クルマの車内でカーアクセサリーやモバイル機器の充電をするために便利なのが、アクセサリーソケットやUSB端子です。
なかでも近年は、USB端子が標準装備されるモデルも増えています。
また1台に1個ではなく、各席から使えるよう複数のUSB端子が前後席に装備されていたり、車載端末とつなぐことができるタイプ、急速充電ができるタイプといったバリエーションも多彩になってきました。
そしてUSB端子自体にもいくつかのタイプがあります。
クルマに装備されるのは、長方形の「タイプA」と、角が取れたコンパクトな長方形の「タイプC」端子に分かれます。
早くからクルマに装備されたのはタイプAでしたが、ここ数年はタイプCを装着したものが増えてきました。
タイプAだけのモデル、タイプAとタイプCを両方備えたモデル、タイプCだけのモデルなど、時代やメーカーの考え方でその装備状況は異なります。
そんなクルマのUSB端子の機能は、主に2つの機能に分けられます。
電池に雷のマークがついているUSB端子は「電源専用」、3本の配線のようなマークがついているのが「通信機能と電源機能」を持ったUSB端子です。
ただし車種によってアイコンが違ったり、通信機能がない場合もあります。
電源専用のUSB端子は、スマホやタブレット、デジカメ、ゲーム機器などUSBで充電することができる機器とUSBケーブルを介して接続することで、充電をすることができます。
通信機能と電源機能を持ったUSB端子は、スマホやメモリーオーディオなどをUSBケーブルで接続することで、オーディオで音楽を流したり、Android AUTOやAppleCarPlayなどのスマホアプリを使ったりすることができます。
もちろん電源機能も兼ね備えているので、通信しながら接続機器の充電をすることも可能です。
■アンペア数によって異なる大きく充電能力に注意!
USB端子から供給される電流(アンペア:A)は、500mA、1.0A、1.5A、2.1A、2.4A、3.0Aなど、様々なスペックのものがあります。
この違いによって得られる充電能力も変わってくるので、十分な注意が必要です。
比較的新しい車種の場合はアンペア(A)が大きいものが装備されることが多く、最新のモデルではタイプAは2.4A、タイプCは3.0Aが標準的になってきているようです。
最新モデルの例では、日産「セレナ」、マツダ「CX-60」、スバル「インプレッサ」などが該当します。
なおUSBメモリーを挿し込んで使うカーオーディオのUSB端子は、あくまで音楽データの転送のための機能が主で、一般的には500mAとなっています。
そのためスマホなどの充電には不向きで、スマホの機種によっては充電できない場合もあるようです。
またタブレットなどを充電する場合も、アンペアが低いUSB端子を使うと充電が遅かったり、充電ができなかったりする場合もあるので、接続する機器の充電スペックを確認のうえで接続すると良いでしょう。
なお、ホンダ「ZR-V」や「ステップワゴン」などには、オプションでPDチャージャーが用意されています。
PDとはPower Delivery(急速充電)の略で、タイプCの給電規格です。
ホンダ純正のPDチャージャーの場合、スペックが最大45W(5~15V、最大3A)となっており、同じ3Aであっても通常の5Vではなく最大15Vまで出力されることから、PD規格に対応したノートPCやタブレットなどを急速充電することもできます。
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このように、近年の新型車ではUSB端子が標準装備化されたことで、車内でのスマホなどの充電がしやすくなりましたが、注意する点もあります。
仮にUSB端子自体のアンペア数が高くても、接続するUSBケーブルが500mA程度にしか対応していない場合、仮に3AのUSB端子であっても、充分な給電が行われず、充電時間に時間がかかることがあります。
またカーシェアやレンタカーでスマホの充電をしようと、タイプAもしくはタイプCどちらかのUSBケーブルだけを用意していた場合、端子の形状がどちらか一方のみということもあり、結局USB接続や充電ができなかった、という事態もあり得ます。
当面は旅先などでクルマを借りる場合、タイプAとタイプC、かつ3A以上対応のUSBケーブルをそれぞれ用意しておくのが間違いないでしょう。