普段クルマを運転する際、車内にあるものを点検する人はそう多くないでしょう。しかし、実はクルマには法律上置いておかなければいけないものが存在します。では、一体どのようなものを積んでおく必要があるのでしょうか。
■クルマに積むべきものは法律で決まっているって本当?
クルマを運転するときに、クルマの汚れやライト切れなどの不具合をチェックする人はいるかもしれませんが、車内に置いているものを定期的に確認する人はあまりいないと考えられます。
しかし、実はクルマには法律で置いておかなければいけないものが規定されており、罰則が設けられている場合もあります。
では、法律上クルマに置いておかなければいけないものとは一体何なのでしょうか。
まずクルマに置く必要があるものとして、車検証が挙げられます。
車検証は基本的にダッシュボードに入れたまま取り出さない人も多いですが、何かのきっかけで使用した後、クルマに戻し忘れるケースが時々発生しています。
道路運送車両法第66条第1項では、車検証の備え付けに関して以下のように規定しています。
「自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。」
つまり、クルマには正しい位置に車検ステッカーを貼った上、車検証を積んでおかなければいけません。
さらに車検証はコピーではなく原本を置いておく必要があります。
これに違反した場合、50万円以下の罰金という罰則も設けられており、何かの手続きで車検証をクルマから取り出した場合には忘れずに戻しておくことが大切です。
仮に、車検が終わった直後で新しい車検証がまだ発行されていない場合には、ディーラーや自動車整備工場などからもらえる「保安基準適合標章」を車内に貼っておきましょう。
保安基準適合標章は車検に合格した証明となるもので、車検の日から15日間有効です。
有効期限が近づいても新しい車検証がもらえない場合には、車検を受けた業者に問い合わせてみると良いでしょう。
万が一車検証を紛失してしまった際には、普通自動車であれば管轄の運輸支局または自動車検査登録事務所で、軽自動車であれば軽自動車検査協会で再交付できます。
■他にも載せておかないと…いけない物はナニ?
次に、車検を受けた際に受け取る自賠責保険証もクルマに置いておかなければいけません。
なぜなら、自動車損害賠償保障法第8条に「自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。(条文を一部抜粋)」と規定されているためです。
この規定に違反すると、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
実際のところは、これらの違反を厳しく取り締まることはないようですが、交通事故が起きた際に、警察が事故処理をする上で車検証や自賠責保険証が必要になるため、忘れず積んでおきましょう。
さらに、クルマで高速道路を走る際には三角表示板のような事故防止のための道具を積んでおく必要があります。
道路交通法第75条の11第1項と道路交通法施行令第27条の6では高速道路でクルマが故障した場合の措置について規定しており、後方を進行してくるクルマから見えやすい位置に停止表示器材を表示しなければいけないと決まっています。
停止表示器材の不携帯自体に罰則はないものの、高速道路においてクルマが動かせなくなった場合には三角表示板などを置く義務があり、これに違反した場合、「故障車両表示義務違反」として違反点数1点、普通車で反則金6000円が科される可能性があります。
そのほか道路運送車両の保安基準第43条の2においても、発炎筒のような非常信号用具を備え付けることが決まっています。
もしもの事故に備えて、必要な道具を準備しておくことが重要といえるでしょう。
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意外と知られていませんが、車検証や自賠責保険証などは法律によってクルマに備え付けることが決まっています。
クルマの運転の際には、必要なものを積んでいるか、また運転免許証を携帯しているかなど、今一度確認してみましょう。