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免許不要でも罰金「最高100万円!?」 わかりにくい「電動キックボード」の選び方は? 7月1日から「特定原付」とは

くるまのニュース 2023年7月5日 9時10分

023年7月1日から「特定小型原動機付自転車」(いわゆる電動キックボード等)に関する改正道交法(令和4年法律第32号)が施行されました。では具体的にどんな電動キックボードが特定原付として認可を得て販売されるのでしょうか。

■免許不要でも罰金「最高100万円!?」

 2022年4月に衆議院本会議で可決・成立した「特定小型原動機付自転車」(いわゆる電動キックボード等)に関する改正道交法(令和4年法律第32号)が7月1日から施行されました。
 
 これまで公道を走れる電動キックボードと言えば、定格出力に応じて600Wまでは原付第1種(法定速度30km/h)、1000Wまでは原付第2種(同50km/h)に区分されており、それぞれ必要な免許も異なっていました。
 
 今回、道交法改正によって新たに誕生するのは最高速度20km/h(速度抑制装置によって絶対にそれ以上のスピードが出ない)の「特定小型原動機付自転車」(特定原付)に区分けされる原付で免許不要で乗れることで話題になっています。
 
 では具体的にどんな電動キックボードが特定原付として認可を得て販売されるのでしょうか。

 速度6km/h以下なら自転車通行可の歩道で乗ることができます。

 ただし歩道は歩行者優先なので歩行者を退かせて走ることは厳禁です。

 また免許不要でも16歳未満の人が運転することは禁止されており違反すると「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」が科せられます。

 一般原付同様にナンバープレートと自賠責保険が義務付けられており、もちろん飲酒運転(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金等)や二人乗りは禁止。

 信号のある交差点では二段階右折をするなど道路交通法も適用されます。

 免許不要でも道交法や罰則は一般原付や自動車と同レベルとなります。

 では具体的にどんな電動キックボードが特定原付として認可を得て販売されるのでしょうか。

 と、その前に、特定原付の保安基準について警察庁が作成した表を基に解説したいと思います。

電動キックボードの保安基準(警視庁公式サイトより)

 基本的な保安部品等は原付(50cc以下第一種)と同様ですが、いくつか大きく異なるポイントがあります。

 1)サイズ
 
 道路運送車両法にて定められたサイズは以下となっています。

 ●原付(1種/2種)→ 長さ×幅=2.5m×1.3m
 ●(特例)特定原付 → 長さ×幅=1.9m×0.6m

 特に大きく違うのは特定原付の全幅です。原付が幅1.3mに対して特定原付はその半分以下となる60cm以下に定められています。
 歩道を走ることを想定した設計となっているので一般原付よりもかなり横幅が狭くなっています。

 2)速度抑制装置

 原付1種の法定速度は30km/hでアクセルを開けることでそれ以上速度を出すことも可能です。

 しかし、特定原付には速度抑制装置の設置が義務付けられており、特定原付は最高20km/h、歩道を走行できる特例特定原付は同6km/hまでしか出せない設計になっています。

 3)最高速度表示灯

 一般原付には存在しないのが緑ランプの最高速度表示灯です。速度20km/h以下のときは緑ランプが「点灯」し、速度6km/h以下に設定して歩道を走る場合は緑ランプが「点滅」します。

 この緑ランプの設置位置は個々の電動キックボードによって異なっており、ハンドルの左右両端についているタイプや前後についているタイプがあります。

■安心&安全性の高い「認証シール」付きの特定原付(一般販売向け)は3機種のみ

 国交省によると、2023年6月12日時点で公益財団法人日本自動車輸送技術協会によって保安基準適合性等が確認された特定小型原動機付自転車の型式は3機種としています。

 これら3機種のうち、時速6km/h以下に速度抑制ができる特例特定原付としての保安基準を満たしたものは以下の1)と2)になります。(他にも5機種ありますがすべてシェア用で一般販売はなし)

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 1)長谷川工業株式会社『YADEA』(ヤディア)KS6PRO-JP(歩道走行可能)税込み19万8000円

 長さ×幅×高さ=1192×520×1258mm 車両重量22kg

 バッテリー36V15AH/定格出力500W/最大荷重110kg/充電時間5時間/最大航続距離60km/最大登坂能力15度(26.8%)※体重82kg乗車時

 2)株式会社ストリーモ『ストリーモ』S01JT(歩道走行可能)税込み30万円

 長さ×幅×高さ=1090×500×1180mm 車両重量24kg

 バッテリー36V13AH/定格出力430W/最大荷重120kg/充電時間3.5時間/最大航続距離30km/最大登坂能力(75 kg乗車時)発進時17.5%、登坂時21%

 3)SWALLOW合同株式会社 『Falcon P.E.V.』ZERO9 Lite(歩道走行には非対応)税込み13万8000円

 長さ×幅×高さ=1130×595×可変式900~1130mm 車両重量18.5kg

 バッテリー36V 10.4Ah/定格出力350W/最大荷重100kg/充電時間5-6時間/最大航続距離30km/最大登坂能力(70kg乗車時)15%
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認証シールが貼られた車体を選ぶ方が無難

 公益財団法人日本自動車輸送技術協会にて性能等確認が行われて保安基準適合が認められた特定原付には「認証シール」が貼られます。

 なおこの認証シールは認証を得た販売者側で作成し貼り付けることになっています。

 この認証シールが貼られていない電動キックボードでも、特定原付としての保安基準を完全に満たしてナンバープレートと自賠責保険を付けていれば免許もヘルメットも無しで公道(歩道、車道)を走ることに問題はありません。

 しかし、取り締まる側の警察やナンバーを出す自治体の担当者などが特定原付の保安基準や必要な保安部品などをよく理解していないケースもまだまだ多いと考えられます。

 歩道で乗っていて警察から職務質問を受けた際などに、保安基準適合の確認に時間や手間がかかる可能性もあります。

 ナンバープレートを発給する自治体の中には「認証シールがない車体に対してはナンバープレートを出さない」としているところもありますので認証シールが貼られた車体を選ぶ方が無難と言えるでしょう。

 認証シールが貼ってある車体は実物を見てきましたがYADEA KS6PRO(税込み19万8000円)もストリーモ(同30万円)も価格は高めですが、乗った時の安定感が抜群で操安性にも優れ、安全性が高い製品だと感じました。

 とくにストリーモは後輪2つの3輪タイプとなるため、操安性はもちろん後ろに荷物を置くスペースもセットできるため小規模配送などの業務にも使えそうです。

 特定原付の導入で大幅な規制緩和となった日本の電動キックボードですが、海外では死亡事故多発によって歩道走行を禁止するなど電動キックボードの規制強化が進んでいます。

 パリでは2023年4月の住民投票で電動キックボードのレンタルサービス廃止が確実になりました。

 免許を取得せずに電動キックボードに乗ろうとしている人は特定原付のための道交法をしっかり理解して乗って欲しいものです。

 免許不要であっても各種の罰則は免許が必要なバイクや自動車とほぼ同じであることに注意してください。

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