販売店を通してクルマを購入するのではなく、知人や家族などから譲り受けた場合、どのような手続きをすればいいのでしょうか。
■15日以内の手続きが必要!
クルマの販売店から購入するのではなく、フリマアプリなどの個人売買で購入したり、知人や家族から譲り受けたりすることもあるかもしれません。
このような場合では、自身でクルマの名義変更などの手続きが必要です。
クルマを購入した場合、新車だと「新規登録(初めて運輸支局に登録申請をすること)」、中古車だといわゆる「名義変更」など、手続きが必要になります。
この手続きを踏まえることにより、車検証とナンバープレートが交付され、公道を走行しても良い状態になります。
一方で、知人や家族などから購入・譲渡してもらった場合など、そのままにしてしまう人もいるかもしれませんが、これはNGです。
道路運送車両法の第12条・13条では、所有者やその名前、住所、使用の本拠地などに変更があった場合、15日以内に申請をしなければならないと明記されています。
また、自動車保険に入る際にも原則的に自身の名義となっているクルマでしか加入できず(「他車運転特約」加入時を除く)、事件や事故に巻き込まれた際にあらぬ誤解を生まないためにも、できるだけ早く手続きを済ませたほうがよいでしょう。
名義変更では、いくつかの書類が必要となり、なかには事前の準備が必要なものもあります。
譲渡証明書は、名称の通り「クルマを譲り渡します」ということを示すもので、クルマを渡す側の実印の押印が必要です。
これとともに印鑑証明書も必要ですが、渡す側だけでなくクルマを受け取る側も用意する必要があります。また、印鑑証明書記載の住所と譲渡証明書に記入した住所が双方で異なっていないかに注意が必要です。
引っ越しなどで住所が変わっている場合、住民票や戸籍の附票が必要になるケースがあり、確認が必要です。
名義変更の申請書(OCRシート第1号様式)は運輸支局に用紙が準備されており、当日の記入でも良いでしょう。
また、手数料納付書も必要ですが、用紙は運輸支局に用意されており、印紙も当日に窓口で購入するのが良さそうです。
さらに、申請は譲渡する側・される側双方の本人が直接出向いて行う必要があるため、申請に立ち会えない場合は実印を押した委任状が必要になります。
車検証と警察署で取得した自動車保管場所証明書、いわゆる車庫証明も必要です(ただし家族内の名義変更など、車庫が全く変わらない場合は除く)。
軽自動車では申請書類が異なります。
名義変更の申請書(軽第1号様式)、申請依頼書、車検証、譲り受ける側の住民票または印鑑証明書が必要です(一部地域では車庫証明も必要)。
ちなみに軽自動車では実印の押印は不要で、それに伴って原則的に印鑑証明書も必要ありません。
■書類が揃った! その後はどこへ行く?
書類がそろったら、居住地の運輸支局に行って提出します。申請書類に不備がなければ新しい車検証が交付されます。
軽自動車の場合、運輸支局ではなく軽自動車検査協会事務所に出向く必要があり、運輸支局では受け付けてもらえないので注意しましょう。
次に、運輸支局の敷地内にある都道府県税事務所に向かいます。ここでは自動車税にかかる手続きを行い、事務所に用意されている書類を記入して提出します。
注意したいのは、クルマによっては環境性能割の支払いが発生する可能性がある点です。
これまでの自動車取得税に代わり、新たに導入された環境性能割では、クルマの燃費性能に応じた額が課税されます。
環境性能割についてはクルマの登録年月などによって異なるので、名義変更手続き前に都道府県税事務所に確認したほうが良いでしょう。
この手続きが完了すれば書面での手続きは完了です。
ただし、ナンバープレートが変わったり、新たなナンバープレートを希望した場合などは、今装着されているナンバープレートを外して、「ナンバーセンター」に行き、新しいナンバープレートを購入し装着することが必要です。
下4桁の番号を自由に選べる「希望ナンバー」は事前の申請が必要で、交付できるまでに日数がかかることがあるので、手続き前に済ませておかなくてはなりません。
ナンバープレートを外す場合、運輸支局がドライバーを貸してくれるケースもありますが、盗難防止ビスを使っている場合はアダプターを忘れないようにしましょう。
ナンバープレートを装着したあとは、車検証とナンバープレートや車台番号が間違っていないかなどのチェックを受け、係員がリアナンバープレートに封印をしてもらえば完了です。
軽自動車ではナンバープレートの封印がないので、ナンバープレートを装着すれば手続きは完了となります。
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あくまでも一般的な手続きについて紹介しましたが、遺産相続での名義変更や、所有者と使用者が異なる場合などでは追加書類が必要になるケースがあります。
また、お盆前や年末年始、年度末などで混雑していると、手続きに1時間以上時間がかかることもあります。
さらに、運輸支局で手続き可能な曜日は平日のみのため、もし時間を作ることが難しかったり、書類作成に自信がない場合は、近くの自動車販売店や運輸支局付近の行政書士に任せるという手もあります。
いずれの方法でも良さそうですが、クルマを譲り受けた場合は15日以内に名義変更を済ませるようにしましょう。