高速道路のトンネル内には様々なライトが存在します。その中で一部だけ青く照らされるライトにはどのような役割があるのでしょうか。
■運転中に気になる…!なぜ一部だけ青く照らすの?
高速道路等のトンネルを走行していると一部だけ青く照らすライトが存在します。
運転していると気になりますが、なぜ一部だけを照らしているのでしょうか。
交通事故の原因で上位を占めているのが、注意力が散漫になる「漫然運転」。
わき見運転と並んで死亡事故を起こす原因とされており、非常に危険な状態です。
「漫然」とは、ぼんやりとして心にとめないさまの意味合いで、漫然運転とはほかのことを考えていたり、ぼんやりしたり集中力が低下している状態で運転することをいいます。
漫然運転が起こる原因としては、心理的に不安定な状態だと起こりやすく、悩み事や考え事があると頭がいっぱいになり事故を起こしやすくなります。
また、精神面以外にも睡眠不足や疲労が溜まっているような肉体面の不調でも、集中力が維持できずに慢性運転になりやすいです。
環境面でも注意が必要で、同乗者の会話や音楽に夢中になることや、信号や交差点のない単調な直線道路でも慢性運転の原因になっています。
そんななか、慢性運転による重大事故の防止策として2018年10月からNEXCO東日本が一部だけ青く照らす「アクセント照明」を設置しています。
NEXCO東日本では、長和トンネル、穂別トンネル、占冠トンネルなど、主に重大事故が発生した前後の場所にアクセント照明が設置されています。
ほかにもNEXCO中日本管轄の東海北陸自動車道では、飛騨清見インターから白川郷インター間で、ブルーとピンクが入り混じった幻想的なアクセント照明が設置されています。
アクセント照明について、NEXCO東日本の広報部担当者は次のように話します。
「長いトンネルが連続して続く区間等で単調な景観による居眠り運転や漫然運転が起こりやすくなり、それらを原因とした重大事故を招く可能性があります。
その原因を防止するため、LED照明灯具で青色や緑色などトンネル壁面をスポット的に照らし、走行景観にアクセントをつけ漫然運転を防ぐ目的で『アクセント照明』を設置しています」
■漫然運転は違反になる? 他にも色々なライトが存在…その役割は?
漫然運転には、どのような危険や事故リスクがあるのでしょうか。
慢性状態での運転は、集中力が低下している状態であるため、ハンドル操作が鈍くなりクルマがふらつきやすくなります。
それだけでなく、前方が不注意になり、信号の見落としや前車の車間距離が不足し、信号無視や追突事故の原因となります。
歩行者の認識力低下やとっさの判断力もなくなるため、ハンドルやブレーキの操作も鈍くなり非常に危険です。
こうした漫然運転は、道路交通法第70条の安全運転義務違反に該当し、違反点数2点、反則金は普通車は9000円、大型車は1万2000円となっています。
ちょっとした気のゆるみで誰にでも起こりやすい漫然運転は、死亡事故などの重大事故につながりやすいため、対策は必須です。
漫然運転を予防するためには、疲労が溜まることがないようにこまめな休憩を取ることが重要です。
休憩をとることにより、眠気の防止にもつながるため、一石二鳥といえます。
単調な道路だと漫然な状態になりやすいので、気分をリフレッシュするためにガムを噛むことや、リラックス効果のある音楽を聴くことも効果を得られやすいです。
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またNEXCO各社などでは「アクセント照明」以外にも様々なライトが存在します。
トンネル内の長い上り坂では速度が減少して渋滞が発生しやすいです。
そのため、緑色のライトを流れるように点灯させて速度回復させる「ペースメーカーライト」というものが存在。
なおライトにより速度回復を促す渋滞対策は各社で行われており、NEXCO東日本では「ペースメーカーライト」と呼んでおり、NEXCO中日本では「ベクション」、首都高速道路では「エスコートライト」等と各社で呼び名が異なります。
さらにはトンネル内で事故などの注意喚起の際は赤色に点灯させるサイン照明機能もあり、各社でさまざまな取り組みがされているのです。