世間では「お坊さんは高級車に乗っている」といったイメージを持っている人や、実際に見かけたという人もいるかもしれません。現実はどうなのでしょうか。「お坊さんの”車事情”」に迫ります。
■気になる「お坊さんの”車事情”」はいかに?
葬儀や法事などでお経を唱えるほか、お寺を管理し維持運営を行う僧侶、いわゆる「お坊さん」には普段乗っているクルマについて何かルールはあるのでしょうか。
またインターネットなどでは「お坊さん=高級車に乗っている」といったイメージがあるようですが実際はどうなのでしょうか。
今回は現役のお坊さんに、「お坊さんの”車事情”」について話を聞きました。
お坊さんの乗っているクルマのイメージについて、SNSをみると「お坊さんはいつも高級車に乗ってる」「高級車に乗ってきてた」などというコメントが目立ち、「お坊さん=高級車」のイメージを持っている人が少なくない様子がうかがえます。
今回は群馬県の日蓮宗 本城寺の住職田村 明啓氏に「お坊さんの車事情」について話を聞きました。
「お坊さんが高級車に乗っているのは本当なのか」について田村氏は以下のように話します。
「結論から言うと、乗っている人もいます。というのも私が実際にお坊さん業界にいて何度も高級車に乗っている人を見かけたことがあります。
一番有名だと各宗派のトップ、ピラミッドでいうトップのお坊さんは、全員ではないと思いますが、かなりの高級車、また運転手付きで乗っているケースもあります」
また、お坊さんが高級車に乗る理由について以下のように話します。
「威厳を保ちたいというところが理由のひとつにあるかと思います。
例えばトップの住職が『20年経過している(質素な)軽自動車に乗っている』と想像すると、私自身もどうなのかなと思うこともあります。
また先程言った『運転手付き』というのは良い生活をしているように思えますが、トップの住職の方はご高齢の方も多く、運転をなさらないケースが多い場合もあるので、運転手がついているのは良いケースだと思います。
あとは、『あの住職がこんな高級車に乗っている』といった対抗心からというのもあると思いますし、長く乗るためにあえて高級車を購入するケース、別の収入から購入している方もいます」
さらに、田村氏はお坊さんの高級車のイメージについて、「そもそも今のご時世に高級車に乗れるお坊さん自体も多くないです。高級車を乗り回せるほどウハウハなわけではないので、見かけた時は『ごく一部の人なんだなー』と思っていた方が良いです」と説明します。
このほか、お坊さんの高級車事情については、田村氏の公式YouTube「作務衣チャンネル」でも解説しています。
■お坊さん業界でも「クルマへのこだわり感」に変化?
また世間では「若者のクルマ離れ」が叫ばれるなど、若者の間でクルマにこだわりを持つ人は少なくなってきているといえます。
こうした世代でのクルマへの感覚はお坊さん業界も同様のようで、田村氏は以下のように説明します。
「世間ではお坊さんは良い車に乗っているというイメージがありますが、それは今の60・70代前後のバブルを経験した(バブル感覚が抜けない)人たちです。
もっと若い世代には、クルマの価格ではなく実用性で選ぶ人が多いと思います。
私もつい先日住職交代し、私の代になりましたが、軽自動車とミニバンがあれば十分すぎるなと思っています。
私が所有しているクルマについては、軽自動車は購入済みで、ミニバンは購入予定、どちらも新古車です」
お坊さん業界でも田村氏のようにクルマ選びにこだわらない人が増えており、クルマの機能性や価格帯などを重視しているなど世代の感覚も影響していることがうかがえます。
ちなみに、田村氏が現在住んでいる環境では100%クルマは必須だといいますが、「都市部のように交通機関が発達していてクルマが必要なければ買わないです」とも話しています。
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一般的に、「お坊さん=高級車に乗っている」といったイメージを持っている人もSNSでは多く見かけましたが、実際に高級車や外車に乗っている人もいる少なからずいるようです。
とはいえ、そもそもお寺業界自体が経済的に余裕のあるものではなく、高級車に乗っている人自体が限られた人であること、また世代によってクルマへの感覚が変わってきていることから、徐々に「お坊さん=高級車」のイメージが薄れていくといえるかもしれません。
最後に、疑問のひとつとして「お坊さんでスポーツカーに乗る人もいますか」とも聞いてみたところ、田村氏は以下のように教えてくれました。
「乗る人はいると思います。専業のお坊さんで乗る人もいると思いますし、50歳の経営者が僧籍をとった場合その方もお坊さんなので、そういう経営者系のお坊さんは良い車に乗る傾向があると思います」