2023年7月7日から9日に「群馬パーツショー2023」 が開催されました。そこには話題となった「ランドクルーザー40 × ランドクルーザー70」が展示されていました。
■なんだこれは…ランクル40とランクル70を融合させた謎のモデルとは
2023年1月に開催された「東京オートサロン2023」でお披露目された「ランドクルーザー40×ランドクルーザー70」。
約半年後の7月上旬に改めて実車が展示されましたが、何かが違うようです。
オールドランドクルーザーファンから注目を集めているランクル40×70はランクルBASEが手掛けたモデルです。
ランクルBASEとはトヨタ車体が運営しており、トヨタ「ランドクルーザー」を筆頭に、スズキ「ジムニー」などのドレスアップやチューニングを手がけるカスタムショップ。
オリジナルアイテムの販売も行っていることから、全国からランクルファンやクロスカントリー4WDファンが多数来場しているのだとか。
そんなランクルBASEが、トヨタ車体や東海特装車の持つ高い技術力を背景に、ランドクルーザーに長く乗りたい人にそのレストア力をアピールするために造ったのがランクル40×70です。
2002年製造の70(HZJ71V)のシャシに、1978製造の40(BJ40V)のアッパーボディを載せた、いわゆるニコイチの車両。
フロントマスクは、ランクルファンに人気の“FJ顔”になっています。
そんなランクル40×70が、群馬パーツショー2023にも展示されました。
約半年ぶりに同車を見ると何かが違うようです。
以前は、70系のシャーシと40系のボディの長さが合わないため、ラダーフレーム前方の一部が露出していました。
しかし、今回はしっかりとツライチになっています。
今回の“レストア”を担当したトヨタ車体の久保田洋三さんに、何が変わったのかを聞いてみました。
「これまでは、ベアシャーシとアッパーボディの長さが合っていなかったため、補機類をエンジンルームに入れることができませんでした。
そこで、ボンネットとフロントフェンダーの長さを165mm延長することで、従来の問題を解決しました」
165mmというとかなりの延長量ですが、見た目的にはまったく違和感がありません。
40を熟知した人が見れば、フロントのコーナー部のエッジが少し立っているかなくらいの差違です。
さらに久保田氏は次に続けます。
「40は当時の優れたプレス技術で造られているので、ボンネット形状が直線と曲線が複雑に入り交じっています。
165mmも延長してしまうと、どうしても直線的に見えてヨンマルのデザインの魅力が失われてしまうため、そこが無くならないように苦労しました」
その苦労の甲斐があって、完成度はなかなかのものです。
ニコイチのメリットはコンディションだけでなく、コイルスプリング化で操縦安定性や快適性が向上している上に、4.2リッターディーゼル(1HZ型)になったことで動力性能も大幅にアップグレードされていること。
まさに、ランクルの進化が1台の中で体感できるわけです。
■いよいよ車検取得段階に… コアファンの残念ポイントは? 売られるならいくら?
このランクル40×70は、いよいよ車検を通す段階に入ったということです。
しかし、コアなファンから見たら“ここが残念”という所も。そのひとつが、リア回りです。
「リアも70のシャシと40のボディが合わない部分のひとつで、70の後部を流用しているカタチになっています。
40のリアデザインも特徴的ですから、できれば再現したいとは思っています」(前出の久保田さん)
ボディには、40系の“病気”と言われる深刻なサビのダメージもいくつか残っており、最終的にはこういった部分も含めてレストアをしていきたいということでした。
ちなみにこのランクル40×70は決して販売用ではなく、あくまでもデモカー。
しかし気になるのは「もし売るとしたらいくら?」という部分です。
その質問に対して久保田さんは「ランクル300が軽く買える値段になってしまいますねぇ」とのこと。
これまでオールドランクルの維持・修理は、非常に困難なものでしたが、こうした技術力を持った“駆け込み寺”があることは、ファンには心強いばかりです。