クルマのフロントフェイスを見ると、ヘッドライトの下やバンパーなどに「小さめのライト」が埋め込まれているクルマを見かけます。この謎のライトは一体どういう時に使用するものなのでしょうか。
■謎の小さなライトには「役割」があった!
クルマのフロントフェイスを見ると、いわゆる「目」のような位置にあるのがヘッドライト(前照灯)で、これは夕方や夜間など道が暗くなった際に点灯することでクルマの前方を照らすとともに周囲に自車の存在を知らせる役割も持ちます。
しかし、その下のバンパーにも「小さめのライト」が埋め込まれているクルマを見かけることもあります。
ヘッドライトさえあれば前方の視界は確保されるようにも思えますが、ではこれは一体どういう時に使用するものなのでしょうか。
このヘッドライトの下に装着された小型のライトの正式名称は「フォグランプ」。
「フォグ(fog)」は英語での「霧」を意味する通り、ひどい濃霧などで前方の視界が悪い場面で点灯させるライトです。そんなこともあって、日本語ではフォグランプを「前部霧灯」とも呼んでいます。
ヘッドライトが前方を照らすことを目的としていることに対し、フォグランプも前方を照らすことから、ヘッドライトの補助を担っているとも捉えられます。
しかし、フォグランプは単一での点灯で走行可能なほど運転手からは明るく見えず、どちらかといえば「濃霧の際に対向車などに対して自車の存在を伝える」という役割が主体です。
また、霧が濃い時にヘッドライトのみの点灯で走行しようとすると、路面を照らすべき光が霧に当たって拡散するために、路面がよく見えないときもあります。
そんな場面では、バンパーなどの路面に近い低い位置に取り付けられたフォグランプの方が、よりしっかりと道路状況をドライバーに伝えてくれるのです。
一方で、まれに“フォグランプのみ”を点灯させて走行するクルマを見かけますが、フォグランプはあくまでも「視界が悪いときの補助灯」という存在。
道路交通法第五十二条には「夜間は前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と記載されており、補助灯であるフォグランプはこれに含まれません。
よってフォグランプのみを点灯させて走行する行為は無灯火走行となり、道路交通法違反に該当。状況によっては違反点数1点、反則金6000円の罰則が科せられてしまう可能性があります。
「ちゃんとクルマの前方のライトは点けているから問題ない」などと考えず、フォグランプは必ずヘッドライトとセットで使用するように注意しましょう。
■愛車にも「フォグランプ」を装備したい! どうすればいい?
正しく使用することで安全運転にもつながるフォグランプですが、それとともに「ドレスアップパーツ」としても人気のアイテムです。
普及価格帯の車種であっても、フォグランプを標準装備しているクルマが多いのですが、一部車種の廉価グレードではコストダウンのためにフォグランプが装備されていないクルマもあります。
新車を購入する際に「フォグランプを装備したい!」と考えている方は、購入時に販売店に相談してオプションに追加するか、あるいは標準でフォグランプを装備しているグレードを探して購入すると良いでしょう。
では、もし自分が現在使用しているクルマにフォグランプが付いていない場合にはどうすれば良いのでしょうか。
じつはフォグランプは後付けすることも可能です。
車種によって価格は異なりますが、メーカー純正品なら本体価格はだいたい2万円から5万円。取り付け用のアタッチメントが1万円から2万円。ガーニッシュなど装飾品も求める場合はさらに追加で2万円から3万円もあれば、部品代としては足りるでしょう。
ただし、それに加えて取り付け工賃も発生します。
フォグランプの後付けにかかる総額を加味すると、標準でフォグランプを装備しているグレードに買い替えた方がお得になるケースもあるため、手間や金額を比較した結果にもよりますが、クルマを新車で購入する際には最初にフォグランプを装備しておいた方が良いかもしれません。
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注意する点として、フォグランプはあくまでも“霧などで視界が悪いとき”に使うべき補助灯です。
強い光で自車の位置を対向車に示してくれる便利な安全装備ですが、その反面、天候の良い時に点灯すると対向車のドライバーにとって不要にまぶしい存在となってしまう危険性もあります。
また、前述のとおりフォグランプだけを点灯して走行することは交通違反として検挙される可能性があります。
フォグランプは濃霧時に安全性を高める大切な装備ですから、使い方を間違えないように注意するとともに、交通ルールを守ってドライブしましょう。