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なぜ「車線減らした?」 チャリ用レーン新設で渋滞起きない? 危険な歩道減らす対策

くるまのニュース 2023年7月31日 9時10分

最近、都心部を中心に見かけるようになったのが車道の左脇に青色で塗られた自転車向けの走行レーン。最近では、場所によってクルマの車線を減らして自転車のレーンを新設していることもあるようですが、渋滞などの影響が無いのでしょうか。

■増える自転車レーン、車線減少は仕方ない?

 基本的に自転車はクルマと同じ車線を走行することになっていますが、最近では自転車用のレーンなどが設けられている場所も増えています。
 
 そうした中で従来あったクルマの車線を減らして、自転車専用レーンなどを新設した場所もあります。
 
 その場合には車線減少により交通渋滞が起きる可能性も考えられますが、実態はどのような状況なのでしょうか。

 ここ数年、自転車で移動する人も増えてきました。

 とくに東京や大阪の中心部では駐車場が高いだけでなく、渋滞も頻繁に発生するため、移動手段に自転車で移動するということは理にかなっています。

 そんな自転車需要が増えている都心部を中心に増えているのが、自転車専用レーンです。

 正式には「普通自転車専用通行帯」と呼ばれるもので、青色のレーンが主流ですがなかには茶色のレーンも存在します。

 レーンには「自転車専用」の文字や自転車のイラストが描かれているものなどさまざまで、この辺りははっきりとした決まりがないようです。

 ほかにも、自転車専用レーンに似た自転車のマークと矢印を組み合わせた「自転車ナビマーク」や「自転車ナビライン」が存在し、こちらは自転車が通行すべき区分や方向を明示するものとなっています。

 ただ、自転車ナビマークや自転車ナビラインは法的な効力はなく、あくまで進行すべき方向を明示するだけにとどまっています。

 本来、自転車は車道の左側を通行するのが原則となっていますが、自転車専用レーンが設けられている場合は、専用レーンを左側通行しなければなりません。

 実際に、道路交通法第20条2項では「車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない」と明記されています。

 自転車専用レーンが設けられるようになったのは、近年スピードが出やすい「クロスバイク」や「ロードバイク」などと歩行者の接触事故が増加したことが背景にあります。

 そのため自転車専用レーンを設置することで、歩行者との接触事故は減らす効果が期待されています。

 そのひとつとして、東京都江戸川区の葛西橋東詰交差点では、これは従来の車線を減らす形で新しく自転車専用レーンを設置しましたが、クルマの通行に影響は出ていないのでしょうか。

■自転車専用レーンはクルマの通行に影響を与える?

 東京都江戸川区船堀街道は、元々片側2車線の車道を歩行者と自転車との接触事故を減らすために1車線減らして、自転車専用レーンを新設工事しました。

 また、船堀街道と葛西橋通りが交差する葛西橋東詰交差点において、従来は「右折/直進/左折」のそれぞれの車線がありましたが、自転車レーン増設により「右折/直進&左折」という形に変更されています。

 歩道を含めた道路の幅は変更が難しいため、自転車専用レーンを設けるためには歩道か車道のどちらかを調整しなければなりませんが、現状では車道側を調整して整備することが多いようです。

 葛西橋東詰交差点の自転車専用レーンを設置をおこなった東京都第五建設事務所 補修課の担当者は、設置にいたった経緯に関して次のように話します。

「近くには小学校などがあり学童が多いことや、狭い道に自転車が乗り上げて走行することも多く、危険な歩道になっていました。

 そのため、学校から自転車レーン整備の要請があり、設置にいたりました。

 また、周辺エリアで自転車レーンのネットワークができていたこともあり、自転車のスムーズな通行と、学童などの歩行者の安全を確保することが自転車専用レーンを設置した目的です」

船堀街道と葛西橋通りが交差する葛西橋東詰交差点付近には新たに自転車専用レーンが新設された(画像提供:東京都第五建設事務所)

 さらに、自転車専用レーンを設置したことによってどのような影響があったのでしょうか。前出の担当者は次のように話します。

「もともと片側2車線の道路でしたが、歩道側の道路が2.5mしかなく実質1車線の利用となっていました。

 そのため、歩道側の道路に2mの自転車レーンを作り、さらに歩道を50cm拡張しました。

 そのため、歩行者は自転車と同じ道を通行することなく、かつ道幅が広がったことで安全にゆとりのある通行ができるようになっています。

 また、車道は片側1車線となりましたが、それによって渋滞が発生したなどの声は今のところ特段来ていません。

 それは、もともと歩道側の道路は駐停車などでしか使われていなかったため、クルマの通行にはさほど影響は出ていないためです」

※ ※ ※

 自転車レーンの設置は、道路の幅員が狭いところの場合、車線を削ってまで工事する必要があります。

 しかし、歩行者への安全確保や環境問題の観点から人口の多い都心部では、自転車専用レーンの整備は必須といえます。

 一方で、自転車レーンによって自動車の渋滞を引き起こさないように、周辺の交通状況も加味しながらの設置が望ましいかもしれません。

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