最近のクルマではほとんど付いている「SOSボタン」ですが、実際にはどのような仕組みなのでしょうか。
■「SOS」と書かれた「謎のボタン」とは
ルームランプスイッチ付近に「SOS」と書かれた「謎のボタン」が設置されています。
少し前までは一部の高級車に搭載されていましたが、最近ではほとんどのクルマで見ることが可能です。
ではこのSOSと書かれたボタンにはどのような意味があるのでしょうか。
最近のクルマは、いざという時にトラブルのアシストをしてくれる機能があります。
クルマをオンラインでつなぎ、トラブルに対処するサービスが増えていますが、代表的なものがルームランプのスイッチ付近にある「SOS」と書かれたボタンです。
このボタンを押すと、オペレーターがトラブルに対応してくれる仕組みになっています。
ほとんどの場合は、メーカーが用意するサービスの加入が原則で、名称もメーカーによって異なります。
サービスの名称は、トヨタの場合だと「ヘルプネット」、日産の場合だと「SOSコール」、BMWの場合だと「BMWエマージェンシー・サービス」と異なりますが、基本的なシステムは同じです。
導入の発端は、国連自動車基準調和世界フォーラムにおいて、事故自動緊急通報装置に係る協定規則が採択されたことを受けて、2018年に国土交通省が保安基準の改正を実施したことによります。
対象車両は2020年1月以降に生産される新型車及び継続生産車については2021年7月から適用されています。
用途としては、事故に遭遇した時にSOSボタンを押すことによって、オペレーターとつながり、状況次第で警察や救急の手配が可能です。
また、GPS信号が受信できる場所なら位置情報を伝えなくてもオペレーターが正確な場所を確認できるので、自分がどこにいるかわからなくても安心です。
さらに事故の際にエアバッグが起動するような大きな衝撃の場合は、SOSボタンを押さなくても自社位置や発生時刻が自動で発報され、オペレーターと繋がります。
とくに激しい事故で乗員の返答や意識がない場合は、サポートセンターの判断で緊急車両の要請が行なわれることもあるようです。
SOSボタンは、事故に遭遇した際に利用されることが多いですが、ほかにもさまざまな用途があるようです。
■「SOS」はこんな時にも使える! 危険なあおり運転受けてる時でも使っていいの?
まずは、急な体調不良の際に使用することもできます。
体調の不良の判断基準としては、運転の継続が困難だと感じた場合などです。
その際は無理をせずにSOSボタンでオペレーターに問い合わせるのが無難だといえるでしょう。
急な体調不良は早期対応が重要で、放置しておくと衝突事故など2次災害を引き起こしかねません。
また、実際に通報することによって、大事に至らなかったケースも数多くあるようです。
ほかにも、あおり運転などの身の危険を感じた際にもSOSボタンは利用できます。
とくに逃げ場の少ない山間部の道路や高速道路であおり運転をされた場合は、平常心を失いがちです。
その時にSOSボタンを押すことにより、オペレーター経由で警察を手配してくれるだけなく、次のサービスエリアの誘導など位置情報を基に対応してもらうことも可能です。
このようなトラブルに対応してくれるSOSボタンですが、警察や救急への手配だけでなく、共有した情報をロードサービスや保険会社などにも連絡してくれます。
ほかにも事前登録しておけば、近親者などにもトラブルの情報を知らせることができ、いざというときに安心です。
SOSボタンひとつで、状況次第で警察、救急、保険会社、家族などまとめて情報を共有できるのは安心で便利な機能といえます。
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交通事故や急な体調不良の通報だけでなく、あおり運転まで対応してくれる便利なSOSボタンですが、あくまで緊急時のみの使用と限定されています。