内装が質素なものが多いコンパクトカーですが、マツダは2004年に質感高いインテリアを採用したモデルを発売していました。どのようなモデルなのでしょうか。
■当時まだ少なかった「高級内装コンパクトカー」の先駆け?
コンパクトカーは小型のボディや排気量の小さいエンジンを搭載し、価格や維持費が安いなど、利便性と経済性に優れる反面、内装は質素なものが多くあります。
近年こそコンパクトカーであっても上級モデルでは内装にこだわりを持つクルマも増えてきましたが、マツダは2004年にクラス超えの質感を持つインテリアを採用したクルマを発売していました。
マツダ「ベリーサ」は2004年6月に発表された5ドアハッチバックです。
車名のベリーサはイタリア語で「真実」を意味する「verita」と、英語で「満足」を意味する「satisfaction」を併せ、「真の充足」という意味を持たせたもので、上質さやこだわりを持つ人をターゲットにしたといいます。
ボディサイズは全長3975mm×全幅1695mm×全高1530mm、ホイールベースは2490mm。
パワートレインは1.5リッターガソリンエンジン+4速ATのみで、駆動方式はFFのほかに、悪路での緊急脱出用駆動用モーターを後輪に組み合わせる「e-4WD」をラインナップしました。
エクステリアは伸びやかなラウンドシェイプを基調とし、上質感や高密度感を際立たせたせ、スマートな外観を表現。Aピラーはブラックアウトさせ、落ち着いた雰囲気を持たせています。
上級グレードではドアハンドルやフォグランプベゼルなどの各部にメッキ加飾をあしらうなど、当時販売されていたコンパクトカーのなかでは高い質感を持っています。
インテリアは広い室内空間に端正なデザインのパネルを採用するなど、エクステリア同様に高級感をアップさせたほか、ハーフレザーシートやウッド調パネルを装備するパッケージオプションを設定しました。
2015年末の販売終了までの長いモデルライフのなかで幾度かの改良が行われていますが、ほぼ毎回にわたり内装にも手が入っており、質感を高めていました。
内装色だけでみても、2005年6月ではベージュが追加、2006年ではブラック&ブラウンを追加、2010年でもコーラルブラウンおよびブラック&サンドを追加するなど、当時のコンパクトカーではまだ珍しかったシックなカラーを数多く用意。
さらに、さまざまな特別仕様車を用意していたことも特徴です。
2005年12月発売の「ブラウン コレクション」では、ダークブラウンのハーフレザーシートを装備。2011年11月発売の「クラッシー スタイル」では、サンドベージュの専用インテリアをあしらうなど、豪華な仕様としたモデルもありました。
モデル末期の2015年4月に登場した「ノーブル・クチュール」では、刻印およびステッチ入り専用ワインレッドレザーシート、レッド合皮のドアトリム、ステッチ入り本革ステアリングなどを専用装備。元々高級感の高いベリーサですが、インテリアにレザーを多用しさらに豪華に仕上げています。
このような上質さへのこだわりが一般的なコンパクトカーでは満足できないユーザーに支持されたのか、ベリーサは11年間もの間ラインナップされ続けました。
ベリーサの生産終了後、直接的な後継車は展開されていませんが、その後もマツダは内装にこだわりをもったグレードを多くの車種に用意。
コンパクトカー「MAZDA 2」にも「サンリット シトラス」など上質内装を特徴とするモデルを販売し、ほかのコンパクトカーとは違った魅力を持たせています。