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車の「サイドバイザー」何のため!? 禁煙者増え“不要”説も? 実は「羽根のない扇風機」の原理で「急速換気」する超・優れモノだった?

くるまのニュース 2023年7月25日 17時10分

クルマの純正アクセサリーとして根強い人気を誇る「サイドバイザー」も、近年は禁煙派が増えたこともあって装着率が減っているといいます。しかし装着することで、換気効率を高める効果があるといいます。どういうことでしょうか。

■サイドバイザーは「不要派」と「欲しい派」が大きく分かれる

 クルマのサイドウインドウの上端に沿って取り付ける「サイドバイザー」は、かつて多くの国産車にオプション装着されていましたが、近年は装着率が減少しているといいます。
 
 そんなサイドバイザーが果たす役割は、意外にも大きなものでした。どのような機能と効果が得られるのでしょうか。

 サイドバイザーは一般的に「雨の日に、喫煙者が車内でタバコを吸うときに必要なもの」「雨の日に、コインパーキングの出入り口でお金を支払う際に、若干濡れにくくなる」という役割が挙げられます。

 首都圏のとある国産メーカーの販売店スタッフに聞くと、次のように説明します。

「サイドバイザーは、10年以上前には新車購入時に多くの方が選択していたようですが、近年はコストを抑えたいという方も多く、また喫煙者が減っていることもあって、装着率は大きく減っています」

 このように、選択する人が減っているサイドバイザーですが、実は「換気効率が大幅に向上する」という役割もあることはあまり知られていません。

 これは、走行時の風圧を利用した流体力学のメカニズムに基づくものです。

 走行中にサイドガラスを少しだけ開けておくと、クルマの前方からサイドバイザーに向かって流れてきた空気が、サイドバイザー内側の空気を巻き取るようにします。

 これが後方へ移動することで、車室内の空気が隙間から吸い上げられるようになり、強制的に換気が促されるのです。

 実際に、ドアバイザー付きのクルマでサイドガラスの隙間の近くに手を当てると、結構な勢いで空気が吸い上げられているのが分かります。

 実はこれ、ダイソンの羽根のない扇風機「エアマルチプライアー」でも同じメカニズム原理を用いています。

■機能性を高めた新たな「サイドバイザー」も登場

 そんなサイドバイザーですが、冒頭で触れたように現在は装着率が減少しています。

 SNSなどでは「視界の邪魔」 「窓ガラスの上側の洗車がしにくい」 「走行中はカーエアコンを付けるから窓を開けて換気をしないし不要」 「古くさい、カッコ悪い」とするコメントが多く挙がっています。

形状がスタイリッシュな「GRスポーツサイドバイザー」[写真は「GRヤリス」に装着した例]

 クルマの中で日常的にタバコを吸う人にとっては、サイドバイザーは欠かせないアイテムではありますが、やはり喫煙者が減少していることは大いに影響しているようです。

 ちなみにサイドバイザーは、いまでも一部の車種(マツダ「ロードスター」など窓構造が特殊なモデル)を除いて、ほとんどのクルマにオプション設定されています。

 例えばトヨタでは、コンパクトカーから大型ミニバン、高級セダンまで、ほとんどの主要モデルに設定があります。

 価格は、普通車の前後ドア用だと2万円から3万円程度が標準的です。

 また「ヤリス」や「ハリアー」「ヴォクシー/ノア」などには、形状がスタイリッシュな「GRスポーツサイドバイザー」も設定されています。

 こちらは、前出の換気効果をさらに高める形状であると同時に、フィン形状の空力パーツを付加したことで、走行安定性・ステアリング応答性などを向上させる効果も得られると、トヨタでは説明しています。

 ちなみにサイドバイザーは原価が安いことから、新車販売ディーラーにとっては、フロアカーペットと並ぶ数少ない「儲かるグッズ」だといい、今でも新車購入時のお薦めアイテムとして、商談時には必ず紹介していると前出の営業スタッフは話しています。

※ ※ ※

 くるまのニュース編集部が以前にSNS上で「サイドバイザーは、いる派? いらない派?」のアンケートをとったところ、いる派は55%、いらない派は45%となり、若干「いる派」が多い結果となりました。

 クルマを運転していると、カーエアコンから嫌な臭いがしたり、運転中に眠気に襲われてボーっとしたときなど、一刻も早く車内の換気をしたいシーンに遭遇することがあります。

 晴れている日であれば窓を開けて走行すれば良いのですが、雨の日だとそうはいきません。

 サイドバイザーはそういったシーンで大いに役立つアイテムです。迷うようならば「とりあえず付けておく」という選択もありではないでしょうか。

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