トヨタ「ヴェルファイア」が8年ぶりにフルモデルチェンジしました。新型モデルの登場をもっとも気にしているであろう従来モデルのアルファードオーナーに、新型についての率直な意見を聞いてみました。
■2代目ヴェルファイアオーナーに聞いた「新型」の印象は？
2023年6月21日、トヨタの高級ミニバン「ヴェルファイア」が、姉妹車「アルファード」とともにフルモデルチェンジしました。
先代から8年ぶりの全身刷新となった新型アルヴェルは、より豪華になったと評判になっています。
特にヴェルファイアに関しては、販売系列の整理にともなってアルファードに一本化される可能性が高いと思われていましたが、今回両車のキャラクターを棲み分けることによって存続が決定しました。
そんな新型ヴェルファイアに関して、既存のヴェルファイアオーナー（2代目）にその印象を聞いてみました。
普段はポルシェ「911」、趣味のゴルフでヴェルファイアを乗り分けている千葉県の開業医S氏に詳しく話を聞いてみました。
「新型はアルファードのほうが近未来感もあり派手な印象を受けますが、一方の新型ヴェルファイアは押し出し感あるデザインで、むしろこちらのほうが一般ウケしそうです。
新型アルファードは先進的すぎるようにも感じますが、その点、新型ヴェルファイアのカッコ良さは分かりやすいですし、『威圧感』が欲しい人も多いと思うんです。むしろこちらのほうが新型に乗り換えやすいかもしれません」
3眼LEDを採用したヘッドライトや、直線基調の大型グリルなど、先代モデルのデザインを踏襲しつつも、艶ありブラック×漆黒メッキで大人っぽさもあるクールなデザインが、多くの人に受けているようです。
デザイン面のほかにS氏が気にしていたのは、2.4リッターターボエンジン搭載モデル。これまで設定されていた3.5リッターから排気量がダウンし、ターボでどこまで力強さが感じられるのかが懸念だといいます。
「私が乗っているのは3.5リッターV型6気筒エンジン搭載車なのですが、2.4リッターターボは直列4気筒になってフィーリングも違うでしょう。このエンジンがどれくらいパワフルなのかが気になります。
あと、新型ヴェルファイアは足回りに専用チューニングが施されたと聞いていますが、スポーティな走りが期待できそうです。
ただ、655万円から892万円という決して安いクルマではないだけに、従来モデルのように3.5リッター以上の排気量があっても良かったかもしれません」（ヴェルファイアオーナー S氏）
S氏いわく、ヴェルファイアオーナーは、燃費を重視するよりも、高速巡航しやすく、いざというときに十分な加速ができる“余裕”が欲しい人が多いといいます。
そうなると、新型アルヴェルともに設定される2.5リッターハイブリッドではいささか大人しすぎる印象を持たれるようで、必然的に「Z Premier」の2.4リッターターボモデルを選ぶ人が高くなるだろうとのこと。
「新型ヴェルファイアにスポーティさを求めるかは難しいところです。速さは欲しいけれど運転を楽しむタイプのミニバンとはいえないですから。
それでも乗り心地もさらに快適になったみたいですし、排気量ダウンは気になりますが一度は試乗してみたいとは思っています」
数値の上でのパワーも大事ですが、大きく重いボディの場合は絶対的な排気量の大きさが余裕となっていたことでしょう。
そのあたりのフィーリングをうまく演出してくれば、先代の3.5リッターモデルから乗り換えても違和感ないのかもしれません。
■新型ヴェルファイアの特徴は？
今回の新型アルヴェルは、思い切った「キャラクターの棲み分け」をおこなっています。
新型アルファードはよりラグジュアリー志向、一方で新型ヴェルファイアはちょいワル＆スポーティ志向をそれぞれ強めています。
キャラクターの違いを生み出すのが、エクステリアとパワートレインです。
なかでも、ハイパワーな2.4リッターターボエンジン搭載モデルを新型ヴェルファイア専用としていることに驚いた人もいるでしょう。
2.4リッターエンジンにターボを搭載し、205kW（279馬力）と430Nm(43.8kgm)のハイパワー＆高トルクを生み出し、ひと昔前の3.5リッター並みの性能を発揮しています。
そして、その性能に見合うルックスも身に着けました。
従来モデルよりは多少マイルドになったものの、新型ヴェルファイアのエアロパーツを装備した直線基調のスタイリングが与える威圧感はかなりのもの。ボディカラーの設定はホワイトとブラックの2色のみと、人気カラーに絞ったことで効率化を図っています。
また、ミニバンにしては珍しく「フロントパフォーマンスブレース」を装備しているのも、新型ヴェルファイアのみの特徴です。
このパーツは、ステアリングの応答性やボディ全体の剛性を高める「つっかえ棒」のような役割を果たすもの。
スポーツカー向けのアフターパーツとして販売されるケースが多いのですが、そんなパーツを新型ヴェルファイアに装備するあたり、トヨタがヴェルファイアの復権を目指して、個性を際立たせていることがわかります。